第154話 絡まれる
待て待て。なぜこんな強くなっておる。
ステータスを見、俺は唖然とする。一度鑑定によるステータスを閉じ、深呼吸をする。
鑑定さーん。前のプリンのステータスは?
プリン
種族 小竜種
状態異常 なし
レベル22
HP...300/300
MP...420/420
攻撃...109
防御...130
素早さ...129
魔法...108
《スキル》
・ミニブレス・火球・火刃・突進・ひっかく・噛み付く・追跡
《称号》
・頭がいい・統率者・連携上手・食いしん坊・強者殺し・人間殺し・魔物殺し
はい。これね。龍の子供だからその時に感じれば結構強かった。で、今のステータスはこれだ。
プリン
種族 龍種
状態異常 なし
レベル19
HP...1500/1500
MP...1700/1700
攻撃...401
防御...423
素早さ...399
魔法...359
《スキル》
・終焉のブレス・火球・火刃・灼熱大陸・炎牙・雷球・雷刃・風球・鎌鼬・土球・砂煙・地震・土柱・龍鱗・威圧・遠吠え・気配感知・気配遮断・魔力感知・魔力遮断・熱感知・念話・猛突進・爪攻撃・追跡・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・人化
《称号》
・頭がいい・統率者・連携上手・食いしん坊・強者殺し・人間殺し・魔物殺し・仲間思い・ドジ・強者殺し・絡みやすい・シロのテイムモンスター・シロ大好き・妙なパーティーのリーダー
はい。
おい。
ふぁ?
よくわからんなー。
なぜこんなに強くなったんだろうなー。
進化しただけでこんなになるのか。すぐ追いつかれそうで怖いんですけど。
で、一番重要なのがユニークスキル。そう、ユニークスキルだ。大事なところだから二回言ったぞ。
こいつ、人化持ってやらあ。空飛ぶ必要ないんじゃないすか?
そのことをプリンに伝えると……。
〈えっ!? そうなの!?〉
超驚いていた。
確かにプリンは鑑定を持ってないから自分のステータスを見れないんだっけか。だから知らなかったんだな。鑑定をかけてと言ったのは、自分のステが明らかに上昇しているのを実感したから確認して欲しかったのだろう。
「あと、すごいステータス上がってるぞ。大体400くらい」
〈す、すごいじゃない! 進化でそんなに上がるなんて……!〉
プリンは翼をはためかせて喜ぶ。それだけでこっちが吹き飛びそうだからやめていただきたい。
「では一緒に街の中に入れるのではないでしょうか?」
「ああ。プリンはどうしたい?」
龍は考えるような表情をし、決断した。
〈やっぱり私は空を飛んでいた方が楽だわ。それに、人化は何か落とし穴があるかもしれないし〉
落とし穴?
俺は首をかしげる。しかし、シーファとシロは理解しているようだった。俺だけ取り残されている感。悲しいぜ。
ーーサトル、変化持ってたじゃん。
持ってるけど、それがどうしたんだ?
ーーうわ……。
ぐぐぐ。そんな声を念話で飛ばさないでくれ。俺の負けだから。教えてくれよ!
ーー変化使う時にMP消費するよね。シロの雷獣化もそうだし、シーファの羽変化もHPとMPを代償にするからだよ。
あ、じゃぁプリンの人化もMPとかを消費すると。そうだな。ずつと街にいるとしたら、それはかなをの欠点になる。空に飛んでた方がマシか。
〈空にいることにする。何かあるときはすぐに飛んでくるわ。私、結構目がいいのよ〉
龍だから五感も鋭いのか。いいなぁ。
一旦プリンと別れる。彼女は一度羽ばたくだけで空の彼方へ消えていった。風で周りの地形が変わっていく。俺は何も見てなーい。
「冒険者ギルドにでも行きましょうか?」
「そうだな。報酬金も出ると思うし」
「和樹を倒した分のお金は出るんでしょうかね」
苦笑交じりにシーファが問う。
「はは、討伐部位とか持ってくればよかったかな?」
俺も笑顔でそれを返す。
今回の戦争を振り返って話していると、ギルドについた。大勢の冒険者がいて溢れかえっている。中には、ギルドの中にも入れてない人もいた。
「これはすごい数ですね……」
心の声が思わず漏れてしまったのか、顔を引きつらせながらシーファが呟いた。人が多いところ嫌いなのかな? 同感じゃ。
無理やり入ったらなんか言われそうだな……。
俺たちが中に入ることを躊躇っていると、騒動感知に反応があった。場所は……ここ!?
