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E.S.R.I.1 《Deadlock Chronology》  作者: 帰ってきたきうきう
第一章 生きるために生まれて。
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幕間B 百万回転生者を殺した世界。

「もしも、異世界から来た生命体が我々の世界を滅ぼさんとしたら?」

 教授は言った。僕は「そんな突拍子もない出来事は現実に起こりえないだろう。」と心の中で思いながら窓の外を眺めていたが、運悪く指名されたのは僕だった。

「滅ぼされる前に倒せばいいでしょう。」

 僕は笑顔で答える。どうせ教授の期待通りの答えが出るまで無茶な例外を叩きつけられるだろうと身構えていたが、意外にもこの答えは正解だった。


 この世界の秩序は、より強い生物が弱い生物を踏み台にする事で成り立っている。この仕組みをドーナツで例えるとこうなる。

 10個の毒入りドーナツと、10個の毒無しドーナツ。全て食べられてしまうのはどちらか。これは当然考えるまでもなく毒無しドーナツの方だ。毒入りの方は食べたら死ぬから最終的に誰も食べなくなる。つまり生き延びる毒入りドーナツの方が毒無しドーナツよりも強い。


「もしも、世界に無限の分岐があるとしたら?」

 教授は言った。未来の分岐が幾つあっても自分の居場所は一つしかないのだから、よその世界の事なんて考えるだけ面倒だと僕は思ったが、それでもお構いなしに話は進む。


 10個の毒入りドーナツが全て食べられた未来と、10個毒無しドーナツが全て食べられた未来。より多く存在するのはどちらか。

 これの正解も後者だ。毒入りを食べたら死ぬのだから、毒無しドーナツを全て平げた未来の方が多いに決まっている。


「もしも君たちが毒無しのドーナツだとしたら、食べられずにここに出席しているという事だけでも相当な奇跡なのだよ。」

 教授は言う。つまり、カリキュラム通り毎日必ず出席しなさいとか、毎日の健康に感謝しなさいとか、そう言う話ではなく。この銀色の星の上で青い星を見下しながら、いずれ青い星の支配者【オーバーロード】となる為の最高の教育を施されている僕たちの存在は、「多くの未来を犠牲にしてまで完遂させた奇跡の計画の成果」だという自覚を持てとの話だった。


 転生殺し【スティルボーン・セレクション】。必滅する世界を守るために、神々が施した世界の仕組みの一つを教授たちはこう呼んでいる。


 異世界から来た生命体は、多くの場合で与えられた能力を確認する為に弱いモンスターを攻撃する。例外はあるが、僕たちの世界に来た彼らは殆どがこれを試みたらしい。だが、彼らは誰一人として知らない。一番最初に遭遇した最弱のモンスター、【キウキウ】が見た目では予想の出来ないほど強力な【自爆能力】を備えているという事も。そして、きうきうたちの命がけの自爆によってこの世界は異世界からの介入を免れているという事も。


 転生殺し【スティルボーン・セレクション】。

 それは、誰よりも多くの転生者を殺したこの世界の通称であり、僕たちが守る唯一つの世界の名前でもある。


 ついでに言うと僕の名前はイルゼパト。【セカイ】を救う、始まりのE.S.R.I.だ。

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