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第129話 脳内パリピのありがたみ

 ハカイに向けて一直線に走る。尾を切断されたハカイは混乱しながらも、俺の攻撃を防ぐ。今までみたいに尾を使えないため、それだけでもハカイの隙が何箇所か見つかった。ずっと尾に頼ってきたばかりに、どう行動すればいいのかわからないのだろう。なら、好都合だ。

 ‬

 一気に距離を詰め、連続攻撃を仕掛ける。ハカイはそれに苦戦しているようだった。俺から離れようとしているが、そこを見逃さずシロが雷を落とす。そして、適度に氷の魔法が飛んできていた。

 ‬

「ミライ、託します」

 ‬

 シーファの雰囲気が変わる。ミライに体を貸したみたいだ。

 ‬

「グ……ッ!」

 ‬

 ハカイの気合を入れたパンチが容易に躱され、体制が大きく崩れる。すかさず剣を叩き込もうとした。

 ‬

 剣が届く前に、視界が何かによって遮られる。土煙だった。そういえばそういうスキルあったっけ。

 ‬

 どうやら大きく振りかぶった一撃は俺を攻撃するためのものではなく、土煙を巻き上げて距離を取るものだったらしい。冷静に考えてみれば、ハカイがあんなに馬鹿な攻撃をするはずがなかった。俺の判断不足だ。

 ‬

 シーファが翼で風を巻き起こす。煙はすぐに晴れた。しかし、そこにハカイの姿はない。

 ‬

 一瞬目を離した隙に、逃げたのかもしれない。だが、警戒は怠らなかった。奇襲をされたら危険だからだ。

 ‬

 その考えは最悪の形として現れることになった。

 ‬

「おめえら、後ろだっ!」

 ‬

 ミィトの声。一斉に振り返る。

 ‬

「ああ」

 ‬

 絶望に染まった空気が俺の口から漏れた。

 ‬

 ハカイの上には大きな赤い球体が浮いている。俺はあれを知っていた。だからこそ、何も考えられなかった。どうすれば逃れられるのか、思考すらしなかった。

 ‬

 気をつけていたのに。

 ‬

 これをやられないよう、ずっと連続攻撃でハカイを攻めてきた。魔法を打たせる隙も与えさせないまま、ここまできた。

 ‬

 なのに、これはあんまりだ。

 ‬

「これは……あの時のやつカ! 逃げるゾ、小僧ラ!」

 ‬

 ミライの声も虚しく、赤い球体からは一本の光線が出た。それは残像を残して、遠くの野原まで全てを焼き去っていく。俺の真横を赤い光線がかすめていった。熱で肌が痛い。触れてもいないのに、溶けているようだ。

 ‬

 歯をくいしばる。なんとか解決策を見つけたかったが、いい案は浮かんでこない。あの時は運よく逃れられたが、今は逃げ道すらない。それに、ここでハカイを始末しておかなくては後々面倒なことになる。だから、耐えなければ。

 ‬

 それな俺の決意を嘲笑うかのように、さらに光線の数は3本増える。無差別に破壊していく光線は、この世の終わりの知らせるかのようだった。ここで初めて恐怖が芽生える。

 ‬

 当たったら死ぬ。俺の、何もかもが終わる。

 ‬

 イヤ。イヤだ。そんなの、嫌だ。

 ‬

 瞬間、すべての光線が俺の方へと方向を変え襲いかかってきた。

 ‬

「っ!?」

 ‬

 警戒はしてたものの、全部が向かってくるとは思っていなかったため、度肝を突かれる。

 ‬

「《氷結結界》」


 ミィトの結界がビームを防いだ。しかし、数秒後にはヒビが入り始める。プリンが土を操作し、壁を作るがそれもろとも壊されてしまった。‬


 光線を遮るものがなくなり、再び俺に向かってくる。紙一重で横に飛び退いたが、その後をついてきた。無理やり体を捻ってなんとか回避する。その奥で急旋回をし、また俺を攻撃し始める。‬


 くそ、どうなってるんだ!?‬


 『必中100%を発動させたのでしょう。10秒間の間、全ての攻撃が当たるようになるスキルです』‬


 変なの持ちやがって。しかも、10秒間って結構長いぞ!? 実際体感でまだ2秒しか経ってないし。それだけで疲労たっぷりなんだけど。‬


 飛んでくる光線を避けることで精一杯。それ以外、俺は何もできない。仲間たちの無事を確認することだってできないのだ。


「闇球!」


 10個ほどの闇球が飛んできて、光線に直撃する。高速で移動するものに当てたのはいいが、少し軌道がそれただけで、すぐに元へ戻ってしまった。相変わらず俺を狙ってくる。


 ……なんで俺だけなの?


 色々と仲間を責めてしまいそうな危険な考えなので、考えるのをやめた。って、こんな時にも俺こんなこと思考できるってある意味すごくね!?


『称号:脳内パリピの効果です。思考を加速し、戦闘中でも冷静に考えることができます。他にも、精神面の向上などがあります』


 へぇ。脳内パリピにそんな効果が。称号にも効果がつくことあるのかぁ〜。


 こうやって呑気に考えられるのも称号のおかげ。ありがたや〜。でも脳内パリピっていう名前はちょっとやめてほしいかな、うん。……否定はしないけど。


 すると、現実で光線が俺の右腕をかすった。別に油断していたわけではないが、当たってしまった。もう一度言おう。別に油断しているわけではなかった。ど、う、し、て、も、避けられなかったので当たってしまったのだ。


 まだ7秒。あと3秒かな。シーファたちが必死に光線を消そうと努力しているけど、ダメだな。すぐに再生されてしまうし、必中100%のせいで軌道がずれたって御構い無しに迫ってくーー。


 あ。


 そこで、とんでもないことに気がついてしまった。


 必中100%の効果がなくなったら、どうなるか。


 勿論制御がきかなくなり、俺は光線から追いかけられるという命をかけた鬼ごっこから解放される。そこまではいい。だが、問題なのはそこからだ。


 光線がもしも地面に当たったら。爆風でここら一帯は壊滅するだろう。そうなれば俺たちも無傷では済まされない。薬もないし、シーファのヒールにしか頼めることがないのだが……。それは嫌だ。彼女の魔法の戦力は残しておきたい。これは前も言った気がする。


 で、仮に俺たちが爆風で吹き飛ばされるとしよう。前に会った時のハカイの行動だと、最後に赤い球体を投げてきた。あれは光線よりもやばいやつだったんだけど……。


 断言しよう、そうなったら俺たちは死ぬ。いや、だって吹っ飛ばされたあとに球体投げられても避けられないでしょ!? マラソンで100キロ走ったあとにじゃあもう一周行ってくださーいっていってるもんなんだよ!?


 よし。まずはシーファたちを避難させよう。


 そう結論が出たのは僅か0.3秒の間だった。脳内パリピ様々である。

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