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第21話 魔法の特訓

  お決まりのテンプレです。ああ、絶対こうなると思った。


  ごつい男はヅカヅカと近づいてくる。その横には細い男がいた。その顔は見るからにいやらしく歪んでいる。シーファを見ているようだ。


「依頼の横取りをするんじゃねえ。俺たちはな、Dランクだぞ。お前はさっき登録したFランクだな?俺たちからの権限によってその紙は貰っていく」

「ヒヒッ。口答えするんじゃないぞ。その女も、もう僕たちのものだ。可愛がってあげるから、安心しろよ」


  やっぱりな。


  シーファは俺の後ろに隠れ、震えている。ここは男として守らなければ。


  俺の握った紙を取ろうと伸ばされた右手を剣の柄で弾いた。


「だっ!?何するんだ!」


  思惑どうり男は手を押さえて一歩後ろへ下がる。かなり強めに叩いたから、少しは痺れているだろう。


「君さあ、僕たちの言うことを素直に聞いてればこんなことにはならなかったのに。もう一度言うけど、その依頼と女をよこせ」

「嫌だ」

「そうか……」


  細い男は長い剣を腰から出した。その先端を俺に向ける。


「なら、死んでもらう」


  テンプレ発言。


  ごつい男も背中にあった剣と盾を構えた。


「ちょっと、サトルさん!」


  受付嬢のミーノが止めに入るが、向こうの男たちがあしらった。


「何してるんだ?冒険者同士の争いには関与しないって話だろ?」

「本当だな。受付嬢はさっさと戻って受付の相手でもしてろ」


  そして、俺に向き直る。


「この中でやりあったらさすがにヤバイ。外の練習場で今から10分後にやりあおうじゃないか」


  ごつい男はそう言い、外へ向かっていく。細い男はまだ俺に注意を向けたまま、姿を消した。


「あの人たち、怖いです……」


  シーファが呟く。俺は、彼女に辛い思いをさせたくなかった。


「俺がシーファを守る。必ずあいつらを倒してみせるさ」


  シーファは安堵の表情を見せる。俺たちは準備が整っているが、あいつらは鎧等を装着していなかった。きっと、守りを固めてくるだろう。あの意地悪い笑みのことを浮かべると、自然と何か特訓をしなければという発想に至った。きっと、2対1で攻めてくるだろう。その時には俺だけで対処できるようにならなければいけない。お決まりとは言っても、仕掛けられた側が敗れてしまったらなんかダサいよね。


  そこで、俺は魔法の特訓をすることに決めた。横にシーファがいるし、10分だけでも何かできるだろう。そんな楽観的な思考だ。


「シーファ、魔法を教えてくれないか?」

「魔法ですか?いいですけど、サトルは魔法を使えるんでしたっけ?」

「使える。でも、前にロウソクみたいな火を出しただけだ。詠唱の仕方もわからなかったしな」

「詠唱なしでできるのも相当すごいんですけど……」

「基本的にどんな魔法があるんだ?」

「魔法の種類は、火、水、雷、土、風、光、闇、生命ですね。闇は使える者もいますが、魔物が使える魔法として世に知れ渡っています。生命となると伝説級で、今この世でも使える人は判明してませんよ」


  生命?あれ?死神?ん?


「どうされましたか?」


  シーファが顔を覗き込んでくる。今死神の話をしても怖がらせるだけだし、黙っておこう。


  俺が首を横に振ると、シーファは練習場へ行きましょうと話しかけてきた。まだ、時間は7分ほどある。


「魔法を練習するのです。属性を聞いただけでは練習になりません」


  あ、張り切ってる。ここは素直に従うべきだな。俺も魔法の練習したかったし。


  そういうことで、悟たちは練習場へ向かった。


「火の詠唱魔法はーー」

「《火よ、我が身につき力を与えよ》だろ?」

「そうです」


  説明を邪魔されたからなのか、少し不機嫌そうだ。


「シーファはすごいな。いろんなことを知っててさ」

「……」


  あれ?わざとらしかった?シーファはちょろくなかった。どこかのスライムさんとは違って。


「話を続けますけど、私が知っている火魔法は3つあります。あんまり得意ではないので、覚えていないだけですけど……。それで、1つ目が火球です。言葉で想像つくかもしれませんが、火の玉を飛ばす魔法です。2つ目が、爆破魔法です。これは、火の玉を飛ばして爆発させるということで火球とのコラボですね。3つ目が、終焉の猛火です。この魔法ひとつで、1つの大陸を何もかも焼き尽くしたと言われています」


  明らか様に最後のだけヤバイのだが。1つの大陸って……。俺そんな物騒なの覚えたくないなぁ。


「最後のにいたってはこれも伝説級です。使える人なんか見たことありません。っということで……」


  シーファの目がキラリと光る。俺は大体予想した。


「サトル、やってみてくださいよ。終焉の猛火。手に魔力を集めてばあぁって」

「そんなこと言われても……詠唱は同じなのか?」

「さあ?」


  ダメじゃん。って、そんなすごい魔法が普通の魔法と同じ詠唱だったらこっちがビックリだわ!


  そういうことで、俺は火球の練習とそれを爆発させる練習を行った。


 最初はあの時のロウソクみたいな火しか出なかったけど、最後には俺の頭ぐらいの大きさが出せるようになった。爆発も、コツをつかめば誰でもできる。


 手のひらに集めた魔力で火の中に魔力を注ぐ。離れたところにも注げるかどうかが肝心だ。


 この時には、超能力で火を動かすみたいな感覚で力を入れる。すると、内側に溜まった魔力が爆発する。


 簡単だから、やってみてください!すごい簡単だよ!


  俺が魔法の練習をしていると、すでに10分が経っていた。悟は魔法から剣に切り替えて、新しい剣の素振りを始める。重力が軽く、近くの木の枝に一振りしてみると、何の抵抗もなく切れた。万能すぎ。


  そうこうしていると……。


「おお、戦いの前に練習とはいい心がけじゃないか」


  ゴミどもが現れた。

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