第68話 またまた魔物退治 1 (^∇^)
魔物退治から一週間が経ち、俺とシーファはロット国の正門の前にいた。あの後マッハトカゲをギルドで換金すると、金貨2枚という高額な値段になった。これもシーファと半分して渡そうとしたが、彼女は本気で反対していたのでこちらが受け取ることになった。
「よし、みんな集まったか?」
『銀の雷』のユリガが、辺りを見回す。彼は相当の腕を持っていて今の俺でも勝てるかどうかわからない。まだ彼の仲間を見たことはないのだが、きっと仲間も全員強いのだろう。
「今からラギ森林へと向かう。見つけた魔物は躊躇なく殺してやって構わないぞ。この依頼達成額は金貨3枚。今日はもうここから値上げはしない。許してくれ」
愚痴など1つも飛ばなかった。相手が『銀の雷』だからだろうか。
「それでは行くぞ」
俺たちは徒歩で移動した。そして、当たり前のように途中で絡んでくる奴がいる。
「うわぁ〜。また来たの」
細男だ。前の時も絡んできやがったが、魔物を40体殺したという俺たちの功績を耳にしてないのかな?
「だからね、君たちみたいな足手まといはいらないの。ほらほら、報酬は代わりに貰っておくから帰った帰った。正直言って邪魔なんだよ」
「……サトル」
シーファが耳打ちをしてくる。
「この人、殺してもいいですか?」
「うーん。ま、殺さない程度ならいいんじゃない」
「ありがとうございます!」
すると、シーファの体の中に魔力が込められた。俺はそれを感知して驚く。まさか本当に攻撃するとは思わなかったからだ。
「ストップ、ストップ!」
「喧嘩はダメだぜ?」
俺と誰かの声が重なる。シーファはムッとなりながらも素直に従い、戦闘姿勢から直る。
俺と声が被った人は、ユリガだった。
「たまにいるんだよな。そうやって命知らずのやつが」
ユリガの言葉に、大いに頷く細男。
「そうだそうだ。命が惜しかったら帰るんだ」
ユリガは細男のことを睨む。突然のことに、細男は「ひっ」と間抜けな声を漏らした。
「お前のことだぞ、フーリ。前もう一度他の冒険者と絡んだらこの依頼から抜けてもらうと言ったはずだが、覚えているだろうな?」
「っ!?だ、だけどこいつは命知らずだ!魔物退治に行って生きて帰ったのは奇跡で今回は死ぬに決まってる」
「なんだ、知らないのか?」
ユリガはため息をつく。そして、真実を語った。
「そいつらは前の依頼で魔物を40体倒したっていうことで有名になっているのだぞ?」
え?俺たち有名なの?それは好ましくないな。
「よ、40体!?嘘だ!僕よりも有能なことはなーー」
「いい加減その偉そうな態度をやめたらどうだ?フーリ」
「でも、僕はそいつより強いっていう自信はあるっ!なんなら一騎打ちだ。勝負しろ、ゴミ人間!」
「はあ、こいつはわからせてやるからこんな勝負受けなくてもいいぞ」
俺は首を横に振った。
「その勝負、受けて立つ」
「マジかよ……」
ユリガは驚いた表情を示した。
俺の考えは、今圧倒的な力を見せつけることによってもうこれから自分に手を出すことがないようにしたいから。と、いうことだ。
「今からラギ森林に調査しに行くから、程々にな。ここで傷を負われたら困る」
「ああ。気をつける」
俺は黒々とした剣を抜き、細男に向けて構えた。それを見て、細男の顔は満面の笑みへと変わる。
「はは、やる気になってくれたみたいだね。じゃあ、ボコボコにするか〜」
どうやら相手の頭の中には勝つことしかないらしい。ま、こっちもそうだけど。
そうして俺たちは互いの剣を交えたが、決着は一瞬にしてついた。わずか数十秒ほどで悟が勝ってしまったのだ。俺はただ相手の剣を受け流して肘で腹を小突いただけなのに……。
「い、インチキだ!僕がこんな簡単にやられるわけはーー」
「いい加減にしてくれない?」
細男の声を遮るようにして、シーファが邪悪な笑みを浮かべて彼の前に立った。
「インチキ?何が?根拠はある?何かを見たの?それとも自分がやられたという現実逃避?」
ヤバい。シーファがキレている。……まあ、いいや。あいつにはお似合いだろう。少し、キレたままのシーファも見てみたいし。こう考えると俺って鬼だな。
「……僕が現実逃避なんてするはずがないだろ!」
「ではそれはなに?現実逃避をやめて素直に負けを認めた?」
「僕はあいつがインチキだっていうことをーー」
「根拠はなんなの?」
「ひっ……」
とてつもない殺気を漂わせ、シーファが詰め寄る。それは俺でさえ身震いが止まらなくなるほどの殺気だった。
「これほどの殺気……。感じたことがないぞ……!?」
ユリガはぶつぶつと呟く。流石に身震いこそしていなかったが、シーファの殺気に疑問を持っているようだ。
「俺でもこれほどの殺気はだせないだろう。あいつ、只者ではない……」
一緒に魔物を40体倒している時点で只者じゃないしな。ま、普通に翼とか生えてるから只者じゃないことは否定しないけど。
俺がユリガを見つめていることに気がついたのか、彼はハッとなった。
「っ、今のはなんでもない。気にしないでくれ」
はっきり聞こえてたけどね。
「ーーでは、謝って」
ビクビクとした細男が俺のところへ来て、顔を地面に叩きつける勢いで頭を下げた。
「す、すいませんでしたっ!もうしませんから許してください……」
「あ、ああ。別にいいけど……」
俺はいいけど、シーファがなぁ。
シーファの顔を見ると、非常に満足した様子だった。そして、こちらへ駆け寄ってくる。
「サトルを馬鹿にするような真似は私が許しませんから安心してくださいね」
「……ありがとな」
俺はめいいっぱい作り笑顔を向け、目の端で逃げていく細男を追いかけた。その後ろには大柄の男が「兄貴ー!」と叫んで追いかけて行っている。もう当分は見下したりする態度はしないだろう。
「あいつのことは忘れて、今は依頼に集中だ。ほら、置いてかれてるんだから行くぞ」
ユリガが先を促す。俺たちは、ラギ森林へと行った冒険者の後を追った。
メリークリスマーース!
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