第28話 頭との遭遇
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル32
HP...520/520
MP...850/850
攻撃...199+10
防御...182+10
素早さ...201+10
魔法...260+10
《スキル》
・状態異常無効・鑑定・火魔法・風圧感知・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・変化
《称号》
・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い・馬鹿買い・詐欺師
自身のステータスを確認しながら走る。途中何人かの部下にあったが、言葉を発す前に首をはねた。罪悪感などもう感じない。体が慣れてしまった。慣れとは恐ろしいものだ。人間の体は、俺たちが思っている以上に恐ろしい構造でできている。
自分の感覚が麻痺したみたいで、中には心が壊れてしまったのかもしれないと呻く自分もいた。しかし、それがただの慣れだと知ったときどれだけ拍子抜けしただろう?これだけ殺しているのに。人を殺しているのに。
目を閉じれば、まぶたの裏にこびりついた2つの首が並んでいる光景が現れる。暫くは悪夢にうなされて眠れないだろうな。やはり、慣れたとしても死体を見つめているのは気分が良くない。
曲がり角を曲がろうとしたが、話し声が聞こえたので足を止めた。大勢の人がわいわいと賑わっている。酒臭い香りもした。ここが広場のような場所なのだろうか?
顔だけそっと出してみると、見張りが大きな扉の前に2人立っていた。目をせわしなく動かして侵入者がいないか確認している。俺は一足踏み込む。見張りが俺の姿を見つけるが、ここも声を出す前に殺してしまった。返り血を浴びるが、そんなこと気にしてはならない。
手に魔力をため、火球を生み出す。自分の体ほどの大きさになったところで広場の中に放り込んだ。
「ひ、火球……!?」
中で特大の爆発が起こり、阿鼻叫喚の地獄絵図が映し出された。人々の皮膚は焼け爛れ、生き延びた人がさえ重症で外へ飛び出していく。そこを俺が皆殺しにしたのは言うまでもない。
中に入ると、約50人の人が倒れており、その中には1人結界を張ってガードしている者がいた。他のものより体格が大きく、軽く2メートルは超えているだろう。その背中につけたハンマーはサトルの身長を超す。体につけた防具は俺よりも劣るがかなりいい性能をしている。どこかの冒険者から奪ったのだろうか?
体格の大きいやつは結界を解き、俺を見つけるとハンマーを構えた。まるで隙がない。流石といえば流石だろう。
「頭!俺たちもーー」
横に三人の男が現れる。俺は瞬時に頭、右の男、真ん中の男、左の男の順番で鑑定をした。
ガイア
種族 人間種
状態異常 なし
レベル40
HP...390/390
MP...300/300
攻撃...152+7
防御...130+7
素早さ...185+7
魔法...143+7
《スキル》
・気配感知・気配遮断・威圧・50%必中『未完成』・斬撃刃・障壁・火魔法・闇魔法・パワー
《ユニークスキル》
・ギガパワー・融合
《称号》
・組織の頭・汚い・商人襲い好き
ガド
種族 人間種
状態異常 なし
レベル21
HP...120/120
MP...50/50
攻撃...90+1
防御...82+1
素早さ...100+1
魔法...39+1
《スキル》
・気配感知・気配遮断・斬撃刃
《称号》
・汚い・商人襲い好き
ユムリ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル30
HP...200/200
MP...200/200
攻撃...108+2
防御...93+2
素早さ...129+2
魔法...124+2
《スキル》
・気配感知・気配遮断・斬撃刃・雷魔法・ウォールバリア・クイック
《称号》
・汚い・商人襲い好き
マグライド
種族 人間種
状態異常 なし
レベル20
HP...90/90
MP...30/30
攻撃...87+1
防御...79+1
素早さ...150+2
魔法...15+1
《スキル》
・気配感知・気配遮断・斬撃刃・衝撃波
《称号》
・汚い・商人襲い好き
ゆ、ユニークスキル持ち!?しかも2つ。あの頭、魔法攻撃も出来るし、この四人で一気に来られたら俺もどうなるかわからないぞ。組織に入りましたが殺されました〜みたいなことにはなりたくない。だが、四対一は辛いな。
最後のやつも頭にはかなわないが、素早さが高い。っていうよりも全員気配遮断と気配感知を持ってるのが辛いな。斬撃刃とか絶対遠距離派でしょ。
50%必中も気になる。ここは、周りの3人から殺していかなければーー。
殺す、か。
当たり前のように言葉を思い浮かべる自分自身に心の中で苦笑を浮かべる。
「来ないのか?ならこちらから!」
真ん中のユムリが槍を持って迫る。その速さは余程のものだが、俺が避けられないことはない。その槍攻撃を避け、相手の体勢が崩れたところを狙う。
その剣が首に触れるかどうかわからないほどの距離まで来た時、俺の剣が弾かれた。答えはわかる。突然ユムリが速く動いたのだ。クイックの効き目だ。
後ろへ飛んだ俺に向かって大きなハンマーが振り落とされる。バックステップで更に交わすと、俺が先ほどいたところは陥没した。あのハンマーもヤバイ。
すると、俺の体が危険を察知し、勝手に怯んだ。威圧だろう。その隙を狙って向かってくる3人はそれぞれの武器を突き出す。俺の服に武器は当たり、その衝撃で俺は後ろへ吹っ飛ばされた。
「ぐっ……!」
鎧のおかげであまりダメージは入っていないが、この攻撃が続けられたらこっちは何もできない。何か対策は……ん?俺って状態異常無効あるじゃん。なんで威圧食らったのーー!?
『状態異常無効スキルを発動しますか?』
いや発動してなかったんかい!発動するよ!
』状態異常無効スキルを発動しました』
頭のガイアの目が光る。あれが威圧か。しかし、俺にそれは効かない!
痺れた振りを見せて、近づいてきた3人の中の素早さが飛び抜けた奴を攻撃する。首から上がなくなり、周囲に血を撒き散らした。
「なっ!?威圧が……」
「普通のやつだったら死んでいただろうな。だが、俺には効かない。一度は油断したがな」
「っ……」
ガイアが押し黙る。さあ、第二ラウンドを始めようじゃないか。




