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第10話 最低な組織

 『他の人の助けを借りた場合、変化登録はできません』


  お前喋れたの⁉︎って、な、なんだとぉぉぉぉ!


  いやふざけるなよ。まあ経験値稼ぎで行ったのは確かだけど変化できないのか……。ああ、折角強いモンスターを倒したのに。とどめを刺したのはシーファだけど。


  1人で落胆していると、シーファが駆け寄ってきた。


「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないよ……精神的に」

「ええ⁉︎何があったんですか⁉︎」


  分からない?……そうだ、シーファにスキルのこと話してなかったんだ。それはあと話すとしよう。信頼できると思うしな。基本的にシーファ以外にはスキルのことは明かさないようにしよう。


「えっと……ヒールで治りますか?」


  治らないよ、絶対。精神面は体力面と同じじゃないから。ああ、ショックだな。


「もう大丈夫だ。あいつの声にモンスターが寄ってくるかもしれないから一旦ここを離れよう」


  俺は大丈夫かもしれないが、シーファはわからない。もし、彼女が致命的なダメージを負ったら俺には何もできない。シーファを守りながら戦うのは嫌だな。


  シーファと共に洞穴へと戻る。もうここが拠点でいいかな。


「で、言いたいことがあるんだが……」


  俺は話を切り出した。


「俺のスキルのことだ。話をしようと思ってた。でも、俺が話す代わりにこっちも聞きたいことがある。それでいいか?」


  シーファが少しだけ眉を動かした気がしたが、彼女は素直に頷いた。


「何度か見たと思うが、俺はユニークスキル持ちだ。変化っていう。体を、倒した魔物に変化できる。その際、スキルだけコピーできるが他のステータスはコピーできないんだ。それと、コピーしたスキルは変化を解くとなくなる。そんなところか?あ、あともう1つ。さっき知ったんだが、魔物は1人ですべて倒し切らないと変化は使えないらしいんだ」

「変化……私も同じようなものを持ってます」

「羽変化か?」

「そうだと思います。ステータスは街に行ってないから確認してないけど、そんな感じです。でも、どうして?あ、鑑定持ちですね」


  俺は首を縦に動かす。


「そうだ。勝手に見てすまん。それで、羽変化とはどういうスキルだ?」

「全然大丈夫です。羽変化……?とは、私のこの翼の羽を変化させて料理の素材を作ったり剣を作ったりできます。でも、作れるのはあまり美味しくない食材だとか、低級のランクの剣ばかり。今まででランクEまでの剣しかできたことがないのです……」

「このくれた剣も?」

「はい。そうです。役に立つと思って」

「ありがとう。これは助かった。俺は元々素手だったからな。作ってくれてよかったよ。でも、MPを消費するんだろ?」

「そうです。ですが、MPとHPどっちも消費します。羽を取るときは、結構痛いので。今はすっかり慣れましたが、HP的には減るみたいで」

「ふむ」


  そう考えると、MPが少しずつしか減らない俺のスキルはチートだな。


「あと、もう1つ」


  もう話が終わったのかと思っていたのか、シーファは体を震わせた。何を聞かれるか、大体理解しているのだろう。


「核印とはなんだ?全てのステータスが2分の1になるって……」


  シーファは全てを諦めたように話した。


「その経緯から説明します。この世界には、私のような翼の生えた獣人はいません。なぜかというと、私はあの男たちの組織に捕まり、実験台にされ魔物と融合されたのです」

「男たち……魔物?」

「そうです。空を飛ぶスカイホースという魔物がいるんですけど、その魔物の翼を私に融合させ……」


  その時を思い出したのか、うっと口元を抑えるシーファ。翼を避けながら背中をさすったが、もう大丈夫ですと彼女は言った。


「組織の中にユニークスキルを持った男がいました。そいつが、私とスカイホースを合体させた元凶の融合持ち……名前は確か……あっ!?」


  急にシーファは左腕を抑えた。袖をめくると、おびただしい量の血の中に不思議な紋章が描かれていた。


「大丈夫か⁉︎シーファ?」

「《偉大なる光の精霊よ、闇を退けこの世に光を満たせ》ヒール」


  シーファの周りに光が出現し、傷を癒していく。シーファはヒール持ちと思い出した俺は、あえて言葉をかけずに回復を待った。やがて、傷口がふさがるとシーファは口を開く。


「そうでした……。あの組織のことを話そうとすると、紋章の効果が発動するんでした……。でも、これだけは言えます。私は、あの組織から逃げ出したのです!」

「充分だ。もう、いいぞ」

「はい……」


  どこか悲しげなシーファ。悟は、この話を聞いて心の中に決心が芽生えた。


  ーーシーファをここまでした組織の奴らを殺してやる。どうせ、あの男たちが死んだということが組織の中に広がれば誰かが捜索に出るかもしれないし、逃げたシーファも捉えにくるだろう。もうシーファは俺についてくるって決めたようだし、俺も仲間を見捨てるわけにはいかないな。


  俺は顎に手を添えた。


  ーーそうなると、万が一のことを考えて俺とシーファもレベル上げしとかないとな。羽変化の使い道もどこかにあるかもしれない。そう考えると、やっぱり街に行って武器を揃えなければな。あ、そういえば俺のステ確認してないじゃん。


 サトル・カムラ

 種族 人間種

 状態異常 なし

 レベル32

 HP...520/520

 MP...850/850

 攻撃...199

 防御...182

 素早さ...201

 魔法...260

 《スキル》

 ・成長 ・鑑定・火魔法・風圧感知・言語理解

 《ユニークスキル》

 ・変化

 《称号》

 ・神に気に入られた者・感知ができないただの馬鹿・怒ると怖い・仲間思い

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