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第216話 起きる

 目を覚ます。


 いつも通りの天井……ではなかった。というよりも、俺は立っている。


 そう。ここは神界だ。


 自分の意思で来られるようにはなった。パグがいない時もあるけど、神界を散歩するのも結構楽しい。翌朝すごく疲れて起きるけど。


 つまり、自主的に行く場合は俺の体力を使うということ。


 今回は自主的ではなく、お呼ばれされた。


 一連の流れをみていたのだろう。そして、呼ぶべきものだと判断した。こう考えるのが妥当かな?


 白い柱で支えられた神殿の中に俺とアーヌがいた。


 アーヌも連れてこられてた。そう願ったからな。


 パグ、準備が早い!


 かっこいい!


 流石!


「でしょでしょ?」


 気配すらなく、背後から幼い声が。


 あ、俺が感知できないのか。


「うわっ!?」


 アーヌが声に対して飛び上がる。お前は感知できただろ。


「な、なんだ……。ガキか」

「ガキとはなに? 僕は君よりもずっとずっっと生きてるはずだけど?」


 殺気が放たれる。おお、こわい。


「す、すまん」


 ブルリと体を震わせ、アーヌは謝った。俺でもパグの威圧には勝てない。


「分かってくれたらいいんだよ」


 パグは上機嫌に話し始める。


「見てたから分かるけど、大変な目にあったね、サトル」


 俺の方を向いてパグは言う。


「そうなんだよ。俺が考えるには、死神の仕業だと思うんだが」

「ビンゴ。っていうか、それしかいないよね」


 いつになく真剣な顔に、俺の表情も引き締まった。


「元に戻る方法を探しているんでしょ?」

「ああ」


 もう一つの目的は、これ。当たり前っちゃあ当たり前だ。


 魔王がいつ攻めてくるのかわからないこの時に、魂同士が交換されて弱体化する事態だ。この情報が魔王の耳にでも入ったとしたら……。


 うん、死ぬわ。


「僕としては、戻す術は一つだけあるよ」

「なんだと!?」


 俺の代わりに反応したのはアーヌだった。


「一体どうすればいい!?」


 凄まじい気迫でパグに迫るアーヌ。パグは苦笑いだ。


「えーっと……あー、でもあんまり僕としては……」


 ん?


 一つあるとか言っておいて、急に言動がおかしくなってきたぞ。


「いいから教えろ!」

「うーん……」


 考えるパグに、俺は尋ねてみる。


「そんなに危険なことなのか?」


 と。


「危険……ではないけど、僕自身会いたくないっていうかなんというか……」


 あのパグが会いたくない人物。


 いつも陽気で、誰とでもうまくやっていけそうな彼が会いたくないといった者。


 ますます気になってきた。


「俺は、元に戻れる可能性があるなら是非会ってみたい」

「…………分かったよ」


 長い検討の末、パグは渋々と頷く。


「でも、決して僕の名前を出さないでね?」

「なんでだ?」


 アーヌが聞く。


「本当に苦手なんだよね……」


 そんなに嫌なら、聞いてあげないわけにはいかない。


「分かった。で、そいつのところにはどう行けばいいんだ?」


 パグは指先で大きく円を描いた。中を見渡す限り漆黒の門が現れる。一回使ったことがあったな。


「この先にいるはず。これだけは約束して欲しいんだけど、無礼な真似はしないように。特にアーヌ君! 言葉遣いに気をつけて! 彼女がその気になれば、君たちなんか死んだことにも気がつかず魂ごと壊されるよ」


 なにそれこわい。


 え?


 危険じゃね?


 アーヌを持って行ったらダメじゃね?


 詰んでね?


 アーヌはここで待機してた方が得策かもな。


「無論、俺も行く」


 行くんかーい。


 俺の心を読めてるはずだから、空気も読んでくれるかなと思ったんだけどな。


「無論、僕は行かない」


 行かないんかーい。


 ま、苦手意識を持っていたみたいだし、しょうがないと言ったらしょうがない……のかな?


「空間を繋いでいても、許可を得なければ向こうにはいけないと思うよ。そこはなんとか頑張って」


 適当なんかーい。


「取り敢えず行ってみるかな」

「おう」


 パグが開いた空間の中へと飛び込む。後ろからアーヌもついてきたのは感覚で分かった。


 移動は一瞬だ。しかし、見えない壁に阻まれているのか一向に出口が現れない。


 あれ? なんか辺りの光景に黒い不純なものが混ざってきたぞ?


 こういうものなのかな?


「おやおや。これは珍しいお客ですね」


 声が反響する。鈴を転がしたような、女性の声だ。


 アーヌは声の主を探しているようだが、見つからない模様。声だけを響かせているらしい。


「私に何か用があるのですか?」

「……そうです」


 異世界に来て初めての敬語をここで使うことになるとは。


「慣れない敬語は使うものではないですよ。フリーに接してください」

「……分かった」


 俺の敬語、ここに散る。


「お前は誰だ?」


 アーヌ、流石に軽率すぎるぞ。


 まあ、思えばパグにどういう人なのかは聞いていなかった。でももう少し俺の心臓を考慮して発言してくれません?


 パグにあんなことを言われたせいで、バクバクでっせ。


「私はこの世の頂点に立つ神。名前は、ジンとでもお呼びください」


 ジンか。日本人にいそう。


「ジン。俺たちを元に戻すことはできないのか?」


 呼び捨てかよ! つ、潰される! 殺される!


「ふふふ。そちらの少年の心臓に悪いですよ」


 面白そうに女性が笑った。くそ、楽しんでやがる。なら俺もヤケクソだあ!


「俺からも頼む。パグの話によるとジンなら何かを知っているようだったからな。この状態から抜け出すか、あるいは元に戻る方法を探している。何か知っていることはないか?」


 呼び捨てだろうが関係ねえ!


「知っていますよ。ですが、無条件で話すことはできませんね。現世への干渉になってしまうので」


 条件つきならいいんだ。


 セージにいる俺たちに情報を与えるということは、現世への干渉になるらしい。ふーん。


 ……条件付きだといいの?


 え?


 定義がよく分からん。


「条件とは?」


 聞いてみると、あっさり答えが返ってきた。


「人助けです」

「へ?」


 間抜けな声を上げるアーヌ。俺もてっきり○○を倒せ! とかそういうのだと思ってた。


「貴方も知っている人ですよ。ああ、神でしたか」


 神?


 神の知り合いはそんなにいませんよ?


 あ、いたかも。


 ニ、ニガさんだっけ?


 お、なんか思い出してきた。


 確か指輪を調べて出てきた異空間の中に入ってその中にはロボ子がいて戦ったんだけど離脱してあとあと神界に行って聞いてみたらそいつはとある神の妹でその兄がニガさんと名乗って神は現世に干渉できないからお前任せたみたいな流れになったんだよな。


 うんうん。


 長いよ!


 まずまず名前あってるの? すごい不安。


「目的は分かったみたいですね」


 名前に対しては彼女は何も言わなかった。もしかして忘れてる?


「そんなわけないですよこの私が神の名前を忘れるなんてあってはなりませんから」


 早口ですよー?


 ジンの言う通り、条件は分かった。それを達成すれば元に戻してくれるのかな?


「はい」


 よおし! やる気が湧いてきたぞお!


 ……ん?


 結局戦わないといけないのかよ!

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