第3話 ルーゲラ大森林で
経験値3だけでレベルが上がるのか。成長はなかなか有能だな。最初だからっていうのもあるかもしれないが。
変化を解く。戦闘が終わり、緊張が一気に抜けた。
ステータスを覗くと、
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル2
HP...57/60
MP...85/90
攻撃...21
防御...19
素早さ...20
魔法...34
《スキル》
・成長 ・鑑定
《ユニークスキル》
・変化
《称号》
・神に気に入られた者
と、表示されていた。
ステータスが大幅に上がっていた。これは嬉しい。ここで称号の鑑定をしていなかったことに気がついたため、森の中を歩きながら鑑定してみることにした。
神に気に入られた者
パグが気に入った者に与えられる称号。パグから伝言があります。
『……やあ、これを見ているということは無事に転生が終了したみたいだね。街の中に転移させたら騒ぎになっちゃうから森の中にしたんだけど、その森はルーゲラ大森林って言って強力なモンスターがたくさんいるんだって』
ーーおい! リスキルとか言ってた割にはやばい所送りやがって! こっちはスライムでも脇腹えぐられるんだぞ! 熊とか出てきたらどうするんだ? なぁ?
『あ、これは音声の録音だから君の声は届かないよ。でも、いやぁ、ごめんね? 転生させるには魔力がたくさんあるところじゃないとダメだからさ。それに、元の姿のまま転生させてあげたでしょ? それも含めてだね』
あ、たしかに、赤ちゃんからスタートとかじゃなかったな。
『赤ちゃんスタートだと成長するまで面倒くさいでしょ? やっぱ冒険はすぐに始めないとね』
なるほどパグ。わかってるぅ。
『転移するところはあまり魔物がいないところにしたから多分リスキルはされないと、思うよ。絶対は約束しないね。後で責任問われても大丈夫なようにね』
おい。
『で、変化のことなんだけど、結構魔力を使うからこの称号に能力を与えたんだ。レベルの成長をよくするスキルもあげたけど、これは魔力を使う者の成長速度を上げる。因みにだけど、普通の男性の魔力は100ぐらいで、ガチの魔法使いとかそういった類になると500とかそこらへん。君はまだまだだと思うけど、これからもっと強くなるよ。あと、この称号にもう一個能力をつけたんだけど、偽造能力っていうやつ。自分のステータスを偽造できるから役に立つと思うよ』
おうおうおう。結構早口だな。
『ま、それくらいかな? 今度会う時、お茶会でもしようね! んじゃ、バイバーイ』
「するか」
はぁ。
あまりにも早い話だったな。取り敢えず、俺の魔力はすごいのかな? 一般男性で100だよね。俺、2レベで34なんだけど。まあ、一般男性の1レベルが魔力100だったら俺はそれ以下になる。そこら辺は人に会わないとな……。
ルーゲラ大森林は、強力なモンスターがいると言っていたが、今の所会ったのはルーゲラフラワーとスライムだぞ。強力なモンスターなんかいないんじゃないの?
大体、強力なモンスターがいるならスライムなんかいなくないか? 生態系云々で狩り尽くされてそう。
とか考えていると、巨大な遺跡が姿を現した。
前言撤回ですわな……。ヤバイ雰囲気しかしない。よし、取り敢えずスライムになろう。そうだ、スライムになろう。魔物に変化すれば魔物からは襲われないかもしれない。
スライムと念じると、体が熱くなってどんどん縮んでいく。戦ってた時には気がつかなかったけど、こんな感じだったんだな。
最後には完璧なスライムになって、近くの水たまりで自分の姿を眺める。おお、スライム。うん。知ってたけど。
しかし、360度全方向見えるぞ。これは万能。不意打ちとかすぐ回避できそう。でも酔いそう。
遺跡は回避しても良かったが、強いモンスターを一目見てみたいという気持ちが俺を動かした。もしかしたら、この世界の水準そこまで高くないかもしれないし。
「あー、あー」
言葉は喋れるみたいだ。いざという時、助けを呼ぼう。魔物がレスキューしにくるかもしれないけどな。勘弁してもらいたいところだが。
入る前に、遺跡を調べようとしたが、鑑定が弾かれてしまった。
鑑定は、弾かれることは滅多にない。あるとしても、ステータスがオール1の人間と、オール1000ぐらいの差でなければ鑑定は弾かれない。その鑑定が弾かれたということは、この遺跡の中には悟を優に超えるモンスターが存在するということなのだが……。そんなこと俺は知りもしなかった。
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