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第116話 化け物というよりかは肉塊

 まだ心の傷が癒えてない……うぅ。


 絶対に復讐してやるっ! あの死神とかいうやつ、ぶちのめす! うおぉっ!


 うん、今は戦争中なんだしこの話は後だ。


 気を取り直した(自己暗示)俺は、魔物を切っていく。何故かいつもよりか魔物が切りやすい。と、思っているとシーファから注意を受けた。


「そんなに力みながら切っているとすぐ疲れますよ」


 あ、マジ? 俺そんなに強く切ってたかぁ。くそ、やっぱり怒りが抜け切れてないな。もう少し自己暗示しとくか。


「…………さ、サトル?」


 俺はいらついてないかいない……俺はいらついてないかいない……俺はいらつーー。


「…………大丈夫ですか?」


 は、これ以上やるとシーファにまた変人扱いされてしまう。


「くぅん」


 シロも……。俺の味方はもういないのか。


 よし、なんかこのくだり飽きた。魔物退治に集中しよ。


 怒りが収まってきたのか、シーファから注意を受けることもなくなった。漸く正常になった俺に満足したのか、彼女たちは俺と連携プレイをとって魔物を駆逐していく。


 10体ほど倒したところで、俺は冒険者たちが前に進んでいることに気がついた。魔物をラギ森林に追い詰めているのだろう。確かに、そこに集めて巨大な魔法を打ち込めばおおいに敵の数を減らすことができる。いいことを考えるやつもいたもんだ。


 え? こう考えるのは普通? まさかぁ。


 俺たちも前進をし、魔物を後退させていく。そして、ほぼ一箇所に集まったところで強大な魔法が叩き込まれた。


 俺はこれを一度だけ見たことがある。氷結爆発だったか……?


 この魔法はミィトが使える魔法で、広範囲攻撃だ。それに威力もかなり高いので消費魔力は目ん玉が飛び出るほど多いのだろう。


「ひえぇ……流石ミィトさんですね」


 シーファは怖気づいた声を出しながらも、ミィトを称賛した。このことに関しては俺も同感だ。俺よりも遥かに強いミィトのことだから、ステータスも半端ではない。断言できるぞ。ああ、一度見てみたいなぁ。鑑定妨害持ってたし。


 いっそのことどさくさに紛れてミィトを攻撃、その間に鑑定しちゃうとか?


 うん、殺されるな。やめとこ。


 とにかく、この一撃で魔物の大半が減った。少し前まで減っていないように見えていたのに、こう見るとかなり減った。まだまだラギ森林の向こうからは魔物が押し寄せてくる。ここは俺たちの腕の見せ所だ。


「シーファ、シロ、プリン、やるぞ!」


 俺たちは頷きあう。そして、ラギ森林に突っ込んでいった。


 ここまでくると大型の魔物しかいない。中には俺が戦っても勝てるかどうか怪しいやつらだっていた。まあこれは俺1人で戦う場合の話だが。


 特に、違う魔物同士で群れているやつが一番危険だ。攻撃パターンも違く、一体一体がかなりの強さを誇っていたら。そういうやつを見つけたら、流石に俺たちも見つからずに回避している。今まで出会った敵とは全て戦っていたが、ここで初めて逃走という選択を選んだ。


 そんなことをしたからなのか、俺が息を潜めている間に何かスキルをゲットした。


 風圧遮断。俺がどれだけ激しく動いても、空気を流れを制御して音を出させないというナイスすぎるスキルだ。風圧感知とか、昔は覚えていたしそれと同じ類だろう。ならこれは大気遮断に進化するかもしれない。未来が有望なスキルだ。それにMPも消費しないし。


 俺の気分は有頂天に達していた。けれど、そんな俺を見逃してくれるほど運は優しくなかった。


 ドシンと振動で地面が揺れる。大きな足が木々の向こうに見える。方向からして、俺たちの存在はバレているようだった。うぅ、風圧遮断をゲットしたばかりだったからまだ発動してなかった……。


 あ、発動してもシーファたちの足音は消せないからダメか。


 それは、俺が前見た龍と同じ大きさの体をしてきた。龍ではない。しかし、龍の面影もある。一言で表せば、すべての魔物をぐちゃぐちゃに融合させた……とでもいうべきか。もう肉片みたいだ。っていうか肉の塊だ。


 口悪く言おう。


 見た目はくそきもい。


 逆によく言おう。


 きゃー、めちゃくちゃ強そうね! 威圧感も半端じゃない! 尊敬しちゃう!


 いやいやこういうのは求めてないってば!


 脳内パリピの1人漫才。すごく悲しいことである。心の声を聞ける人がいたら、すぐに俺から離れていくことであろう。


「グゴオォガギイヴッッッ!!!」


 残念ながら俺にいっていることが理解できないみたいだ。まあできたとしても話が通じるやつじゃなさそうだから意味もないんだけどね。


 すると、その魔物は爪を振りかざしてきた。俺は後ろへ飛び退く。だが、腕は伸びて咄嗟にガードで前に出した腕を引き裂いて行った。いっつぅ……。


 腕が伸びたと思ったのは一時的なものだった。魔物の腕は元々体から離れていて、ふわふわと空中に浮いていた。肩から全てが外れている。あれ逃げても追いかけてくるタイプかぁ。面倒くせ。


 おーい、鑑定さんよ。あの魔物の情報あるかー?


『データが見つかりません。ユニークスキルを使った痕跡がないのできっと研究の実験台などで融合させた魔物でしょう。完全に理性を失っています。名付けをしたら魔王からの呪縛から解放されますが、理性を取り戻す可能性は0.000001%未満ーー』


 え? 鑑定さんこいつを仲間にしろと言ってるの? こんなん引き連れて街歩いてみろ。討伐対象として俺も依頼に出されるぞ? っていうか成功確率低すぎだろ!


『…………』


 黙るなっ!


 もう、どいつもこいつも!


 よし、こいつの名前はぐちゃぐちゃだからグーチャだ! うん、いつまで経っても俺のネーミングセンスは酷いな!


 名前が決定したところで、様子を伺っていたグーチャは腕を飛ばしてきた。それも4つ。おいあと2つどこから出した!


 飛んでくる腕を回避する。一本だけ、回避したすれ違いざまに剣で切りつけてやったが擦り傷がついた程度だ。その傷は付けられた直前に再生が始まり、グーチャに戻っていく合間に全て完治してしまった。


それに、俺の剣が折れそうになった。剣をもっと完全に叩き込んでいたら根元からポッキリいっていただろう。


 ……泣きたくなってきた。

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