第13話 ルーゲラウルフだぁ〜
次の朝。俺が起きるとシーファはすでに朝食を作り終えていた。肉が入ったクリーミーなスープに見たことない赤色の葉っぱ。それとパンだ。葉っぱは恐る恐る口にしたが、食べた瞬間に口の中で何かが音を立ててはじけ、それと同時にほのかな甘い香りが広がった。それは味も同じだ。
「驚きましたか?」
シーファが言う。俺は驚いた、と一言いい、すぐに朝食を平らげた。因みに、シーファが食器よ消えろっと、言うと食器は煙に包まれて消えてしまった。羽には戻らないんだな。使い捨てか。
身支度を整え、(ステータスを見て2人が安全状態か確かめ、剣を持つだけだが)悟とシーファは洞から出た。朝日が悟の顔を激しく照らし、時々吹く風は心地よい。これなら清々しい気持ちで歩けるだろう。
俺は歩きながら尋ねた。
「そうだ、シーファって飛べるのか?」
「飛べますよ。なんせ、組織から逃げ出す時に必死に羽ばたいてましたから。この森では魔物に見つかったら嫌なので飛んでませんけど」
「そうか。じゃあ乗せてkーー」
「嫌です。話を聞きませんでしたか?それに、サトルの重量に耐えられなかったらどうするんですか?私はサトルを降り落とせばなんとか飛べますけどそれでいいなら」
非情だな。俺がスライムになればいいだけなのに。スライムの重量なんか50グラムぐらいしかないんじゃないか?
『スライムの重量は平均で100グラムほどとなっております』
うわっ。ビックリした。ところでお前なんなの?
『サトル・カムラのスキルの鑑定です』
そうだったの?最初から喋れたの?
『はい。経験値の通知や、レベルの通知などを伝えておりました』
あれ神の声とかそんなんじゃないんだ。みんな聞いてると思ってたのになぁ。あ、でもそうしたら矛盾が生まれてしまう。そういえばシーファは
ーーステータスは街に行ってないから鑑定してないけど……。
と、言っていた。つまり、鑑定も持っていなければどれほどの経験値を入ったかも、レベルすらも分からないのか!うわあ、大変そうだな。いちいち街に戻って鑑定しなきゃいけないのか。メンド。そう思うと俺の鑑定って結構最強なんじゃ?
……なんか言ってよ!悲しいでしょ!
『魔物や植物などの知識を与えるのが鑑定の仕事であります。その他の会話はできません』
会話してるじゃん!
『魔物や植物などの知識を与えるのが鑑定の仕事であります。その他の会話はできません』
うう、酷いよ。心の中の話し相手ができたと思ったのに。
『魔物や植物などの知識を与えるのが鑑定の仕事であります。その他の会話はできません』
いや、これは君に話してないから!反応しなくていいから!
『魔物や植物などの知識を与えるのが鑑定の仕事でーー』
ああ、うるさいうるさい!一旦黙ろ。ねえ?
空気を察したのか、鑑定の声は聞こえなくなった。ああ、まだあいつの声が脳に響いてるぜ。
「わ、魔物!」
シーファの叫び声。うわ、鑑定さんのせいで風圧感知が発動してなかった。っていうか感知できなかった。恨むぞ鑑定。
目の前に現れたのは狼の群れ。ざっと5匹。ん?これ昨日シーファが話してなかったか?
「ルーゲラウルフですよ!でも、夜よりかは動きが活発ではないんでここで倒してしまった方が楽です!匂いを追って追いかけてくるかもしれないので」
シーファが手のひらを前に突き出す。
「《風よ、我が身につき力を与えよ》風刃!」
シーファの手から生み出された3つの風の刃は1匹の狼の元へ向かうが、たやすく回避されてしまった。
「そんな……」
口をあんぐりと開け、愕然とするシーファ。しかし、避けた先を狙うのが悟。剣を構えてルーゲラウルフが着地した隙にその首へと剣を振るった。
「ガウ!」
風圧感知で後ろからの風圧を感じ取る。目の前のウルフは諦め、横へ飛び退くと今まで俺がいた場所に大柄なルーゲラウルフが飛びかかった。
あいつがリーダー的なやつか。
鑑定をするぞ。
ルーゲラビッグウルフ
種族...ウルフ種
状態異常...なし
レベル30
HP...250/250(夜時...420)
MP...50/50(夜時85)
攻撃...82(夜時...150)
防御...74(夜時...140)
素早さ...90(夜時...162)
魔法...45(夜時...70)
《スキル》
・ロックバーン・ウォールバリア・クイック・嚙みつき・毒流し・突進・気配感知・気配遮断・意思疎通
《称号》
・仲間思い・暗殺者・不意打ちの中級者・夜の覚醒者・夜のハイエナ
解説
ルーゲラウルフのリーダー。群の一員を取り締まる。どんなチームになるのかはリーダーの性格次第。この群れは団結力の良い群れのようだ。
ルーゲラウルフ
種族...ウルフ種
状態異常...なし
レベル12
HP...130/130(夜時...200)
MP...30/30(夜時...45)
攻撃...40(夜時...63)
防御...29(夜時...40)
素早さ...42(夜時...78)
魔法...8(夜時...10)
《スキル》
・嚙みつき・突進・気配感知・意思疎通
《称号》
・ルーゲラビッグウルフの群れ・暗殺者・不意打ちの初級者・夜の覚醒者・夜のハイエナ
解説
個体でいることが多いが、ルーゲラビッグウルフの群れに入ると仲間というものを覚え、狩りが上達する。そのため、単体でいるところを倒すのが基本となる。
気をつけるのはビッグの方だな。魔法を打ってきそうだ。他の4匹は後ろのやつのステータスと近い。スキルに至っては同じだ。でも、夜に出会わなくてよかった。攻撃力は夜あったとしてもこちらの方が圧倒的に勝っているが、その数の素早さで翻弄されたら俺もどうなるかわからない。シーファを守りながらなら無理だな。1つ2つは致命傷を負う。これに関しては自信があるぜ。
ビッグウルフは小さく声をかけて何かを命令した。俺にはわからない。それなら俺もこの間に考えていることをちゃちゃっと解決しちゃって目の前の先頭に集中しますか。
……シーファを協力させるかさせないか、どうしよ?




