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第101話 ルーゲラバイガルとの戦い 3

 どうやったらこの化け物に勝てるんだ!?


 バイガルの攻撃を避けようとするが、右足をかすってしまった。すると、そこから紫色のものが肌を侵食していく。だが、それはすぐに消えた。


「毒か……」


 俺には状態異常無効があるため、毒は効かない。ふはははは!


 とか言っている場合ではない。誰だよ、脳内パリピの人っ!


「気をつけろ、毒を使ってきたぞ」


 一応、仲間たちに忠告をしておいた。俺はバイガルに意識を集中させる。警戒したまま、シーファに声をかけた。


「シーファ、残りMPはどれくらいだ?」

「10分の1を切りました。邪柱はもう打てませんが、小さい技で援護はできます」

「そうか」


 この先は小声で話しかける。


「隙を作りたい。カゲマルと協力してバイガルの気を引いてくれないか?」


 シーファは頷く代わりに、すっと目を細くした。カゲマルも話を聞いていたようで、シーファのそばに寄る。


「シロ!」

「がぅっ!」


 シロが俺の隣に着く。その背にまたがった。俺の行動に不信感を感じたのか、バイガルはずっとこちらを警戒している。とは言っても、今シーファたちが攻撃をしても防がれてしまうだろう。最低限の注意をしているわけだ。


 俺の合図でシロは空中をかけていく。白馬もとい雷獣騎士見参! おお、なんだかかっこいい。


 ……戦っている最中でなんてことを考えてるんだろう、俺は。少し冷静になるか。


 シロは高度を上げていく。バイガルに翼はないから、飛べないはずだ。空からの徹底攻撃に専念すればいつかは倒せる。はず。


 下ではシーファが魔法をうっていた。当然のように避けるバイガルだが、影から出てきたカゲマルに背後を取られる。連携プレイに苦戦しているようだった。


「ジャアァァァァァ!」

「シィィィィィィィ!」


 バイガルが尾を振る。しかし、それはギリギリシーファには届かない。と、思われた。シーファの体から血が飛び出す。何が起こったのか、わからない。続いて尾を振るバイガル。今度はカゲマルが血を吹き出す番だった。


 ーー次元斬。


 シロから念話。


「お前、あいつを鑑定してないのに次元斬を使っているってわかるのか?」


 ーー持ってる。


「シロが?」


 ーーそう。


 驚いた。っていうか、次元斬ってどういう意味なんだ? 鑑定さんカモーン!


『次元斬は斬撃派の進化型のスキルで、空間を渡って相手の場所で炸裂します。そのため、目で見ることはできません』


 空間を渡って……。避けるの無理じゃーーあ。


 俺には大気感知があるじゃないか! もし空間を使う技が空気に何かしらの影響を及ぼしていたらわかる! うお、まじで感激。


 シロは一気に宙へと駆け上がる。空に黒雲が立ち込めた。


「ガウゥゥゥン!」


 高く咆哮をあげる。視界が白く染まった。目の前を雷が通り過ぎていく。バイガルが気がついた時には遅かった。雷が直撃する。流石に効いたのか、バイガルは体に電流を流しながらよろける。


「ん? バイガルには電気無効が付いてなかったか?」


 その質問に、シロは答える。


 ーー雷獣の雷は特別。無効効かない。


 万能すぎるぞ、おい。


 悪寒が走る。バイガルの殺気がまっすぐこちらに向いていた。シーファとカゲマルはぐったりとした様子で倒れている。俺が剣を構えたと同時に、バイガルの姿が消えた。地上には影すら見当たらない。


 大気感知で何かを感じ取る。すぐさま後ろを振り向く。そこには何もないが、空気が揺らいでいた。これは空間魔法を使うときの象徴じゃないか!?


 剣を前に突き出す。瞬間、何もない場所からバイガルが現れた。バイガルが消えたことで本体自身が襲いかかってくる可能性も感じてはいたが、本当にそうなってしまった。だが、こう予測できたことで対策ができたのだ。


 剣で突くと見せかけて、水平にし体当たりを受け流す。それでも手にかかる負担は重く、みしりと剣が嫌な音を立てた。でも、ここで躊躇っていては全てが台無しだ。


 バイガルが俺の横を通り過ぎる。視線と視線が交差した。その時間は、数分にも数十分にも感じられたが、実際のところは数秒だっただろう。シロが態勢を整え、バイガルに向き直る。バイガルは宙を蹴り、大きく回って俺を真正面から見据えた。


「はああぁぁぁぁ!」

「ジャア!」

「ジィ!」


 再び、俺たちの体が交差した。遅れて、バイガルの両方の首に傷が入る。バイガル、今日初めての血だ。しかし、俺も頬から血が出た。少量だ。我慢は出来る。


 何故、今まで傷をつけられなかったのに傷をつけられたのか? 自身のステータスを見てみると、パワーというものが俺の体に付与されていた。下ではシーファが俺に向かって手を伸ばしている。力尽きたわけではないようだが、未だ腹から血を流していた。


「シーファ、すまない」


 シーファにそれは聞こえない。俺は、目を真っ赤に変色させたバイガルを横目で睨んだ。


 パワーがついた今ならバイガルを傷つけられる。シーファのMPが尽きる前に、なんとかバイガルを倒し切らなければ。それに、俺はシロに乗っているから翼をつけたりしなくて済むが、シロのMPも減るとやばい。最悪の場合、この高い高度から落下するということもある。まあ受け止められるが大きな隙を見せることに変わりはない。


 これは、短期決戦だ。


 剣を構える。威風堂々としたルーゲラバイガルに、俺は言い放った。


「さあ、第二ラウンドの開幕だ」

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