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第11話 分裂!

  高!ステータス高すぎだよ!さすが成長チート。ドラゴンスライム倒しただけで32レベまで上がるなんてなぁ。普通にあれ、強かったな。でも、この森で1番強かったのはドラゴンスライムだぞ。遺跡に住んでたやつは論外な。でも、この森に住んでるのってあんなのしかいないの?もうちょっと強い奴がいても……。まあ戦いたくはないけど。


「そうだ、街ってどこにあるか知ってるか?」

「わかります。ここから南にずっと歩くと、大きな街があるのですが私は行きませんよ?」

「なんで?」


  そう言ってから後悔した。シーファは目尻を下げ、自分の翼を見つめている。その翼のせいで、自分は異端だと周りの奴らに言われたということを話していた。もう、そんな思いはしたくないのだろう。いや、俺がさせない。


「分かった。じゃあ、俺だけがいってもいいか?」

「だ、ダメですよ!私を1人にするんですか?酷いです」


  まあそりゃそうなるわな。あ、そうだ。スライムになればいいじゃん。


  ん?スライムで街を襲ってそのどさくさに紛れて街に入るなんて思ってないからな。スライムってスキル以前に普通に分裂できるよね。ほら、人間だってスキルに呼吸なんてないでしょ?それと同じ感じで。


「ちょっといいかな」


  一応忠告。襲いかかってきたらたまったもんじゃない。


  体の魔力を意識し、スライムと唱える。すると、身長が縮み、体が柔らかくなった感覚があった。


「す、スライム……」


  あ、前スライム見たからトラウマになってたりしないよな?それだけはやめてくれよ。シーファの前じゃ一生スライムにはなれないかもしれない。


  ……少し警戒してるな。俺だと主張しとくか。


「あの、俺だから。悟」

「しゃべった……」

「そこじゃないっての」

「あ、いつものサトルです」


  今のツッコミで何がわかったし。声は変わってないからすぐわかると思うんだけどなぁ。


  よし、不安要素が消えたところで分裂してみよう。どういう感覚かな?自分を切るみたいな?とりあえず真ん中に力を込めてみるか。


  ーーふむむむむむむむ。


  お?頭らへんに違和感。


「シーファ。俺、どうなってる?」

「どうなってるって、何もないですけど」


  ほえ?じゃあ一体何が……。


  頭には石が乗っていた。シーファがクスクスと笑っている。あのな。


「すいません。踏ん張ってるところが、あまりにも可笑しくて」


  そういうことを言ってるんじゃないけど……。まあ、今は分裂に集中だな。


  石をどかして今度こそ力を込め、ついでに魔力を流してみる。お、今度こそ頭に違和感。シーファの表情も少し驚いている。いたずらはしていないようだな。じゃあここからパックリと頭のものを下に持っていく感じで……。


  スパッと頭のものが下に移動し、俺は左に転んだ。右を見ると、少し自分よりも小柄なスライム。そいつはキョロキョロと辺りを見回し、俺を見つけると動きを止めた。こいつもこいつで意志を持っているのか。扱いにくいかもしれないな。俺がそのまま操れればよかった。そうすれば、シーファの護衛としておいて行けたのに。


  小柄なスライムはピョンピョンと跳ね、俺にか弱い体当たりをした。ダメージは入っていないが、かなり怒っている。あれ?心の声も聞こえてるのか。


  小柄なスライムはこくりと頷く。ただ意思があるだけじゃなくて知能もあるのか。少しは使えるな。


  そう思うと、小柄なスライムは嬉しそうにその場をはねた。


  なんというか、その、チョロいな。


  そいつには聞こえなかったのか、隣に座っていたシーファにもちょっかいを出し始めた。


「おい、やめろ」


  注意すると素直にやめる。俺の言うことも聞くのか。なら、護衛を頼んでも良さそうだ。だが、1つだけ気になっていたことがある。それは、片方が変化を解いたらもう片方はどうなるかだ。試しに俺は変化を解いてみる。ん?シーファが大きいな。ああ、俺が小さいのか。ステータスも3分の2ぐらいになってる。残りは小さいスライムが持ってるんだな。


  さて、肝心のスライムはキョトンとしながらこちらを見ていた。


『何やってんの?』


  声が聞こえる。こいつが呼びかけたのか!戸惑いながら俺も心の中で返事をした。


『へ、変化を解いただけだ。警戒するな』

『いや、警戒はしてないけど……。何を考えてるかもこっちはこっちであまりわからないんだ。脳のほとんどを持ってかれたからさ』


  有力な情報。大きさにも影響してるんだ。じゃあ、大きい方が本体っていうことか?


『そういうことかな。君がどう頑張っても小さい方には移れないと思う。役割がもう決めてあるのかな。君も頑張れば、僕の意識を乗っ取ることだってできるかもしれないよ?』


  人格も違うじゃねえか。本当に俺か?


『だからぁ』


  小さいスライムは苛立った声を送ってくる。


『脳のほとんどを持ってかれたんだって。人格だって君が維持してるんだから。残った人格は、僕が持ってるんだよ』


  そうやって念話をしていると、女性の声が頭に響いた。


『スキル意思疎通を獲得しました』


  お?これで小さいスライムの方も俺の考えていることわかるんじゃないか?


『ああ、なるほどね。よくわかった。僕がこの子の護衛をすればいいと。それと、僕のことを毎回毎回小さいスライムだの小柄なスライムだの言わないで、名前をつけてよ』


  名前か……。じゃあ小さいからチビ。


『ただの悪口かい?止めてよ、本気で怒るからね』


  おおう。怖々。ホントヤメテクレヨー。


  魔力をためるのが感じられたので、俺はとっさに思いついた名前を口にした。


「プイでいいか?」


  慌てていたため、思わず心で念じずに口から言葉を発してしまった。その言葉に反応するように、ジャンプするスライム。


『いいね。いいね!僕はプイだよ!』


  よかった。よし、今から街に入るときの流れを説明するぞ。

  そうして、俺とプイはまた念話で話し始めた。

スライム=ぷよぷよ

↓ ↓

イ プ

反対にして……

「プイ」

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