第134話 和樹のステータス
俺は剣を構える。俺の仲間たち全員が、戦闘態勢をとったのがわかった。
「複製」
和樹は一つの魔道具を頭上に投げる。白い球型の魔道具だったが、それは姿を変えて和樹にそっくりな人形になった。和樹もどきの手足が動き、立ち上がる。手からは刃物が突き出した。高速回転をして、俺たちに襲いかかってくる。
「火刃っ!」
人形には火。燃やしてやる。
と、思っていたが、人形は結界をはった。火刃は結界にあたり、消えてしまう。魔法も使えるってことらしい。中々面倒くさいな。
「ほら、僕もいること忘れないでねっ!」
視覚外から、双剣が首元に向かって振り落とされた。ま、大気感知が働いてるから避けられるけど。
容易によけると、俺は距離を取らず和樹に迫った。まだ双剣を振り下ろす動作をしている和樹は目を見開く。そして、俺は剣の柄で和樹の腹を突いた。
金属の音。俺の攻撃は、和樹に傷一つ負わせれず終わった。
「お前、鉄でも仕込んでるのか?」
「ご名答。流石はルトサだねぇ」
そう言いながら、バックステップで和樹は後ろに下がった。
「さっきの動きを見たけど、君、かなりレベルアップしてるね? あーあ。前までだったら楽々に倒せたのに、なんで僕の計画はこうもうまくいかないんだろうな」
彼はわざとらしくため息をつく。
「さて、偵察は終わりってことで。次からは本気で潰しあおうか」
「そうだな」
そのやり取りをきっかけに、沈黙が辺りを支配した。両方とも隙を伺い、いつでも飛びかかれるように配慮している。
隣からは剣がぶつかり合う音や、魔法の詠唱をする声が聞こえた。シーファたちが和樹もどきの相手をしてくれているのだろう。これなら、周りを気にせず和樹と正々堂々勝負することができるな。
俺は全神経を和樹に集中させる。全ての音が遮断され、和樹の一つ一つの動きをしっかりと捉えていく。
そして、次の瞬間。
和樹の剣が俺の喉元に迫っていた。
「っ!?」
剣で弾きかえすには遅すぎる。仕方がなく、俺は身をかがめて避けた。そこにもう一本の剣が心臓を狙って振り下ろされるが、バックステップで下がり回避ができた。
しかし、困るのはここからだ。
無理な体勢からバックステップを踏んだため、大きくバランスを崩す。和樹がそれを見逃すわけがない。二つの剣が俺を挟むかのようにして、襲いかかってきた。
「ゴオォォォォンッ!」
雄叫びに気を寄せられ、たった一瞬、和樹の動きが鈍った。
すかさずルーゲラホーホーに変化する。和樹が慌てて剣を振るが、俺は避ける。そして、和樹から逃げるのではなく逆に突っ込み、通り過ぎ際に爪で肩を引き裂いた。
「うっ……!」
和樹が俺を睨みつけた。肩は出血している。そこまでではないが、それなりのダメージは与えただろう。結構深く抉ったし。
俺の横にプリンがやってきた。さっき助けてくれたのは彼女だ。
「これだよ……。これが気にくわないんだよ……!」
和樹の怨念が空で踊っている。それは龍の頭に形を変えた。
「数の暴力で敵を攻める。正々堂々と、一対一で勝負するつもりはなかったのか!?」
それはマジでごめん。だけど、ちょっと気にくわないかな。
「3000の魔物の軍隊を送りつけたが何を言ってるんだ? それと比べればこんなこと、可愛いもんだろ」
「お前たちには仲間がいるだろ!? 僕にはいないんだ! 支えてくれる人も、慰めてくれる人も!」
「……え?」
あまりにも予想外な言葉に、驚愕してしまう。
「……お前、仲間がーー」
「五月蝿い! 黙れ、黙れ! 全員皆殺しにしてやるさ!」
お前、仲間が欲しいのか?
そう発したが、和樹に遮られてしまった。
なんていう感情でこいつが動いているのかがわかった。
ずばり、嫉妬だ。
仲間が欲しいという気持ちは時期が経つにつれ、仲間を持っている者を妬むようになったのだろう。なんてみにくげふんげふん。なんて可哀想なんだ!
あ、和樹のステータスって見れるかな。
カズキ・ムラヤマ
種族 人間種
状態異常 洗脳
レベル309
HP...10000/10000
MP...9800/9800
攻撃...592+10
防御...486+10
素早さ...540+10
魔法...699+10
《スキル》
・鑑定・火球・火刃・灼熱大陸・雷球・雷刃・雷神風雨・ウォールバリア・土槍・氷球・闇球・黒渦・斬
撃波・衝撃波・渾身の一突き・創作・召喚・ハイパークイック・威圧・気配感知・気配遮断・風圧感知・
魔力感知・魔力遮断・HP高速自動回復・MP高速自動回復・自己再生・マナドレイン・高速演算処理・知
能向上・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・不死・魔道具使い
《称号》
・元神に気に入られた者・双剣使い・魔道具使い・怒ると怖い・寂しがりや・集中上手・強者殺し・魔物
殺し・魔物を束ねし者・人類の敵・悪役・嫌がらせ上手・魔王を従えし者・死神と協力する者・ルトサの
命を狙う者・嫉妬馬鹿
ついに称号にも俺の偽名が通ってしまったようだ。ま、本当の名前が表示されたらされたで困るからいいんだけどさ。
で、比較するためにも俺のステを表示してくれい。
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル95
HP...3300/3300
MP...5900/5900
攻撃...447+10
防御...429+10
素早さ...438+10
魔法...890+10
《スキル》
・状態異常無効・鑑定・火球・火刃・灼熱大陸・地獄の業火・雷球・斬撃波・必中20%(未完全)・光
球・聖柱・融合魔法・渾身の一突き・威圧・大気感知・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・変化・部位変化(二箇所)・変化呪
《称号》
・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い・馬鹿買い・詐欺師・ドジ・
料理への執念・強者殺し・絡みやすい・魔人の主・魔物殺し・妙なパーティーのリーダー・脳内パリピ・
強者殺し・炎使い・魔力馬鹿
こうして見ると差がよくわかるな。
うーん、特に変わったところはーーふぁ!?
こいつ状態異常に洗脳って書いてあるぞ!?
どういうこっちゃ、どういうこっちゃ。
鑑定さん、これかけたやつ逆探知とかで辿れない? ダメだということはわかってるけどさ。流石の鑑定さんでもそんな神がかったこと出来るわけないよね。はっはっはっー。
『私をなんだと思っているんですか? 鑑定さんですよ。やってみせましょう』
マジで!? すげえ! かっけえ!
『ふふっ。ですが時間がかかるので少々お待ちください』
あいよ。
……鑑定さんキャラ変わってない?
まあ、いいや。今は目の前に集中するかなぁ。




