7話 魔物と魔人族
とりあえず、ハールナル行きの馬車を探しにギルとバルドはアストラム王国の方へ戻って行った。ミーナは俺のことを未だ抱きしめている。そのせいで、俺のスライムボディーの後ろにミーナの胸が当たる。
(うぅ、結構ミーナって胸あるんだな、ローブを着ていて分からなかったが、抱きしめられると嫌でもわかってしまうぞ。スライムに変化していてホント良かった。ただでさえ[精力増強]なんてスキルを持っているからな、人型の魔物になっていたらやばかった)
「そう言えばレイちゃんは何処から来たの〜?」
「(ちゃん付けは辞めて欲しいな)森の中で今日生まれたんだよ」
「え!?今日!?レイちゃんは凄いんだね、生まれてすぐなのに人の言葉を喋れるし...............」
ミーナが何やら考えるように顎に指を添えた。そして暫く考え、俺に聞いた事が俺を驚かされるものだった。
「......もしかしてレイちゃんは転生者なの?」
俺のステータスを見た訳でも無いのに転生者だと当ててきた。なぜバレた?もしかしたらこの世界では、転生者はそこまで珍しい訳ではないのか?どうする?など、考えていたら返事をするのが遅れた。そして警戒心を高めミーナに質問をする。
「.......そうだが、転生者って珍しいのか?」
「ううん、転生者自体はそこまで珍しい訳じゃないよ。数年に何回か転生者はいるしね。ただ魔物に転生しているのはあまり聞いたことがないかな?だからそんなに警戒しなくてもいいよ」
「分かった、ところで転生者ってのはこの世界でどういう感じなんだ?」
「転生者は他の人とそこまで変わらないよ。ただ強力なスキルを持ってることが多いから、軍に入ったり、冒険者の上位ランカーになることが多いよ」
どうやら転生者ってのは強いスキル、つまりユニークスキルを持っていて、称号の力でスキルポイントが、他人より多く手に入るってことか。でも魔物が転生者だったらどうなるんだ?
「俺が転生者で魔物ってバレたら殺されるんかな?」
「うーん、それは分からないかな」
「どうしてだ?」
「魔物っていうのはね、知性よりも本能の方が高く、魔力がある種族のことを言うんだよ。その逆で知性の方が高かく、人型になれ、ある程度進化した種族を魔人族って世界に認められるんだよ」
「世界に認められる?」
「そう、この世界の種族はこの世界に認められた時、ステータスプレートに書かれるんだよ。だからレイちゃんは人族に変化した時に、ステータスプレートが変わるんじゃないかな?」
この世界では魔物が魔人族になるらしい、でも俺の最初の姿は人型のはずなんだけど、魔人族じゃなかった。もしかしたら人型っぽいだけなのか?とりあえずミーナに見てもらって、どんな感じか言ってもらおう。
[生命変化]発動 モンスター
発動した瞬間、段々形を変えていく、丸いスライムの体から人の形をとっていく。俺がいきなり体の形が変化したので、ミーナが驚き俺を手放す。
「きゃ!?何?レイちゃん何をしたの!?」
「(あ、言うの忘れてた)スキルで元の姿に戻るんだよ」
「へ、へー、そーなんだー(あ、段々人型になってきた)」
そんなことを話しているうちに俺の体は、『スライム』から『モンスター』へと変化していく。最終的に俺は人型になり、ミーナに俺の姿を聞いてみた。
「ミーナさん、最初から人型だったんだけど、どんな感じか言ってくれないか?」
「あ、うん分かった。えーとね、人型だけど目と、はなと、口がなくて、髪も生えてないね。あと全体的に白いかな。なんというか、白くて細いゴーレム?」
どうやら俺の姿は白くて細いゴーレムらしい、まずゴーレムを見た事がないので分からないが、顔は日本で言うのっぺらぼうなんだろう。顔がないので魔人族じゃないんだろう、早く人間を吸収したい。
すると、またミーナが俺に質問をしてきた。
「そう言えば、レイちゃんの此処に来た目的ってなんなの?」
「あーそれか」
「ねぇねぇ何しに此処に来たの?」
「此処に来た理由は、それはな人族のつy「おーい、ミーナ、馬車が見つかったぞー」......」
なんとタイミングが悪い、どうやらハールナル行きの馬車が見つかったようでギルとバルドが戻ってきたようだ。ちょうど説明をしようとした所に、バルドが声を上げた。そして近づいてきたギル達は俺のことを見つけると、警戒しながら声をかけてきた。
「おい、ミーナ、そこの白い魔物は何だ」
「うん?あーレイちゃんだよー」
「あ?レイ?こいつが?俺達がいた時はスライムだったろ」
「こっちが本当の姿なんだってー」
俺が変化するところをギル達は見ていなかったので、警戒したらしい。まぁ、馬車を探しに行って帰ってきたら白い魔物がいるからな、警戒して当然だけど。
「とりあえず、レイはスライムの姿に戻ってくれ、馬車のおっさんをまたしてるんでな」
「ん、分かった」
[生命変化]発動 スライム
言われた通り俺はスライムの姿に戻る。
「よし、それじゃあ、馬車の方に行くか」
「うん」「おう」「分かった」
「レイはミーナの帽子の中に隠れていろよ?」
「分かってるって」
そして俺達はハールナルへ行くための馬車の方まで歩いて行くのだった。