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第124話 ワイバーン

 どうやらミィトとシーファの気配感知が使えなくとも、俺の大気感知はちゃんと発動できているらしい。隣で動いているミィトとシーファの姿が目を閉じていてもわかるからだ。ま、気がついてたけど。魔物とかが近づいてきたら俺が忠告すればいいって話か。


 ……草原だし見たほうが早いのかな。結局俺って役に立たね。


 お、大気感知に魔物発見。一応風圧遮断を強めておくか。


 と、いうのも相手の姿が見えないからだ。ゴースト系かな。こういうのは初めて。


「見えない敵が接近中だ。戦闘陣形を組め」


 俺が言うと、仲間たちは全員で背中合わせになり死角をなくした。雑談している間に決めた陣形だ。これは俺が決めた。なんとなくミィトに決めさせちゃいけない気がしたからだ。


 俺の正面にモヤモヤしたナニかがいる。奴は既に俺たちに気がついているようだった。ゆっくりと確実にその距離を詰めてきている。


 鑑定さん、ゴーストっているの?


 はたから見れば子供の質問だな。


『ゴーストの魔物はいます。物理攻撃は効きませんが、光属性の魔法だけは効果的です』


 あ、俺光属性使えるし倒せるんじゃーーって聖柱しか使えねー!


 ゴースト相手に毎回聖柱使ってたら俺のMPが死ぬ。(ポーション)を飲めばいいけど貴重なあと二つを無駄にしたくはない。


 よし、新しい魔法技に挑戦だ。


 効率よく倒すには……光球かな? いや、ゴーストが強かったらの可能性で光刃でいいや。きっと大丈夫なはず。聖柱という規格外を使えるんだからその下位互換は使えると思う。


 俺は右手を前に突き出し、唱えた。


「《偉大なる光の精霊よ、闇を退け世界を光で満たせ》光刃っ!」


 でろでろでろぉ!


 すると、ものすごく小さな光刃がゴーストに向かって放たれた。ゴーストに直撃する。その途端、大気感知に反応はなくなった。


『ゴーストを倒しました。経験値214獲得。ゴーストに変化することが可能になりました』


 これはミストバードの上位互換かな? 物理攻撃を無効にして光属性は効く、か。さっきの攻撃具合からして光属性の攻撃は大ダメージっぽいな。変化するとき、そこだけは気をつけないと。


「倒したぞ。先を急ごう」

「え? もう倒したのですか?」


 シーファが驚きに満ちた顔で言う。俺は頷いた。


「ゴーストの魔物だったらしいな。生憎俺は光属性の魔法が使えないから悟に任せるとしよーじゃねえか」

「ミィトさんの意見に賛成ですね。私も光は苦手分野なので」


 シロとプリンは魔物だし、いや1匹雷獣か。彼らは光属性が使えないと思う。


 ーーシロは電気専門だからね! プリンは土だし。


 へぇ。プリンって土属性だったのか。


「ゴォォォッ!」


 プリンが地を叩く。すると、地面は波立ち、中にいた魔物を空中に放り投げた。


 おー、すごいすごい。


「って、魔物呼び出してるんじゃねぇぇぇ!」


 俺が剣で1匹を退治する。プリンがまた一声鳴くと、地面は魔物の大群を包み込んだ。土が球体になり、その中で魔物は暴れる。だが、少し経つと声は聞こえなくなった。


「あれ? 何をやったんだ?」


 ーー土で包み込んで、中で土の槍を形成したんだよ。


 一方的な暴力ということか。身動きできない奴らに土の槍で串刺しにすると。中々エグいことするな。


 ーー魔物相手にエグいも何もないでしょ。


 確かにそうだけどさ。


「グオォォォォォォン!!!」


 おっと。ついにお出ましか。


 俺たちの戦闘の音を聞きつけて、大きな影がやってきた。上を見上げる。巨大な翼が目一杯に飛び込んできた。


 会うのは2度目だっけか。えっと……。


 ワイ……ワイハ……ワイン……。


 名前忘れた。


『ワイバーンです』


 あ、そうそう。ワイバーンだ。


 会うのは2度目だっけか。


 ワンバーンよ!


 よし、完璧。


 そうだ、もう一度レベル確認するかな。確か鑑定遮断持っていなかったはずだし。


 ワイバーン

 種族 龍種

 状態異常 なし

 レベル190

 HP...2000/2000

 MP...6000/6000

 攻撃...2580

 防御...2685

 素早さ...2863

 魔法...5429


『レベル差がかけ離れているため、表示できませんでした』


 やっぱ強いなー。でもHPがあんまり高くないんだよな。鱗で守られてるからそこで穴を埋め合わせてるんだろうけど。


 強さ的に言ったらバイガルの方が断然強い。それに、今の俺たちにはミィトもいる。ミィトのステータスは知らないが、今の俺よりも強いと思う。戦闘経験も豊富だしな。


「グオォォォンッッ!!」


 ワイバーンは俺たちの姿を捉えるなり、ブレスをぶっ飛ばしてきた。


「《氷結結界アイス・バリア》」


 ミィトがつくった結界がブレスを見事防ぐ。氷結結界のおかげで熱は伝わってこない。


 結界は覚えてもいい魔法だな。防御をとるのも大事だ。今度頑張って習得してみよう。


「ふむ。中々やるようだな……っ!」


 ミィトは汗を流しながらも結界を維持してくれる。だが、ヤバイ状況なのは一目見てわかった。ワイバーンのブレスが押しているのだ。


「シロ、雷獣化して注意を引いてくれないか? その間に俺は接近戦を持ちかける」


 ーーおっけい!


 シロの体が大きくなる。完全に雷獣になったシロは結界の中から抜け出し、ブレスを吐き続けるワイバーンの腹に体当たりをかました。


「グォォ!?」


 ブレスが漸くとまる。怯むワイバーンに、シロは追撃の雷を落とした。


 見事命中。俺はその間にワイバーンへと接近する。そして、変化。


 変化したのはルーゲラベアーだ。跳脚し、ワイバーンの真下へ来る。ワイバーンも雷で麻痺していたため、少し高度が下がっていた。


 ワイバーンの顎に、地獄突きのアッパーをくらわせる。手には雷を宿していた。麻痺の相手には効果的だろう。


「グッ、オォ」


 そこにミィトの魔法が入った。氷結大爆発だ。ワイバーン中心に爆発が起き、途端に全てが凍りに閉ざされる。


 終わったか?


 いや、まだだ。


 俺は変化を解き、着地する。一旦ワイバーンから距離をとった。シロもついてくる。


「グ、グオォォォォォォン!!!」


 氷を割り、ワイバーンは怒りを露わにして咆哮を上げた。

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