第148話 感知が偉大すぎる
「ーー! サーー! サトルッ!」
ハッとなる。振り返ると、俺のスピードに超頑張ってついてきているシーファがいた。やべ。全速力で走ってた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
足を止めた俺に追いつくと、シーファは息荒く睨んできた。
「もう、素早さに、差が、あるのに、はぁ、全力で、走らないで、はぁ、ください」
頬を膨らませて怒るシーファ。息切れてるのにそんなことやって大丈夫か? あ、今はそんなこと考えてる場合じゃないな。
「ご、ごめん。ちょっと興奮してな」
「っていうか、何を目指して走っているのかも、私にはわからないんですよ?」
ステータスのおかげで少し落ち着いてきたみたいだ。
「さっき全感知上位っていうユニークスキルを手に入れてな、その中に入ってた騒動感知を発動させてみたら、超強い人を見つけたんだ」
「つまり、その人を見たいという好奇心で動いてきた、と」
「ああ」
「ああ。じゃないですよ! こっちは足がパンパンです! もう少し加減というものを覚えてください」
「ごめん」
これはマジで反省するわ。すいませんでした。
そういうことで、俺はシーファのスピードに合わせて走り出した。場所を知ってるのは俺だから先行してる感じかな。
シーファはあれだけ走ったのに、平然とした表情で地をかけている。流石だな。でも、その目は呆れていた。何故?
……あれ? もしかして、俺が何かやらかした?
確かに、騒動感知に集中していてあんまり音が聞こえなかったけど。
嫌な予感がし、俺は背後を恐る恐る覗いた。
走るシーファ。その後ろには、抉れた地面!
なにがあった!
俺ですね、すいません。
全力疾走しただけで地面が陥没するのか……これは本気で気をつけないといけないな。だからシーファがマジになって止めてきたのか。
〔もう少し加減というものを覚えてください〕
これはあの地面に対して発した言葉だったんだな。
いざという時には攻撃になりそうだけど。
あ、今のうちに感知系のスキル発動してみるかな。内容を調べただけで発動はしてなかったし。
気配感知、魔力感知、空間感知、騒動感知、大気感知は知ってる。
あと、神力感知はシーファのオーラが見えただけ。これはもうやらなくていいかな。どういうのが見えるかわかったし。生命感知も。だけどもう一回やろうかな。
実験台はシーファだ。別に攻撃スキルではないからいいだろ。ね?
面倒臭いから本人には言わないけどさ。最低とか言わないでよね。
最初は音感知から。発動してみる。
戦場の音が、すべて聞こえた。確か効果範囲は術者の聴力次第って言ってたけど、これすごい効果だぞ。まあ俺耳いい方だからな。聴力が何倍か、上がっているのだろう。
試しに、豆粒ほどに見える人の足音を聞き取ろうとした。無理だろうと思っていたが、音感知はいい意味で期待を裏切ってくれた。
聞こえる。聞こえるぞ!
足音?
そんなのもうどうでもいい。
心臓の音が聞こえるんだよ!
ヤバイな、このスキル。盗聴し放題じゃないか。これだけで情報屋としても生活できるぞ。やらないけど。
次は、熱感知。発動!
「おお……!」
思わず声が漏れてしまった。
地平線の彼方まで、全てに色がついている。
そう。俺の目は、サーモグラフィーと化していた。これは驚愕だ。シーファが体温で赤く見え、地面は水色。ここまで効果が凄いとは思ってもなかった。
でも、長時間使用してると頭が痛くなるな。実際、もう頭痛がしてきたし。解除しよ。
パッと景色が元に戻る。ちょっと代償が大きいかな。慣れたら大丈夫だろうけど。
最後。生命感知。
わかんなーい。
発動してみるが、なにも変化はない。これ何なの?
ま、こういう時のあの人がいるじゃないか。
鑑定さーん!
『対象を選び、マーキングと念じてください』
流石。尊敬しちゃうぜ。
早速、シーファに向かってマーキングと念じる。頭の中に情報が流れ込んできた。
『シーファ
HP...2900/2900
MP...5000/5000』
なにこれ?
『簡易的なステータスです。マーキングをすると、いつでもどこでも対象のHPとMPを確認することができます』
鑑定遮断とかあるよね? それは通るの? っていうか、鑑定遮断持ってるシーファに通用したよな。
『鑑定遮断などのスキルは無効です。これ以上のステータスを知ることはできませんが、マーキングした人の居場所もわかります』
神スキルきましたよ。意味がわからないやつだったけど、すごい使える。俺以外に持ってるやついるのかな? うーん、死神とか持ってそうだけど。生命魔法使えるし。
そこで俺はとあることに気がつく。
何で俺、生命魔法持ってるの?
生命感知って……生命魔法でしょ?
え?
怖い怖い。
知らずに死神だったなんてシャレにならん。
か、鑑定さん?
俺、いや僕の味方は君しかいないんだ……!
どうか答えてくれ!
『生命感知は特別で、強き者に与えられるスキルと伝承があります。現実になりましたね。喜ぶべきですよ』
ホント? やったあぁぁぁ! ヒャッフイ!
……これでいいのか?
そんな疑問が脳内をよぎったが、うん。気にしない。一件落着ということだ。
お。
脳内パリピの影響で時間を延ばしていたとはいえ、やっぱり物事は進むようだ。
あの冒険者たちの方に進展があった。
ついにオークが痺れを切らし、全員で襲いかかったのだ。
さっき矢の軌道をそらしたが、あの巨体には通用しないだろう。何をするのかお楽しみだ。
もう少しで彼らの元へ着く。早くあの剣を見たいなぁ。
もしかしたら、終わってるかもしれないけど。それでもお近づきにはなりたい。
お近づきになると言っても、理由は二つある。一つ目は、ただただその剣を間近で見たいからだ。あとは頑張って真似して剣術を極める。それだけ。
そして、二つ目。
敵に回したくないからだ。
もし、俺があの冒険者たちと敵対することになったら。俺は、面倒ごとは嫌いだ。
あれだけ強いんだから、それを信仰する仲間もたくさんいるはず。一斉にかかってこられたら、俺たちは負けるな。
そういう理由もあってだ。
……おっと。
戦闘シーンを早く見たいって?
では、脳内パリピを解除しよう。俺も、早く見たくてウズウズしてるんだよ!
とかいいながらも次回へ続く




