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第125話 ボウリング

 ワイバーンが大きく口を開ける。ブレスがくるかと思ったが、違った。黄色の煙を吐き出してきたのだ。


『麻痺煙です』


 そんなのもあるんだ。って、やばいやばい。


「私に任せてください」


 シーファが前に出る。瞬間、煙の向かう方向が180度回転し、ワイバーンに戻って行った。


 まさか戻ってくるとは思ってもいなかったであろうワイバーンは目を丸くしながらも煙を避ける。ふーん、自分で出したのにくらうのか。いい情報だ。


「よし、シーファ。もっといじめてやれ」

「合点承知です!」


 シーファの風圧変化で麻痺煙はどこまでもワイバーンを追いかけていく。そして、ワイバーンが地面に近づいた途端に土がその足に絡まりついた。バランスを大きく崩すワイバーンだったが、力でごり押して拘束を引きちぎる。プリンでもだめかぁ。


 だけどプリンのおかげで麻痺煙はもう少しで追いつきそうだ。じゃ、俺が少しちょっかい出してくるか。


「ミィトはタイミングを合わせてワイバーンの足元を凍らせてくれないか?」

「……? 何をする気かわからないが、お前に頼ってみようじゃねーか。で、どう凍らせればいいんだ? ワイバーンの足もろとも全てか?」

「いや、滑る程度でいい」

「ほう。どんなことをするのか楽しみだな」


 俺に期待ありだそうだ。今からやること全然普通のことなんだけどね。逆にこれで驚いたらすごいわっていうぐらい。


 俺は麻痺煙から逃げているワイバーンに接近する。ワイバーンは時々振り返って翼で風を送り、麻痺煙を飛ばそうとしていた。だが、全て風圧変化で操作されてしまう。なす術なしって感じかな。


 ワイバーンの真正面に立つ。チャンスだと言わんばかりに、ワイバーンは大きく爪を広げた。ここを通り過ぎるついでに俺を殺していくらしい。


 ……ついでとはなんだ、ついでとは。


 俺を舐めんなぁ!


 って、これ次に死ぬ奴のセリフやん。もうこれ以上言うのはやめとこ。


 ワイバーンの爪が俺の首元に伸びーー突き抜けた。


 部位変化で頭だけスライムにした。きっと周りから見ればすごいことになっているに違いない。想像したくもないな、うん。


 そのまま普通の変化でスライムになる。ワイバーンの爪にしっかりとくっつくと、一緒に大空の旅に出た。うひょー、高い。


 じゃ、溶かしていきますか。


 スライムで侵食していったところを徐々に溶かしていく。まずは翼を重点的にだ。他は麻痺して動けなくなったところをゆっくりと溶かしていこう。


 とうとう翼のコントロールが効かなくなってきたのか、飛び方が不安定になってきた。俺はスライムだし高いところから落ちても平気だけどこいつはダメだろ。いくらワイバーンでも無傷ではいられない。


 ワイバーンの目まで到着する。目を溶かしていくと、ワイバーンは苦しむ声を上げた。体を大きく揺さぶって俺を振り落とそうとするが無駄だ。


 俺は背中で形を変える。体を糸のように何本も伸ばし、それをワイバーンのあちこちへとくっつけた。操り人形ーーじゃなくて操りワイバーンの完成だ。スライムって便利だなぁ。


 ボロボロの翼を操作し、なんとか急旋回させる。向かう先には麻痺煙。その中に突っ込んだ。


「グオォォッッッ!」


 目も潰された状態で麻痺したのだからもうワイバーンには動く気力すらない。そこを俺が操っていく。ん? 俺は状態異常無効があるから麻痺効きませんけど?


 ふはは、ワイバーンの騎士ここに参上っ!


 あ、スライムか。


 そうこうしているうちに高度はどんどん下がっていく。俺は上がろうともせずに急降下した。


「ん? あいつって……」


 ちょうど俺が急降下している先にいる。あいつが。


 このまま突っ込んでもいいけど全然距離が足りない。大体1キロくらいかな。まあ、いいや。当初の計画と狂うけどミィトにやってもらうとするか。


 俺は地面に当たるすれすれでワイバーンを上に引き上げた。こうすることで草原に被害なく作戦が実行できる。


 地面が凍った。それも、あいつのいる場所まで一直線に。


 何をやるかわかるか? 日本にはあるだろ。コレだよ!


「ボウリングゥゥゥッッッ!」


 思わぬ攻撃に、


 和樹は、


 ぶっとばされた。


 …………。


 …………。


 ……あ、あれ? 和樹どこいった?


 しまったあぁぁぁ! 場外までぶっとばしちゃったあぁぁぁ!


 まあ、いいや。探せばいいでしょ。


 でも和樹がいたことに驚きだな。まさかここで待ってたなんて。勝負しようとか決闘みたいなの申し込まれて普通にルール違反しちゃったわ。……ル、ルールにワイバーンを操って飛び込んでくるの禁止はないから大丈夫だよね? きっと大丈夫だ。


 当初はボウリングで滑らせて気絶させるまで永遠に旅をする予定だったんだけどすごい面白い展開になった。はやくシーファたちに話にいこ。


「わんっ!」


 シロが走ってくるのが見えた。どうやらあっちから来てくれたらしい。


「おい。滑らせたのはいいが、ワイバーンはどうした」


 ミィトに早速聞かれてしまった。そういえばまだ処理してなかったな。最後の一撃何でトドメ刺そう。


「あ、ミィトさんにあれ見せてあげたらどうです?」

「あれ……?」

「サトルだけの必殺技ですよ」


 ギルドカードのやつか……っ!


『ギルドカードの殺傷力で魔物を殺す技ですね。前は一撃100ダメージでしたがステータスがおがったおかげでもっと攻撃力が上がりましたよ。やりましたね』


 説明ありがとよ。あと、やりましたじゃない。本当にこれじゃあ俺の中でギルドカードが最大の攻撃になっちゃうから。それだとなんか嫌だから。


「(ジイィィィ)」


 すごい見られてるんだけど。ミィト、そんなに期待しないで!


 ……ああ、もう! やればいいんでしょ、やれば!


 俺はギルドカードを持ち、それをワイバーンに思いっきり投げつけた。風を切る音がして、次の瞬間ワイバーンは血を噴き出す。そして、絶命した。


「サ、サトル! 心臓まで届いてますよ!」


 なにいぃぃぃ!?


 もうあれだな。ギルドカードはガチで必殺技認定だ。俺が命じるから絶対!

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