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第133話 やっと出会えた

「私たちは、2人で活動していきたいと思う」


 …………え?


 衝撃の言葉だった。俺は数秒、硬直してしまう。


「か、和樹とはみんなで戦った方がいいですよ……?」


 そ、そうだ。そういう意味で言葉を発した可能性もある。和樹と2人で戦うっていうことを話したかったんだろ?


「そのことではない。和樹とは元々全員で協力して挑むつもりだ。そして、これは和樹を倒せた後の話。和樹の倒せる前提で言っているが、もし倒せた場合、カゲマルと共に行動したい」

「……っ」


 声を出そうとしたが、何も出なかった。突然のことに、頭がついていけない。カゲマルは大切な仲間だ。なのに、別れようと宣言されたら誰でもそうなるだろう。


「これは、和樹を倒せた後にじっくり話そう。俺たちも心の整理をするからさ」


 やっと出た声音は、とても暗く低いものだった。


「……ああ」


 ライラの口が微かに動いた。


 ううむ、今回ばかりは「まあ、いいや」ですまされないな。仲間が減るというのは深刻な問題だ。カゲマルは影の中に入れれば護衛にでもできるし、影移動で奇襲を仕掛けることだってできる。かなりいい戦力だ。それを失うとなると……。


 いや、戦力以外に何かモヤモヤしたものを感じる。


 これは、なんだろう。


 カゲマルがいなくなることを考えると、胸がキュッと締められるような苦しみを覚える。


 この気持ちは、なんだろう。


 と、その時。大気感知に何かがひっかかった。ミィトでも再現できなそうな超スピードで突っ込んでくる。俺は咄嗟の判断で地面に火球を放った。着弾した瞬間に、爆発させる。その場にいた全員の体が宙に飛んだ。


 俺たちが先ほどまでいた場所に鳥のようなものが飛来してくるのを見た。それは深く地面を抉り取り、停止する。あれが刺さっていたら確実に死んでいただろう。


 生きているかどうかわからなかったので、鑑定してみる。


『魔道具です。名前は付けられていません。解析します。少々お待ちください。……解析完了。3キロメートル飛来でき、音速と同じ速度で相手を突き刺します。命中率は低く、一直線にしか進むことができないので対象が直線上から移動してしまうと当たりません。殺傷力は低いのですが、その代わりに速度で勝負をかける魔道具です。しかし、使い捨てですのでもう動きません』


 おうおうおう。情報すごいな。それに魔物じゃないのか。


 やばい、鑑定さん万能すぎる。魔道具って一回解析したらそんなに出るもんなの? 改めて鑑定さん持っててよかったって思うな。


『ですよね? 万能ですよね?』


 前言撤回するわ。


『!?』


 さて、(ガン無視)この魔道具を使ったのは誰か考えよう。ま、1人しかいないけど。


「和樹だろ? 出てこいよ」


 俺は何もいない空間に向かって問いかける。普通の人なら察知できないが、大気感知を持っている俺には容易に感知できた。


「あーあ、気づかれちゃった」


 和樹が突然姿を現す。そのことに、俺以外の全員が驚く。


「か、和樹……!」


 姿を確認した瞬間、シーファの殺意が膨れ上がった。理性を保つため、必死に抑えているが憎々しげに和樹を睨む目までは隠せきれない。


 全身に殺気を浴びてもなお、和樹は平然としていた。それどころかへらへらと笑っている。


「いやあ、ここまで恨まれることしたかなぁ? 僕には心当たりはないけどさ。でも、1人だけ僕が恨んでいる人はいるよ」


 あれー? 誰だろーなー?


 和樹の視線が顔に突き刺さる。


「なっ……まさか、俺か!?」

「いやそんな雰囲気出しても惑わされないから」


 くっ。こいつ、やりやがる。


「僕はずっっっと、ここで君たちを待っていたんだよ? なのに、奇襲を仕掛けるなんてサイテーだ。ルトサ、君には失望したよ。僕の軍隊の隊長に入れてあげてもよかったのになぁ」

「死んでもお前に従いたくはないな。それに、俺には仲間がいる。簡単に俺がこいつらを裏切ると思うか?」

「思わないね。だから、無理矢理にでも従わせてやる」

「は? お前言ってることが矛盾してるぞ? 俺に失望したからその軍の隊長にはさせないって話じゃなかったのか?」

「ま、僕は優しいからね。こんなことがあっても、君を仲間にしたいと思ってるよ」


 人に向けて音速と同列の速さの凶器を投げつけるやつが優しいと言えるのだろうか。


「……お前、絶対怒ってるよな?」


 俺の一言で、和樹の表情が一変した。先ほどまでの笑顔が嘘のように消え、代わりに怨念らしきものが体から吹き出す。あれに触れてはいけないと、俺の脳が警告を発した。

 

「ああ。怒ってる。怒ってるとも。僕が長い年月をかけてここまで強くなったのに、君たちはこんな短い期間で僕に追いつきそうになっている」


 和樹がまた笑顔を見せた。しかし、目は笑っていない。なんか思っていた怒りとは違うな。てっきりぶっ飛ばしたことに苛立っているのかと。


「僕はね、ステータスが伸びにくい体質だったんだ。だから、転生する時、神様にそれを補強するユニークスキルを貰ったんだ。それが、魔道具を使いこなせるっていうスキルさ。それも、数年に一回しか発動できないけどね」

「……俺たちにその情報を話してもよかったのか?」

「どちらかが必ず死ぬ。なら、別に話しても意味はないはずだよ」


 俺たちが死んだら話した内容は誰にも渡ることがなくなる。和樹が死んだらもう話した内容は必要なくなる。彼が死んだ後にその情報はいらないだろ。


「死神に殺されるよりかは君たちに殺された方がマシだしさ」


 死神ってそんなに怖いのか?


「今、何か言いました?」


 シーファが聞く。あれ? 聞こえてなかったのかな。


「いや、なんでもないよ」


 笑顔を絶やさず和樹が答える。そして、何もない空間から二つの剣を取り出した。


「さて、ショータイムを始めようじゃないか」


 不敵な笑みで、和樹は宣言した。

更新したつもりが、私の不注意で更新していなかったことになってしまいました。楽しみにされている方、すいませんでした。

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