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第142話 バトルバトルバトル!

 ふう。スッキリした。


 レベルアップでHPとMPは全回復してるからラッキーだね。


 ……ん?


 俺って変化呪で龍に変化したんだよな?


 それで和樹を殺して彼は蘇ったと。


 変化呪やった意味なくね? ただ仲間に負担かけただけじゃね?


 …………。


 あ、相手の残機を一つ減らしただけでもいいと考えよう。そういうことだ。


 っていうか氷の剣持ってても冷たくない。なにこれ凄すぎでしょ。じゃぁ炎の剣も大丈夫なのかな?


 俺は和樹の姿を確認し、声を漏らした。


 あいつ二刀流やん。


 ということは……!


 氷の剣と炎の剣の二刀流ができるのでは?


 うおお! なにその中二心をくすぐるワードは! いや異世界に行ってたら誰でもやりたいと思うわ!


 やろう。絶対やろう。


「炎剣」


 左手に炎剣が生産されていく。


 ロウソクみたいな小さな火から、キャンプファイヤーくらいの大きさに変わり、炎剣に形を変えていく。


 最終的にできたのは、柄も刃も全てが炎に包まれた剣だった。かっこい。


 MP1000を使って作ったため、性能は最高だと思う。利き手に変えとこ。


 俺の二刀流を見て、和樹の表情が曇った。俺以外だったら見えなかっただろう。


「へぇ、僕の真似かい?」

「いや。いつもだったら不利になる二刀流なんかやらはいけどな」


 その言葉に反応した和樹は明らかに不機嫌になった。自身のスタイルを侮辱されたからだね。


「ま、初心者には簡単にできるわけがないさ。僕は一万年もずぅっと二刀流で生きてきたからね」


 歯向かう和樹。


「一回死んだ奴がなにを言ってるんだか。あの時は無様だったなぁ」


 見てないけど。


 しかし、俺が言ったことに当てはまることがあるのか、和樹はくしゃっと顔を歪めた。


「ぷっ」


 目の端で見れば、ミィトが吹き出している。あの人格で笑っているのを見たのは初めてだな。


「うるさいうるさいうるさい!」


 和樹はちぎれんばかりに首を横に振る。


「お前を殺してやる! そして、僕のことを嘲笑ったお前も!」


 その矛先がミィトにも向けられた。俺は和樹の性格を理解する。


「お前結構根に持つ奴だろ」


 おっと。心の声が漏れてしまった。


「ああ、もう! うっざいなぁ! 君は僕におとなしく殺されればいいんだよ!」


 和樹が迫る。俺は炎剣で受け流し、もう一方の剣を氷剣を駆使して凍らせた。


 魔剣でも凍るんだな。初めて知った。


 凍った剣を炎で炙り、蹴りでぶっ壊す。急激な温度変化についていけなくなった剣は脆くなっていた。このコンボ使えるな。


「あれだけ二刀流大好きマンだっけど、一瞬で片方の剣がなくなったな」

「残念。僕には魔道具があるんでね」


 そう言って和樹はポケットに手を入れるがーー。


「あれ?」


 怪訝に眉を顰めた。


「お前が言ってた魔道具ってこれか?」


 そして、俺の手の上にはとある魔道具。さっき和樹とぶつかった時に取っておいたのだ。レベルアップ前だとこんなことはできなかったが、俺は約50レベも上がる偉業を達成したことでぶっちゃけ和樹との対戦は余裕になっていた。


「それは僕の……! どうして!?」

「俺は、そう言ったことをペラペラ喋る誰かさんとは違うからな。聞いても無駄だ」


 和樹は舌打ちをし、深呼吸をすることで俺に対する怒りなんとか逃れることができた。


 ま、その隙を見逃すほど俺は優しくないんだけどね。


 精神統一してる和樹に炎の剣を振るう。突然の攻撃に驚いたのか、和樹は魔道具を使う暇すらなかった。


 なーんかこういう時にでも余裕ぶってるところがこいつの弱点なんだよなぁ。少し見えてきたぞ。


 和樹の右腕を切断する。


「僕の、僕の右腕があぁぁぁぁ! ……なーんちゃって」


 和樹はポケットから新たに取り出した魔道具を発動させた。


「逆転!」


 直後、俺の右腕が吹っ飛んだ。そして、和樹の腕が再生していく。


「ぐがっ!?」


 とてつもない痛み。思わず膝をついてしまう。


「口が軽い僕が説明してあげるよ。これはね、自分と対象の戦況を入れ替えるっていう魔道具なんだ。さっきは使う前に殺されちゃったけど、こういうタイミングなら丁度いいよね」


 そう言いながら、和樹は近づいてくる。剣を振り上げたその時。誰かの声がした。


「だめえええ!!!」

「シーファ……?」


 声に出す。


 シーファは覚束ない足取りで走ってきていた。後ろには、ミィトが制止するように手を大きく伸ばしている。


「無駄だよ、シーファちゃん」


 和樹の声。


 シーファは間に合わない。


 振り下ろされる剣。


 もぞっと俺の下で何かが動いた。それが何か考えることもできず、俺のバランスが大きく崩れる。視界が回転し、何かにぶつかって漸く止まった。ミィトが受け止めてくれたらしい。


「なんだ……あれ……ッ!」


 顔を上げ、見た光景は驚くものだった。


 俺が先ほどまでいた場所から巨大な蔓が生えている。何が起こったのか、この時は理解できなかった。


 蔓はまるで自我を持っているかのようにせわしなく動き、和樹を拘束した。


「ミライッ! 力を貸してください!」


 シーファの声に反応し、ミライが姿を現した。これを見るのは二回目だな。


「おい。大丈夫か?」


 拘束された和樹をミライがボコしている間に、ミィトが心配し話しかけてくれた。


「少し骨が軋んでるな……。ちょっと立つのは無理かもしれない」

「そうか」


 ミィトは前に視線を戻す。その口をおもむろに開けた。


「シーファは前からあんな力を使えたのか?」

「え……?」


 みると、巨大な蔓はシーファの指示に従っているようだった。俺はあんな力を使っているところを見たことがない。


 ん?


 なんか、目が変……。


 突如、空が赤く変わった。シーファが立っていた位置には謎の人が立っている。後ろ姿でよくわからないが、蜘蛛の仮面をしていたような気がした。


 それも一度の瞬きで元に戻る。


 今のは一体……?


「悟。聞いてんのか」

「あ、ああ。シーファはあんな力使えなかったし、俺も見るのが初めてだ。かといってシーファ自身が使えると言ったこともなかった」


 ミィトは何か考え込む。そう簡単に答えは出ないだろう。


「何かわかったら教えてくれないか」

「ったりめーだろ。お前らは仲間なんだからよ」


 この人格からそのような言葉を聞くとは思ってもなかった。しかしすぐに俺はミィトに向かって微笑む。ミィトは目を逸らした。なんでー?


 ミィトの頬が赤くなっていたことに、悟は気がつかなかった。

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