第20話 冒険者登録
ギルドに戻り、シーファが服の上からローブを羽織ると翼が違和感なくすっぽりと隠れた。これで、ローブを脱がない限り翼は見えないだろう。
「ありがとうございます。これ、いいデザインですね!」
シーファは気に入ったかのように黄色のドーム型の線がいくつも引かれている赤いローブを見つめていた。やっぱりシーファに赤は似合うな。俺のファッションセンスはいいようだ。
俺の買った杖も振り回して遊んでいた。杖は振り回して使うものではない気がするが……。
「サトルの服もいいですね!」
俺の全身は暗い青色で、見た目は布切れのようだが、高い耐久性を持つ。布切れに見えているのは服の形を変え、自分の好きな形にした。色までは変えられなかったが、かなり良いものだろう。
シーファも満足し、俺も満足。シーファは急いで外に出ようとしていた。
「はやく街というものを見てみたいのです!冒険者登録をして、魔物を退治したら街をゆっくり回るのです!」
はやく行きたいんだな。俺も腹が減ってきたし、そろそろ金を稼がなければ。
「腹が減っては戦ができぬ。だからな」
「なんですか?それ」
「俺の住んでいたところのことわざだよ。お腹が空いていては、戦うこともできないからいっぱい食え、っていうことだ」
「コトワザ?」
シーファは一部考えるような顔をしていたが、すぐに魔法陣に乗って先に行ってしまった。
俺も後を追う。もうすでにシーファはいなかったので、下へ降りると受付らしきカウンターの前にシーファが待っていた。
「遅いです」
遅いか?まだ別れてから数十秒しか経ってないぞ?まあそこは置いといて……。
受付の前に立つと、横にいた受付嬢がそそくさとこちらへ来た。にこやかに笑う受付嬢は、最初に口を開く。
「こんにちは!宿に泊まっていらっしゃったサトルさんとシーファさんですね。今日はなんの御用で?」
「冒険者登録をしたくてな」
「かしこまりました。ではこちらに血を垂らしてください」
針とカードを渡される。俺は針を指先に刺して、真っ赤に膨れ上がった血をカードの上に垂らした。すると、カードにどんどん色が付き、白色が灰色へと変わっていく。
「説明します。冒険者登録をするとそちらに色が付きますが、Fランクが灰色、Eランクが薄黄色、Dランクが黄緑色、Cランクが水色、Bランクが青色、Aランクが赤色、Sランクが金色となっております。最初は誰もFランクからですが、魔物討伐依頼などをこなしていくとランクが上がっていきます。短い時間でたくさんの依頼を達成するとランクが上がりやすくなります。冒険者ボードが彼方にあるので、そのボードから依頼を探してください。そこからは依頼の紙を受付まで持ってきてくださいね。依頼は1つ上のランクまで出来ますが、無茶はしないでください。なお、ボードに書かれた時間以内に依頼を達成しないと違約金が発生するので注意をしてください。それと、冒険者同士の争いごとにはギルドも関与をしないつもりなので、宜しくお願いします」
長い長い。
取り敢えず俺は頷くと、受付嬢はカードを俺に渡した。
「もう1つ、最後にギルドカードの端に人差し指を押してください。指紋が付くと、ご自身のステータスが表示されます。他人に見せたくない場合は、消すこともできます。レベルアップなどはこちらで観覧してください。そして、カードは念じると消えることができるので、荷物にはなりません。もしもなくした場合は銀貨5枚で再発行ができますよ」
悟とシーファは人差し指を右端に押し付けると、指紋が浮かび上がったことに驚きの表情を見せた。さすがは魔法の世界。なんでもアリだな。
ステータスは未表示でいいや。見られるのは自分の中身を覗かれている感覚がして嫌だからな。
「私はミーノと申します。よろしければ覚えておいてください」
ミーノが自己紹介をする。俺たちはお礼を言い、冒険者ボードの前に足を運んだ。
「どれがいいか?」
シーファに質問をする。ここはFランクのボードだ。宅配や、落し物探しなど地味なものしかない。報酬もイマイチだ。もう一度シーファから光銀貨を出させないためにも、いい報酬のやつを頼みたい。
Eランクのボードへ移ると、ようやく魔物退治の依頼があった。シーファははやく杖の性能を試したいのか、魔物退治一択だ。俺も剣を振ってみたいし、これにすることに決めた。
期間は1日。この世界の1日は24時間で、日本と変わらない。しかし、持ち運びの時計がないため空の変わりようで時間を理解する。慣れてくると以外とわかるそうだが、俺には区別がつかないぜ。太陽よりも小さく、2つある星が発光していて、この世界を照らしてくれている。その反対には月みたいなのが1つある。ここは地球と変わらない。
報酬は銀貨1枚。Eランクにしてはいい報酬だと思う。多分。
紙を取り、受付へ向かうと先ほどのミーノが対応してくれる。
「ゴブリン退治ですね。場所は馬車で30分ほどの場所なので、最初ですし私が馬車を手配しておきますね」
おお、ありがたい。
「ゴブリン10匹が討伐依頼となっております。ご確認よろしいですか?」
「ああ。大丈夫だ」
「では、ギルドカードを」
ギルドカードを出すと、ミーノがその真ん中にハンコを押した。そのハンコには文字が書かれているが、案の定俺は読めない。
ハンコの文字は薄れていき、カードに浸透した。見えなくなると、ミーノは俺にカードを渡す。
「はい。今から24時間。頑張ってください」
「サトル、行きましょう」
よかった。他の冒険者には巻き込まれなかった。安全安心。
ん?待て。これフラグなんじゃーー。
馬車を待とうと外に出ようとすると、声をかけられた。
「おい!それは俺たちが狙っていた依頼だぞ!横取りするな!」
D・E・S・U・Y・O・N・Eーーー‼︎‼︎‼︎




