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第166話 神界にて

 パグと2人行動。時空間を超えて移動するみたいだ。空間の中は赤や黄色と様々な色が発光し、なかなか幻想的だ。


 そして、まあまあ時間がかかる。その間にお話だ。


「神力感知でパグの力を分けてくれたりしないのか?」

「え、もう分けてるでしょ?」


 そうなの? 神力感知発動したっけ?


「転生特典で鑑定とかあげたよね? これ全部神力感知を応用したやり方なんだよ」


 初めて知った。


「神は神力感知を使って相手に力を授けることができるんだ。ま、それも一部だけどね。僕は優秀だからかなりの力を上げられちゃうけどさ!」


 そう言って胸を張るパグ。自画自賛している画にも慣れた。


「それは神だけなのか?」

「うん。人間が神以上の力を手にしたのなら、出来ないこともないけど。いつか君もできちゃうんじゃない?」


 人外って言われてる身だしなぁ。酷いこと。


「もう着くよー。あの2人はいつも一緒にいるから聞く分には面倒臭くなくていいんだよね」


 独り言のように呟き、パグは右手を振った。途端に、光が差し込む。


 白く輝く方へとひたすら歩く。やがて視界が光で埋め尽くされーー。


 目を開ける。背後で通ってきた道が閉まった。ここでもきちんと空間感知は働いているのだ。


 《んだァ? 断りもなく人の狸毛行きに勝手に入ってきやがってよォ》


 そこには一体のロボットが。いや、全く機械に見えないが口から出る言葉はいかにもロボだ。それに言葉遣いが悪い。


 ん? でもなんで一体だけなんだ?


 《そいつァ人間じゃねェかよォ。こんな場所に人間を連れてくるとかついに頭がイッたかァ?》

「僕は天才だからね。頭がおかしくなるとか、あってはないことだよ」

 《お前さんも変わってねェなァ》


 黒髪でスカイブルーの瞳。薄い鎧を着込んでいて、動きもスムーズだ。年齢は20才に見える。コイツ本当にロボか?


 《生憎今はァ、気分がワリィんだよォ。出直せェ》

「うーん……。一回聞いていいかな?」


 パグの視線は辺りを見回すようにして、最終的にはロボ兄さんに止まった。


「君の妹ってーー」

 《あ"ぁ"? オメェ、それ以上言うとぶち殺すぞォ?》


 だだ漏れる殺気。地上では感じたことのない、恐ろしいまでの威圧に身震いしてしまう。並の人だったら倒れていたかもしれない。俺だってギリギリ意識を保っているぐらいだ。


 神怖。


「ははは、ごめんね。悪気はないんだよ」


 俺がこんなにも頑張っているのに、殺気をもろに浴びたパグは何食わぬ顔で笑っている。余波だけでこんなんなのに……。


「実はね、僕が担当する世界でロボを見つけたっていう人がいるんだ」


 明らかにロボ兄さんの表情が変わる。ロボでも変わるんだ。操作してんの?


 《誰だァ!? 話を聞きてェ。それこそ、拷問をしてでもなァッ!》

「拷問……。する必要ないと思うけど。だって、ここにいるし」


 ギロリと、鋭い瞳が俺を睨む。それまで会話に入れなかった俺は一瞬狼狽え、右手を挙げた。


「あ、どうも。悟だ」


 取り敢えずの会釈。


 《ク、クハハッ》


 何がおかしいのか、笑い始めるロボ兄さん。


 《クハハハハハハッ!》


 なれこれ超怖い。


 《おもしれェじゃねェか、あんちゃんよォ》


 よくわからないが、気に入られたらしい。それはそれで嬉しいので何も言わないでおく。


 《てんで冴えねェガキだと思ったがよォ、なかなか力ついてんじやねェか》


 ステータスでも見られたのかな? 別にいいけど。


 それまでとは打って変わり、ロボ兄さんの表情が明るくなった。その表情には多少の陰りがある。もう何も突っ込まないぞ。


 《で、教えてくれねェのか? 俺様の妹はどこにいやがんだぁ? あ"ぁ"?》

「死神の部屋だ。と、言ってもわからないか?」


 ロボ兄さんの表情が険しくなる。あれ、知ってるの? でも世界は違うはずだよね?


「死神はね、神のいる世界に乗り込んできたことがあるんだ。神たちは協力して撃退し、結界を張った。そのせいで死神はここにこられないんだけど、その戦いの代償に何百人の神が死んだからね……。一生歴史に残ると思うよ」


 珍しくパグはため息をついた。


 《あん時ァオメェがいなきゃァ勝てなかったからな。俺も死んでたところだァ。本当に感謝してるぜェ?》


 言葉に嘘はなさそうだ。パグって優秀な神だったんだ。へー、そうだったんだー。


「前から言ってたよね!? 僕って優秀なんだよ、ふふん」


 あ、はいはい。よくわかった。


 《チッ。人間界にあるのかよォ。俺様たち神はァそっちの世界に手出しができねェ。出来るとしたら、オメェだけだろうなァ》


 ロボ兄さんは俺を指差す。やっぱそうきましたか……。


「そうそう。だから連れてきたんだよ」


 パグはこのことを想定していたらしい。ふぅーん。


「俺も俺で頑張りたい。だが、こっちに利益はあるのか?」

「ちょ、冗談で言ってる?」


 パグが俺の前に滑り込んでくる。


「あっちの世界が破壊されたりしちゃったら、僕も死んじゃうんだよ!? だから君に世界を平和にしてくれって頼んだんじゃないか。もう」


 頬を膨らませるパグ。可愛い男の子だな、よしよし。


 頭を撫でてやると、殺気が飛んできたので口笛を吹いて誤魔化した。多少の威圧なので怯えたりはしない。


「世界が壊れるとかそうとかは分かってるが、俺に利益があるのかって話だ。倒したら強いスキルを貰えたり強いスキルを貰えたり強いスキルを貰えたりしないのか?」


 勿論世界が破滅したら元も子もないけど。しかし、倒した場合の特典も考えて欲しいものだ。此方だって世界壊滅と言われたら無償で動く気はあるが、なんか欲しい。うん。なんか欲しいのだ。


「君、死神みたいだね……」


 むむむ。言い返せん。


 《とにかくはァオメェに任せたぜェ? 死んだりして帰ってきたらァ、地獄に送りつけてやっから覚悟してろよォ?》


 ご褒美に関してはパグが考えてくれるらしい。俺は神界でロボ子を持ち帰るという依頼を発注したのだった。

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