第103話 変化の進化 2
ルーゲラバイガル討伐完了! いやあ、本当に嬉しい!
最後の一撃がギルドカードだったっていうのはちょっとアレだけど。っていうかギルドカードって攻撃力100あるってことだよね? ヤバない?
舞い上がっている俺の脳に、鑑定さんの声が届いた。
『レベルが60になりました。灼熱大陸を習得しました。部位変化が二箇所に変更できるようになりました。必中5%が必中10%に上昇しました』
『レベルが70になりました。威圧を習得しました。必中10%が必中15%に上昇しました』
やった! スキルもゲットした!
よし、鑑定さん俺を鑑定してくれ!
とは言っても自分で鑑定しなきゃ発動しないから意味はないんだけどね。
サトル・カムラ
種族 人間種
状態異常 なし
レベル70
HP...2800/2800
MP...3200/3200
攻撃...390+10
防御...395+10
素早さ...392+10
魔法...602+10
《スキル》
・状態異常無効・鑑定・火球・火刃・灼熱大陸・雷球・斬撃波・必中15%(未完全)・聖柱・融合魔法・渾身の一突き・威圧・大気感知・意思疎通・言語理解
《ユニークスキル》
・変化・部位変化(二箇所)・変化呪
《称号》
・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い・馬鹿買い・詐欺師・ドジ・料理への執念・強者殺し・絡みやすい・魔人の主・魔物殺し・妙なパーティーのリーダー・脳内パリピ・強者殺し
にっこり。
…………。
すぅ。
ええええええ!?!?!?
マジで? 本気で言ってんのか鑑定さん! めちゃめちゃ強くなってる!
えがったえがった。
「サトル、沢山レベルが上がりましたよ!」
シーファが駆け寄ってくる。俺は慌ててその体を受け止めた。今他の場所から見ると、シーファが俺に抱きついている様子だ。
「一時はどうなるかと思いました」
「でも、今回はミライが協力してくれた」
「そんなにミライを信用していないのですか?」
言葉が詰まる。確かに、ミライから信用されてないと考えていたのはおかしかったのでは?
俺が信用していないからミライに無視され続けていた。そう考えても不自然ではない。
「俺はミライを信用してる」
シーファは安心したのか、俺の胸に顔を埋めた。何か呟いた気がする。
「何か言ったか?」
「いえ、何も」
悟は知らなかった。シーファに好意を寄せられていたことを。そして、この戦いがあってその思いはさらに加速したことを。
ーー好きです。
シーファの口がそう動いたことも、全て悟は知らなかった。
悪く言えば鈍感だ。
よく言えば物語の主人公ともいう。
シーファが幸せそうな表情を浮かべている中、俺は鑑定さんに問いかける。
鑑定さん、ルーゲラフラワーの進化先を見せてくれないか?
『進化先を表示します。
・ルーゲラポイズンフラワー(強力な毒を持つ)
・ルーゲラキラーフラワー(殺人花と化す。移動も可能)
2つのうちどちらか1つを選んでください。また、ルーゲラフラワーのレベルを上げれば取り逃がしたもう1つの進化先も獲得できます』
ううむ、どちらにしようか迷うな。
ルーゲラポイズンフラワーはルーゲラフラワーの上位互換だと思う。少し見た目が変わって、毒煙が強くなるとかそんな感じ。ここから進化もなさそうだしなぁ。
殺人花は、もう魔物って感じだよな。ラギ森林でキラープラントっていうやつが出てきたことあるからその下位互換。そう考えると、こっちのほうがいいのかもしれない。
鑑定さん、ルーゲラキラーフラワーになっても毒攻撃できるのか?
『基本的に、ルーゲラフラワーは80%が毒で構成されています。ルーゲラキラーフラワーに進化をしても、毒攻撃は可能です』
うん。決めた。ルーゲラキラーフラワーだ!
『ルーゲラキラーフラワーに変化が可能になりました。スキルを表示します。
・毒煙
・毒牙
・毒水
・リーフプロペラ
・栄養吸収
の5つです』
いいね、最高だ!
それで、プロペラって何?
『頭の上の3枚の葉を動かすことによって空を飛ぶことができます。MPは消費しませんが、体力を使います。あまり高い高度は飛べません』
すごいいいスキルだ。これ部位変化で頭の上につけて回すかな。
……いや変人と間違われるしやめとこ。
次は栄養吸収。これって回復みたいな?
『地に根をはることによって、HPとMP両方を回復することができます。しかし、その効果は極小です』
素晴らしいじゃないか。効果は極小でも少しは回復することができるんだろ?
あ、変化にMP消費しちゃうからそこでは相殺なのかな?
『それは変化の個体によります』
まあそうだよな。
「ーール! サトル!」
「うおっ」
俺はシーファの声で現実に引き戻された。
「ん? なんだ? シーファ」
「もう、酷いです」
シーファが頬を膨らませる。やっぱりいつ見ても可愛い。
「悟様。シーファ殿の代わりに言うが、もうそろそろ戻ったほうがいい。夜が明けた。タイムリミットはあと2日だぞ」
いっ!? そんなに経ってたのか。
「わかった。シロ、こっちにこい」
「わん!」
シロは俺に飛び込む。シーファがバッと俺の前から離れた。
「よしよし、いい子だ」
抱きかかえたシロを撫でる。何故かシーファが恨めしそうな目で見ていたが、さっき抱きしめてやったしもういいだろう。
謎の嫉妬の視線を浴びながら、俺は帰還したのだった。
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「帰ってきたみたいね」
ロット国のギルドに入った途端、誰かに声をかけられた。声の主を探す。1つのテーブルに、5人のギルドマスターが座っていた。声をかけてくれたのはキュラサだ。
5人の中でも一番数台が大きい男がのっそりと立ち上がる。俺よりもはるかに大きい手を差し伸べてきた。
「おれ、ズート。周りからは脳筋って呼ばれているが、これでも一応ギルマスだ。よろしくな」
手をとる。とてつもない握力で、俺の手が握りつぶされそうになった。
「いいい痛い痛い!」
ズートはハッとし、直様手を離してくれた。俺の手は見事に赤く染まっていた。
「ちょっと、力加減を考えてっていっつも言ってるじゃない! ごめんね、サトルくん」
キュラサが怒り、謝る。ズートは慌てる。
「ご、ごめんな。おれ、言われたことすぐに忘れちまう」
脳筋というよりかは馬鹿という方がお似合いだな、こいつ。
すいません失礼でした。
「本当にごめんな。代わりに言うことなんでも聞くから」
「あんたねぇ、この前ふざけた子供にそれでギルマスやめろとか言われたの覚えてるの!? それで本当に退職届を出して! 私が必死に退職届をもみ消してあげたから今があるの! 全くっ!」
ええ〜。
俺が苦笑いしている中、テーブルから1人の女性が立った。手を2回打ち鳴らす。それだけで、騒ぎは収まる。
「無駄話はそれくらいにして、本題に入ろうか」
ミィトだった。




