第22話 決着?
ゴミどもが近づいてくる。2人は剣を構えた。やっぱり、2対1なんだな。
「に、2対1?卑怯です!」
シーファが叫ぶが、男どもは聞こえないふりをしている。俺はその間に鑑定をした。
ゴイス
種族 人間種
状態異常 なし
レベル12
HP...60/60
MP...10/10
攻撃...35+5
防御...25+3
素早さ...29
魔法...3
《スキル》
・真っ二つ切り・渾身の一突き
《称号》
・暑苦しい・絡み男・困らせ屋
サット
種族 人間種
状態異常 なし
レベル10
HP...50/50
MP...65/65
攻撃...14+3
防御...12+3
素早さ...41+3
魔法...80+5
《スキル》
・気配遮断・闇魔法・クイック
《称号》
・ヒョロ男・魔法ピカイチ・女好き
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル32
HP...520/520
MP...680/850
攻撃...199+10
防御...182+10
素早さ...201+10
魔法...260+10
《スキル》
・成長 ・鑑定・火魔法・風圧感知・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・変化
《称号》
・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い・馬鹿買い・詐欺師
ごつい方がゴイスで、ヒョロイ方がサットだな。ちなみに俺のステも確認したが、詐欺師って何だ詐欺師って。俺は金で防具を買っただけだ。詐欺ではないぞ。
魔法の練習もした意味なんかなかったかもしれない。想像以下の雑魚だったな。
「さあ、始めようか」
「私も……!」
俺はシーファが前に出ようとしたところを止めた。怪訝そうな表情でシーファが見てくる。
「シーファを危険な目に合わせたくない」
そう言うと、不承不承といった感じでシーファは後ろへ下がった。俺は剣を構える。案の定、男たちは笑う。
「カッコつけやがって。あとで後悔すんじゃねえぞ」
もう、勝てると確信しているのだろうか。ゴイスとサットはニヤニヤと意地悪い笑みを止めない。俺は剣を奴らの喉へと向けた。ギルドの時とは違って、やはり鎧を着ている。ここは、何もない喉を狙うことだ。殺すことは……。考えない方がいいな。
最初に切りかかってきたのはサットだった。持ち前の速さとクイックでさらに速さをあげる。だが、それでも俺の方が格段に速い。こいつは魔法だけ高いし、最初に片付けた方がいいかもしれない。
ウルフに爆破攻撃をされて気がついたことだが、どれだけ自身の魔法能力が高くても他の弱い魔法攻撃を食らったら、体力がかなり減る。ステータスに魔法防御がないのがその証拠だ。すべての生物にこれがないとしたら、全員魔法防御が表示されていなくても0という結果になる。だから、俺の魔法防御も0。1の全力魔法攻撃を食らったら50くらいは減る。そこがこの世界の欠点だ。この世界の生物は魔法に対して弱い。そして、ここに転生してしまった俺も弱くなってしまったということだ。
そう言う結論で、こいつを先に倒すと決めた。
「こっちだよ」
後ろから声が聞こえるが、背中に剣を差し出すことで背後からの奇襲を防いだ。
「なっ!?」
サットの驚く声。その間に、正面からゴイスが突っ込んでくる。こいつは体力馬鹿だ。受け止めてもいいが、その場合隙が生まれるので悟は上へジャンプして靴の能力で空中を跳ねる。ゴイスは勢いを止められず、サットへぶつかった。
地面へ着地すると、ゴイスとサットはもみくちゃになって倒れていた。ステータスを見ると、どちらも残り10ほどしかない。俺何もやってないのに。
「く……汚い野郎だ」
どっちだよ。
「こうなったら……」
サットは立ち上がった。ここで俺が首に剣を置けば勝ちになるのかな。
俺が一歩踏み出すと、サットは笑い声を上げた。その頭上に、大きな黒い球が出現する。俺は後ろへ飛びのいた。
「ヒヒッ。こんなことにも騙されるとはな」
サットが言う。悟は自分の愚かさを呪った。HPが残り10でも、動けることは百も承知だ。サットは倒れたふりをして魔力を込めていたのだ。ああ、最初に言った予言が当たってしまったな。あれを受ければ俺もボロボロだぁ!
サットを気絶させようと一歩踏み出すが、ゴイスが行く手を阻んだ。
「ちぃっ!邪魔だ!」
全力でゴイスを剣で薙ぎ払うと、その鎧がみしりと音を立てた。ゴイスは横へ吹っ飛んでいく。壁にぶつかり、壁は放射線状にヒビが入った。
サットに向き直ったが、そこにあったのはサットではなく巨大な黒い球だった。
「くっ!」
火球を対抗策として飛ばすが、すぐに中に飲まれてしまった。爆発させようと思ったが、すでに火球はない。俺は、防御として剣の腹でそれを受け止めた。
重い。しかし、弾けられないものではない!
思いっきり剣で弾くと、黒い球はサットの横をかすめて奥へと飛んで行った。その先には人。
「っ!?危ない!」
俺はその人を助けようと駆け出す。すると、球は球に方向を変え、その人の真横の壁へと激突した。
見ると、シーファが親指を立てている。風圧変化で軌道を変えてくれたのだろう。俺も親指を立てて返すと、ちょうどサットが魔力切れで倒れたところだった。勝負は決したな。
まずは壁の近くで倒れているゴイスに近づこうとすると、後ろでわずかな風圧を感じた。振り向くと、サットが血の気をなくして倒れている。何か不穏を感じ取った悟はそのステータスを確認した。
……死んでる?
HPが0になっている。どうしてだ?魔力がなくなっただけでなぜ!?それに、スキルもなくなっている。
ゴイスの方を向くと、また血の気をなくして倒れている。死んでいることは明らかだ。さっきは死んでいなかったのに。
混乱している俺は、さらなる風圧を感じた。思わず上にジャンプして、空中を跳ねると下を黒い武器が通過した。それは幻影を残して、もうすでにそこにはないことを表している。
首筋に風圧。剣を差し出すと、金属音がして俺は30メートル先の壁まで吹っ飛ばされた。
「がっ!」
壁にぶつかり、意識が朦朧とする。すぐにシーファが駆け寄ってきて、ヒールをしてくれた。
「ど、どうしてんですか?急に飛んだと思ったら吹っ飛ばされて・・・」
シーファには見えなかったのか?相手の攻撃が速すぎたのかもしれない。
手の中の剣はなくなっており、俺から10メートルほど先に落ちていた。
拾おうとすると、急に剣がなくなり、喉に冷たいものが当たる。それは、俺の剣だった。
俺の剣を持った奴は、全身黒い服だった。顔には狐の仮面をつけ、左手に俺の剣、右手に鎌を持っている。
「中々やるようだな」
透き通った声。普通なら、その声に見惚れていただろう。しかし、今は状況が違う。こいつは。先ほどの黒い球に襲われた人だった。
死神……!
俺はそう感づいた。




