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E.S.R.I.1 《Deadlock Chronology》  作者: 帰ってきたきうきう
序章 僕と私のタイムトラベル。
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第19話 少年と少女が願いを叶える物語。

 昔々、ある魔族の村に一人の少年と一人の少女が居た。

 少年の名はアルケイド。

 少女の名はエリー。

 二人は手を繋ぎ、星の下で約束を交わす。失ったモノを、共に取り戻すために。



「よいしょっ……。」

 私の名前はエリー。角と尾を持つ竜人の子供です。私は今、お父さんに頼まれた薬草を摘みに行く帰りです。この辺りはたまにモンスターが出現するのでふつうの子供が一人が近づくのはとても危険です。

「やーいやーい!エリーだ!人間の子のエリーだ!」

 危険なのに、いじめっ子はいつもやってきます。

「人間の子はテオリアに帰れー!」

「そうだそうだー!」

 やってきたいじめっ子が私を囲います。

「うわあああ!!?モンスターだ!!」

「に、逃げろー!!!」

 そしていつもこうなります。


「ほんとうにバカばっかり。」

 私は帽子を深く被ります。私のお父さんは人間ですが、私は魔族です。だから私のお父さんは本当のお父さんではありません。私のお父さんはお医者さんで、以前行き倒れになっていた私を助けてくれたのです。

 モンスターはぷにぷにと形を変えながら私に向かって来ます。私はこのモンスターを見てかわいそうだなと思いました。

「さようなら。」

 なぜならこのモンスターは、私に倒されてしまうからです。



「すっげえ……。」

 俺の名前はアルケイド。俺はたった今、すごいものを見てしまった。なんと、俺より小さい女の子がモンスターを一人でやっつけてしまったのだ。しかも普通に戦ったんじゃない。その子は魔術を使った。地面から大きな土の拳を出してモンスターを吹っ飛ばす魔術だ。…あんな本格的な魔術を見たのは初めてだ。

「誰?あなたもいじめっ子?」

「ち、違うやい!!」

 いじめっ子だって?俺はそんな事しない!むしろいじめっ子をやっつけるためにここまで追ってきたんだ。

「じゃあ…友達?」

「……そう、かも?」

 …そんな流れで、俺たちは友達になってしまった。

 


「お父さん!薬草摘んできたよ!」

「おぉ~!こんなに沢山ありがとう!本当にエリーは頼もしい子だ!」

「友達も連れてきたよ!」

「ほぉ~!……ってアルケイド君じゃないか!?」

「あるけいど?」

 アルケイド。初めて名前を聞いた時、かっこいいなと思いました。でもどうしてお父さんはこの子の事を知っているんだろう…。

「あっ、先生どーも。いつも母上のクスリをありがとうございます。」

「ははうえ?」

「あー、うん。俺の母さんね、病気で体が弱いから、よく先生に診てもらってるんだ。」

「そうなんだ……。」

 …お母さん。わたしはお母さんの顔を知りません。本当のお父さんの顔も知りません。

 だから少し。ほんの少しだけ私は泣きました。

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