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第223話 魔王の力

区切りよくしたかったため、短めでございます。

「暗黒星雲ッ!」


 言葉を交わした後、すぐに次の手を打つ。


 絶対命中の、視界を奪う技。それなりのMPも使うが、出し惜しんでいる場合じゃねえ。


「うっ……」


 マオウが顔を歪める。尾を巧みに動かし、マオウに傷を与えていく。


「チッ」


 ヤツは目が見えない状態でもオレの攻撃をかわしていた。全てというわけはないが、避け切れるものは確実に避け、腕だけでいなし、さらにはカウンターを叩き込もうとしてくる。


 厄介極まりない。


 マオウのカウンターがオレの頬をかすった。マオウはニッと不敵な笑みを見せる。


 接近戦には危険性があると判断し、一旦後ろへ下がる。マオウは目をパチパチとさせて、視力を回復しているようだった。持ってあと3秒か。


 オレの周りに複数の魔法陣が展開される。魔法陣の中からは黒い槍が姿を現し、それは一斉にマオウへ飛来した。


「放電!」


 槍に気がつき、マオウは全体に広がる電気魔法を発動した。結果として槍の動きが鈍っただけだったが、それをゆっくりと叩き落としていく。


 時間を与えないため、更に猛攻を続けた。魔法陣からは次々と槍が飛来するが、マオウに当たることはない。


「コツを掴めば割と簡単だねー」


 それだけではなく、余裕に独り言をつぶやいていた。


 沸々と湧き上がってきた怒りを必死に沈め、自身に言い聞かせる。これは単なる足止めだ。怒る意味も必要性もない、と。


 力を込め、尾を肥大化させる。棘が生え、棍棒のようになった。


 一回転をし、遠心力にて尾を振り回す。大雑把で、初見でも十分に避けられる技だが視界が奪われている状態だと厳しい。なんにせよ、攻撃範囲が広いのだ。


 マオウはバックステップで躱そうとしたが、尾は更に伸び、脇腹に直撃。マオウはよろけたが、すぐに体勢を整えた。


 その目に光が戻る。


「あーあ。HPが180も減っちゃったよ。ただの足止めにこれだけくらうとはねー」

「ケッ。負け惜しみを。もしかしたらこのまま倒しちまうかもなあ」

「え? 何言ってるの? そんなわけないじゃん」

「テメェ……」


 怒りを鎮め、戦闘体勢をとる。


「今度はこっちの番だよー」


 オレが攻撃するよりもワンテンポ速く、マオウが動いた。一歩踏み出したかと思うと、目の前にマオウが現れる。


「ッ!?」


 気が付いた時には、その拳が顔面にめり込んでいた。


 遥か空中に投げ出される。


「クッソがぁ……!」


 目の前にはマオウがいる。両手を握りしめ、思い切り振り下ろされた。


「が……ッ」


 地面と衝突する。血を吐いた。


「水晶槍」


 土魔法の最上位攻撃魔法。七色にきらめく水晶の槍が無数に降り注ぐ。


 急いで浮遊し、それらを避けていく。


「放電」


 背後からバリッと音がして、痛みと共にオレの体が動かなくなった。不意を突かれた。


 槍が右腕を貫通し、血が噴き出す。麻痺が消えたところで槍がオレの中央を狙ってきたので、右に飛んだ。


 そこで、気がつく。オレを誘導するための槍の不自然な配置に。


 槍に囲まれる状態になり、焦燥する。


 空間の揺らぎを感じたからだ。それも、オレの腹の辺り。姿は見えないが、マオウが消滅を使用したのか。


 迷っている暇はない。オレは空高く舞い上がる。予測していたかのように槍が襲ってきたが、構わず突進。腹を切り裂かれるが構わない。消滅するよりかはマシだ。


「意外と力任せなんだね、ガーム。いや、予想通りっちゃ予想通りだけどさー」


 しかし、槍を抜けた先にマオウがいた。


「てーー」


 咄嗟に魔法を発動するべく叫ぶが、マオウの方が速い。


 乾いた音が響き、視界が黒く塗りつぶされる。何が起こったか分からなかった。


「危ない危ない。なんの魔法を発動するかわからなかったけど……」


 頭部の感覚がない。……潰されたか。


 ここまで圧倒的だとは思わなかった。隙を作らせなかったのはマオウの方だ。そして、オレの行動を的確に当て、次の手を先に仕込んでいく。


 …………。


「ーーん、い」

「あっ」


 マオウの叫び声を最後に、オレには何も聞こえなくなった。


 転移魔法。これを使い、オレは逃げた。


「ーーーー!? ーー!」


 聞こえない。見えない。話せない。


 ……意識は溝の中にゆっくりと沈んでいった。

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