何かが起こるらしいから俺たちはそっとその場から離れる。ふぅ。巻き込まれるところだった。
って、あれ?
なんで騒動感知で見える光景に俺が映ってるのかなー? 移動したのになんでだろ?
はい、俺絡まれる確定ですね。
「ふざけんなよ、ゴラァ"!」
いきなりぃぃぃ!
背後から飛んできた拳を体を捻って躱す。おっそい動きをしたパンチが目の前を通過してった。周りの人たちが離れていく。そこにはしれっとシーファとシロが混じっていた。ちょっ、行かないでー! 俺を取り残さないでー!
ああ、ムカつくな。なんの恨みも買ってないだろ。お前。
俺はまだ拳を振りかぶった体勢でいる、1人の男を睨みつける。スキルの威圧を解放し、殺気を浴びせた。
「避けやがってぇ! お前ぇぇぇぇ!!」
男は黒い鎧を着ていた。鑑定すると、龍の素材を使ったものだとわかる。なかなかの功績者なのか。それとも、単純に仲間が強いだけなのか。うーん、まずこいつに仲間がいることすらわからん。俺だったら絶対ついていかない自信がある。
年齢は俺と同じくらいで、腰には短剣。髪の毛は黒い。全身黒だな。黒と呼ぼう。
で、こいつは俺の威圧を浴びてもものともしない。彼自身を鑑定してみると、称号に命知らずと書いてあった。多分、相手にどれだけ睨まれようが強かろうが突っ込んでいくタイプだ。めんどくさ。
「サトルー! 頑張ってください!」
群衆の中から何かが聞こえる。お前な。
「オラオラオラオラ!」
連続で素早い打撃を繰り出す黒。俺は一つ一つを完璧に躱していく。鼻歌歌ってても避けられる気がするんだけど。
「何故当たらない!」
何故俺を襲う!
痺れを切らしたのか、腰の短剣を抜く。それはヤバいんじゃないか?
群衆から悲鳴が上がる。その多くが逃げて行ったが、数人だけ残った。シーファとシロと……あとは知らん。
短剣をがむしゃらに振り回し、俺を追い詰めていく。いや、正確に言うと追い詰められているふりをしている。早く諦めてくれないかな。
甘い考えだった。数分経っても黒は攻撃をやめない。肩で息をしているんだけど、全然休まない。体壊れるぞ?
あー、面倒くさい。超面倒くさい。パパッと終わらせるか。
短剣を俺の腹に向かって突いた瞬間を狙い、その手首を掴む。短剣は俺に届かなかった。
「なっ!?」
驚く黒に一言。
「降参するか?」
「……ぐっ! するか! このクソが!」
黒は詠唱を始める。魔力感知で感じる限り、これは水刃だ。俺は詠唱が完成する前に、手首を捻る。詠唱が途切れた。
「がっ!」
流石に骨を折ったらあれなので、一度離す。そして、蹴りを入れた。
後ろへ吹っ飛んでいく黒は、ギルドの外壁にぶつかり停止する。グラグラと地震のようなものが起きた。俺はなんも知らなーい。
男の手元から離れた短剣は宙を舞う。俺は跳脚し、それを掴むと黒の前に降り立った。短剣を首元に充てる。
「降参するか?」
先ほどと同じ言葉。黒は何度も首を縦に振り、その場から逃げて行った。
「あ、短剣忘れてますよー」
俺が男に向かって投げた短剣は、綺麗に鞘に収まった。神業ジャー!




