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第111話 戦争の幕が上がる!

 ついにこの時がやってきた。

 ‬

 俺たち冒険者はラギ森林よりも500メートル離れた場所にいる。ミィトの考えにより、ここが一番いいと判断されたからだ。その理由はわからない。

 ‬

 陣形の名前を発表された時は驚いた。

 ‬

『とにかくガンガン行こうぜ!』

 ‬

 自分の攻めたいやり方で攻めろと。これからまだズートのほうが良かったんじゃないか?

 ‬

 ……いや、ないか。

 ‬

 まあ陣形とか定められて動きたいように動けない時だってあるわな。つまりはミィトはそこを考慮して悩んだ末にこれを出したのだろう。

 ‬

 うん。それを信じよう。っていうかそうでなくては俺のミィトの中のイメージが……。

 ‬

 そんなことを考えているうちに、何か殺気なようなものを感じた。前を見る。ラギ森林から大量の魔物がわらわらと出てきた。

 ‬

 そう。わかっていると思うが、今日は魔物の大群が押し寄せてくると和樹が言ったその日なのだ。和樹はちゃんと約束を守ってくれたらしい。そこら辺はいいんだな、彼。

 ‬

 ーーオオォォォォォォォッッッーー

 ‬

 魔物の雄叫びが空気を揺るがす。後に、『ロット国大戦争』と呼ばれる戦争が行われようとしていた。

 ‬

「殺れ」

 ‬

 ミィトの一言で、冒険者たちは雄叫びをあげながら魔物の元へ突っ込んでいく。後ろからは魔法組の支援だ。近接特化の人たちに、パワーやクイックなどの魔法をかけていく。ある程度近づいたら火刃などを打つらしい。

 ‬

 さらに、魔術師は横に一列に並んでいた。前を走る冒険者と一定の間隔を保って進んでいる。なかなかいい配置じゃないか。

 ‬

 シーファは魔法特化だが、俺ときていた。まあ、俺のパーティーは全員一緒に来ているけどね。

 ‬

「わんわん」

 ‬

 シロが何か言いたげだ。

 ‬

「あ、プリンのことか?」

 ‬

 シロがテイムしたミニドラゴンのプリン。そいつを呼び出したいのだろう。

 ‬

「いいんじゃないか? でも死なないようにちゃんと管理してろよ」

 ‬

 昨日ゲットしたばっかりだし、あまり交流がないんだよな。でも仲間だし死なせたくはない。今の意識はそんな感じだ。



 シロはプリンを呼び出す。シロの眼の前で光の胞子が集まり、プリンの姿を形作って行った。



「ゴォゴォ!」



 完全にプリンが呼び出される。彼女(?)はシロの姿を見つけると駆け寄っていった。



「わんっわんっ!」

 ‬

 シロの後ろをぴったりとついていくプリン。顔はまあまあいかついが、テクテクと歩く姿は愛らしい。

 ‬

「ぐがぁ……」

 ‬

 走っていると、丁度目の前にいた人が心臓を刺され、倒れこんだ。

 ‬

「《偉大なる光の精霊よ。闇を退け世界を光で満せ》ハイヒール」

 ‬

 なにさらっと上位の回復魔法覚えてるんじゃい。

 ‬

 でももうこの男の冒険者は虫の息だし、ハイ・ヒールで助かるレベルじゃないと思う。ああ、かわいそうに。覚えておいたら後で墓立ててあげる。

 ‬

 ナイフを持っていたゴブリンを殺し、後ろを振り返る。

 ‬

 …………ふぇっ!?

 ‬

 なんと男の傷がみるみる塞がっていくではないか!

 ‬

 え? ハイヒールってそんなにやばいの? 出血もう止まってるし。え?

 ‬

「いつつ……」

 ‬

 いつつ……じゃねえよ。お前なに? アンデッド?

 ‬

 さては魔物か!ここで成敗っ!


「な、なんでサトルは剣を構えてるんですか!」


 とかやってたらシーファに注意された。……気をつけよ。


「ん? 俺……さっき魔物に刺されたような……」


 冒険者は辺りを見回す。しかし、どこにも自分を助けた人らしき姿はなかった。


 ま、隠れてるんだけども。


 だってほぼ致命傷の傷を治すとか色々聞かれそうじゃん。こんな戦場で面倒くさいことやってたら和樹がきて色々とヤバいことになるし。


「なんでハイヒールであんなに傷が治るんだよ?」

「わ、私にもわからないんです……。サトルの役に立つため、ヒールを練習したらハイヒールを習得して、その後何回か使ったんですけどここまで回復することはありませんでした」

「じゃぁなんで助けたんだ? ああいうのを治せないと分かってれば、手を出さなかったはずだ」

「それは……何かできるような気がしたんです」

「勘か?」

「……恐らく」


 よくわからないが、一度だけとてつもない回復量を持ったハイヒールを出せたということだ。シーファは嘘をつかないし、このおどおどした感じも演技とは思えない。


「何故でしょう? こんなに回復するなんて……」


 俺もそれは疑問に思うぞ。


 おっと。シーファと話している間にさっきの男は去っていったようだな。


 はっ! 大気感知に何か反応してる!


 これは魔物じゃないな。人間だ。


 しかし、姿がない。俺はそこで漸くわかった。


「ああ、キュラサか」


 なにもない場所が歪み、そこからキュラサが現れた。彼女の透明化はかなり便利だ。俺みたいな大気感知がなかったら恐らく気がつけないだろう。


「今の所和樹の姿はないみたい。私、ラギ森林の奥まで行ったんだけど魔物が溢れているだけでなにもいなかった。もしかしたら、別の場所にいるのかも。私みたいに姿を消せるスキルがあれば話は別だけど……」


 今の一瞬でラギ森林の奥まで行ったのか。相変わらずギルマスはすごいな。かっけ! うわ、すげぇな!


「なんか馬鹿にされたような気がしたのは気のせい?」


 気のせいでございますとも。


 そんなことは置いといて、俺たちも魔物倒さなきゃな。何しろ3000いるし。もう遠くの方の地面見えないな。


「よっしゃ、シーファ、シロ、カゲマル、暴れるぞ!」


 え? カゲマルは魔人だから人の前に出せないって?


 これは一か八かの賭けだ。ここは魔物とぶつかってるんだから、当然たくさんの魔物がいる。ピンチになっている冒険者をカゲマルが助けたらどうだろうか?


【きゃー! 助けて!】

【はっ! はっ! (カゲマルが魔物を切っている)】

【ま、魔人……!? でも、私たちのことを助けてくれるってことは……】

【まさか……!】

【この子は味方っ!?】


 っていうことになるかもしれない。信頼も勝ち取り、街でもカゲマルは普通に歩ける。一石二鳥だ。


「カゲマルはピンチの冒険者のところへ回ってくれ! シーファと俺は一緒にいく! シロとプリンはカゲマルについて行ってくれ!」

「承知」

「わかりました」

「わん!」

「ゴォッ!」


 俺たちは分かれる。横にはシーファがいた。


 さて、やりますかな!

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