表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/259

第57話 魔物退治 4 (^O^)

総合評価ポイント数100達成!こんなに早く達成するとは夢にも思いませんでした。

皆様、応援ありがとうございます!

 ダークウルフが動き出す。挑発に乗って動いたのかと思ったが、不思議とそのような感覚はなかった。もしかすると、やはり挑発に乗ったふりをしていたのかもしれない。それほど相手は冷静に動いていたし、俺を翻弄するようにフェイントも入れていた。挑発に乗っている者だったら、こんなことはしないだろう。


 ……成る程。真っ向から勝負ってことか。奇遇だ。俺も同じことを考えていた。ここはそれに乗ってやろうじゃないか!


 俺はダークウルフの攻撃を避け、鑑定を発動させる。


 ガキン!


 金属音のような音と共に、鑑定が弾かれた。ということは、俺よりも相手のほうが遥かに格上?


『鑑定遮断スキルを持っている模様です』


 ありがとう鑑定さん。助かるわ。


「グルゥ……ジ、デ」


 ダークウルフが声を出す。俺は奴が言葉っぽいものを発したことに驚いた。


「オ、レ、デーヴ。ジメイ、ゴ、ロ、ズ」


 デーヴ?自分の名前?ジメイって使命のことかな?んで殺すと。


「デーヴ、何故ここにいる奴らは人間たちを襲う?魔物は何の意図で俺たちをーー」

「ヴるザイ!シネ!ジヌがいイ!」


 デーヴは耳を押さえ、もう聞かないと言わんばかりに首をブンブンと横に振った。何を言っても無駄だと思い、俺は口を閉じる。残念だが、こいつとは戦わなくてはいけない。分かり合えば、いい仲間になれると思ったけどな。


 俺は目の前に剣を構える。デーヴは隠していた足の爪も全て伸ばし、尖った爪の先端をこちらに向けた。背中の毛が逆立つ。それだけでも彼の図体は大きくなったように見えた。まあ俺の二分の一くらいだが。


 先に動いたのは悟だった。黒々とした剣で横薙ぎをかます。デーヴは上へ飛んでそれを避けると、爪で目潰しを狙った。


「くっ!」


 間一髪で剣を戻し、防戦一方に備える。単純な力なら俺が強いが、戦闘テクニックはデーヴのほうが経験を積んでいる。それに、素早さだって負けているだろう。俺なんかただの日本人だったから、そういうところはあまり慣れていないのだ。高校になって本気で走ることなんてそうそうなかったし。


 ……少し押され気味か。


 俺は勘づく。そして、とうとうデーヴのいれたフェイントが俺の腕に直撃した。


「ぐっ!?」


 血が吹き出る。指先までの力が全て抜け、剣を落としてしまった。すかさずデーヴが俺の剣を拾い、首めがけて一直線に振り下ろす。悟は火球でデーヴに気がつかれないように、かつ迅速に彼の背後に忍ばせ爆発させた。


 デーヴは爆風で俺の頭上を飛んで行き、空中で回転して反対側の地面に見事着地した。もう同じ手は2度とくらわないだろう。


 未だに剣はデーヴの手の中にある。このままでは俺は拳と魔法だけで戦うことになってしまう。


「私、参加します!」


 横にシーファが並んだ。彼女の参戦はありがたい。


 シーファが詠唱を唱えると、俺の右腕は微かであるが回復した。


「グアアアァァァ!」


 咆哮を上げ、その次に大きな炎を吐いてくる。これはシーファのウォールバリアさえも貫通してしまう。だが、彼女にあるスキルはそれだけではない。


 炎の軌道が変わり、俺の右をかすめて遠くの地面で爆発した。


 あっち!ちょっ、少しは俺のこと思ってよね!


 1人苦しんでいると、デーヴがまた攻撃姿勢をとった。


「これを使ってください」


 シーファがボロボロの剣を取り出す。ああ、羽変化で作ったやつか。でもこれあいつを傷つけられるのかな?


「ありがとう」


 礼を言っておき、相手の攻撃に備える。デーヴは爪に黒い靄のようなものを宿していた。あれって渾身の一突き?マジかよ。あれ強いんだよな。


 すると、デーヴの身が一瞬ぶれ、あっという間に3人に増えていた。これ分身かな?


 3人のデーヴはバラバラの方向に走り始め、一斉に魔法を放ってきた。1人が斬撃波、1人が炎、もう1人が闇球だ。流石にこれだけの数を対処できるとは思えない。シーファが。


 俺は飛んできた闇球を剣で受け止めた。ぶつかった瞬間、思わず後ずさりしてしまったがすぐに押し返し、違う場所へと闇球は飛んでいく。俺の剣はボロボロだぁ!


 次に斬撃波。爪の形をした銀色の風が、俺たちを切り裂くためにこちらへ向かってくる。悟は手のひらを斬撃波に向け、早口で詠唱を唱えた。


 手から炎が出る。詠唱をしたため、威力はかなり違うはず。たぶん。


 炎は斬撃波を飲み込み、それだけでは止まらず分身の一体を消し去った。おお、一石二鳥やな。


 シーファは炎の軌道を変え、分身を風刃で殺していた。流石ぁ。


「グウ……」


 残るは本体。もう後がないぞ。MPもかなり消費しただろうし。その証拠に、息が切れていた。


 本体は最初には劣るスピードで地を駆け、剣をシーファに向かって振り下ろした。


「……遅イ」


 シーファの目がどす黒く光ったと思うと、デーヴの体に傷口が現れた。それも数百。


「ガァアア!」


 その場でデーヴは倒れる。俺は剣を手に戻した。


 その時ーーデーヴの体が光る。ヒール持ちかと思った時には、反射神経で殺していた。ダークウルフの首が中を舞い、それを賞賛するかのような血の雨。決して心地いいとは言えない。だが、もう慣れてしまった。


「終わりましたね、サトル」


 雰囲気が戻ったシーファがにこやかに言う。しかし、その顔には疲労が現れていた。未来に体を貸すのは大きなリスクがあるのだろう。それと同時に、疲労も溜まると。


「シーファはもう休んどけ。あとは俺たちと冒険者でやるからな」

「嫌ですーーと言いたいのですが、お言葉に甘えさせていただきます」


 シーファはぺこりと頭を下げると、ロット国に戻って行った。


 さて、只今の戦況はどうなってるかな?


 周りを見ると、若干冒険者が押している感じだった。最初300体ほどいた魔物はすでに半分を切っている。疲れていた冒険者も必死で戦っていた。


 ダークウルフの討伐部位の耳を剥ぎ取ると、俺は足早に次の魔物のところへ行った。

魔物退治編は結構続く感じで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