第57話 魔物退治 4 (^O^)
総合評価ポイント数100達成!こんなに早く達成するとは夢にも思いませんでした。
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ダークウルフが動き出す。挑発に乗って動いたのかと思ったが、不思議とそのような感覚はなかった。もしかすると、やはり挑発に乗ったふりをしていたのかもしれない。それほど相手は冷静に動いていたし、俺を翻弄するようにフェイントも入れていた。挑発に乗っている者だったら、こんなことはしないだろう。
……成る程。真っ向から勝負ってことか。奇遇だ。俺も同じことを考えていた。ここはそれに乗ってやろうじゃないか!
俺はダークウルフの攻撃を避け、鑑定を発動させる。
ガキン!
金属音のような音と共に、鑑定が弾かれた。ということは、俺よりも相手のほうが遥かに格上?
『鑑定遮断スキルを持っている模様です』
ありがとう鑑定さん。助かるわ。
「グルゥ……ジ、デ」
ダークウルフが声を出す。俺は奴が言葉っぽいものを発したことに驚いた。
「オ、レ、デーヴ。ジメイ、ゴ、ロ、ズ」
デーヴ?自分の名前?ジメイって使命のことかな?んで殺すと。
「デーヴ、何故ここにいる奴らは人間たちを襲う?魔物は何の意図で俺たちをーー」
「ヴるザイ!シネ!ジヌがいイ!」
デーヴは耳を押さえ、もう聞かないと言わんばかりに首をブンブンと横に振った。何を言っても無駄だと思い、俺は口を閉じる。残念だが、こいつとは戦わなくてはいけない。分かり合えば、いい仲間になれると思ったけどな。
俺は目の前に剣を構える。デーヴは隠していた足の爪も全て伸ばし、尖った爪の先端をこちらに向けた。背中の毛が逆立つ。それだけでも彼の図体は大きくなったように見えた。まあ俺の二分の一くらいだが。
先に動いたのは悟だった。黒々とした剣で横薙ぎをかます。デーヴは上へ飛んでそれを避けると、爪で目潰しを狙った。
「くっ!」
間一髪で剣を戻し、防戦一方に備える。単純な力なら俺が強いが、戦闘テクニックはデーヴのほうが経験を積んでいる。それに、素早さだって負けているだろう。俺なんかただの日本人だったから、そういうところはあまり慣れていないのだ。高校になって本気で走ることなんてそうそうなかったし。
……少し押され気味か。
俺は勘づく。そして、とうとうデーヴのいれたフェイントが俺の腕に直撃した。
「ぐっ!?」
血が吹き出る。指先までの力が全て抜け、剣を落としてしまった。すかさずデーヴが俺の剣を拾い、首めがけて一直線に振り下ろす。悟は火球でデーヴに気がつかれないように、かつ迅速に彼の背後に忍ばせ爆発させた。
デーヴは爆風で俺の頭上を飛んで行き、空中で回転して反対側の地面に見事着地した。もう同じ手は2度とくらわないだろう。
未だに剣はデーヴの手の中にある。このままでは俺は拳と魔法だけで戦うことになってしまう。
「私、参加します!」
横にシーファが並んだ。彼女の参戦はありがたい。
シーファが詠唱を唱えると、俺の右腕は微かであるが回復した。
「グアアアァァァ!」
咆哮を上げ、その次に大きな炎を吐いてくる。これはシーファのウォールバリアさえも貫通してしまう。だが、彼女にあるスキルはそれだけではない。
炎の軌道が変わり、俺の右をかすめて遠くの地面で爆発した。
あっち!ちょっ、少しは俺のこと思ってよね!
1人苦しんでいると、デーヴがまた攻撃姿勢をとった。
「これを使ってください」
シーファがボロボロの剣を取り出す。ああ、羽変化で作ったやつか。でもこれあいつを傷つけられるのかな?
「ありがとう」
礼を言っておき、相手の攻撃に備える。デーヴは爪に黒い靄のようなものを宿していた。あれって渾身の一突き?マジかよ。あれ強いんだよな。
すると、デーヴの身が一瞬ぶれ、あっという間に3人に増えていた。これ分身かな?
3人のデーヴはバラバラの方向に走り始め、一斉に魔法を放ってきた。1人が斬撃波、1人が炎、もう1人が闇球だ。流石にこれだけの数を対処できるとは思えない。シーファが。
俺は飛んできた闇球を剣で受け止めた。ぶつかった瞬間、思わず後ずさりしてしまったがすぐに押し返し、違う場所へと闇球は飛んでいく。俺の剣はボロボロだぁ!
次に斬撃波。爪の形をした銀色の風が、俺たちを切り裂くためにこちらへ向かってくる。悟は手のひらを斬撃波に向け、早口で詠唱を唱えた。
手から炎が出る。詠唱をしたため、威力はかなり違うはず。たぶん。
炎は斬撃波を飲み込み、それだけでは止まらず分身の一体を消し去った。おお、一石二鳥やな。
シーファは炎の軌道を変え、分身を風刃で殺していた。流石ぁ。
「グウ……」
残るは本体。もう後がないぞ。MPもかなり消費しただろうし。その証拠に、息が切れていた。
本体は最初には劣るスピードで地を駆け、剣をシーファに向かって振り下ろした。
「……遅イ」
シーファの目がどす黒く光ったと思うと、デーヴの体に傷口が現れた。それも数百。
「ガァアア!」
その場でデーヴは倒れる。俺は剣を手に戻した。
その時ーーデーヴの体が光る。ヒール持ちかと思った時には、反射神経で殺していた。ダークウルフの首が中を舞い、それを賞賛するかのような血の雨。決して心地いいとは言えない。だが、もう慣れてしまった。
「終わりましたね、サトル」
雰囲気が戻ったシーファがにこやかに言う。しかし、その顔には疲労が現れていた。未来に体を貸すのは大きなリスクがあるのだろう。それと同時に、疲労も溜まると。
「シーファはもう休んどけ。あとは俺たちと冒険者でやるからな」
「嫌ですーーと言いたいのですが、お言葉に甘えさせていただきます」
シーファはぺこりと頭を下げると、ロット国に戻って行った。
さて、只今の戦況はどうなってるかな?
周りを見ると、若干冒険者が押している感じだった。最初300体ほどいた魔物はすでに半分を切っている。疲れていた冒険者も必死で戦っていた。
ダークウルフの討伐部位の耳を剥ぎ取ると、俺は足早に次の魔物のところへ行った。
魔物退治編は結構続く感じで。




