二話 Blade 後編
後編です。
私はその場で呆然と立ち尽くしていた。
理解できないそれは頭の中を埋め尽くした。
しばらくして、その場に須田宮君が現れた。
「!鏡さん!?なんでこんな所に?」
「えっ…わかんない。」
「ここは危ない。早く家に帰るんだ。」
「…さっき、刃物男、多分、Bladeがいた。」
私は動かない頭を必死に働かせたが、言葉が出てこない。
「!だったら尚更ここにいちゃいけない!」
「…」
「…?鏡さん?」
「大丈夫だよ。着いてきて。」
私は思ってもいないことが口から出た。
しかし、体はBladeがいると思う場所に向かっていく。
「ちょ…待って!」
須田宮君は私の腕をつかむ。だけど、歩き続ける。
私は普段から引きこもっていて、須田宮君に筋力で勝てるわけが無い。
なのに、この時だけは、須田宮君の手を振り払えた。
「くっ…待ってってば!」
須田宮君はあとを追ってきた。
歩いて数分、近くの別の公園に着いた。
そこに、男はいた。
「!またてめぇか! 連れているのはだれだ?協力者か?」
「あいつがBladeか…鏡さんは下がってて。」
「なんだ?てめぇ1人で来るのか?斬り裂かれてぇか?」
「やれるもんならな…」
「舐めやがって!このゲームを勝ち抜くのは俺だ!」
男は右腕を刀に変化させ斬りかかってくる。
須田宮君は足から蒸気を出し、回避する。
「てめぇは…Steam…?どういう事だ…?」
「考え事してる場合か!?」
須田宮君は男の顔を殴った。
続けてボディに一発、頭に向けて重い一撃を食らわせた。
しかし、男は倒れない。
「くっそ!舐めやがって!」
男は右腕を須田宮君の腹部に突き刺そうとする。
だが、
「もう遅い。」
そう言うと須田宮君は刀を蹴った。
そして刀は真っ二つに割れてしまった。
「ぐわぁぁぁぁ!!!」
悲痛な叫びが響く。
「Steamの能力は蒸気を操る能力。高圧の蒸気を刀に当て続ければ錆びる。」
「そしてもうお前に武器はない。」
「俺の勝ちだ。」
そう言い放った須田宮君に男は告げた。
「何を言っている…Steam…お前は、お前の仲間の…その女はShieldの能力者だぞ…?何故“S”が2人もいる…?」
「!鏡さん、本当か?」
「ち…違う、違うはずよ…」
「なら…どうやって俺の攻撃を受けとめた?」
「それは…」
「これは神に対する反逆だ…!“審判”はこれを許さない…!」
「“審判”…?」
「いずれお前らには神罰が与えられるだろうよ…」
そう言うとDROP OUTの文字に包まれ、消えた。
緊張だけが残されて。
「あらら、大変なことになってるねー」
「だからイレギュラーだと言っているはずだが?」
「まあこれはこれでおもしろくない?」
「αが言うなら面白いのだろうな。」
「これまでに無い展開だ…2000年代がこんなに面白いならもう一戦やっても良さそうかな?」
「それはルール違反ではないのか?」
「自分のルールは変えていんだよ?」
「あなたという人は…」
「…でも確かにこれはイレギュラー過ぎるかもね。」
「α、新たなイレギュラーだ。」
モニターを見る。まだ秋だというのに厚そうなロングコートに手袋を付けた長身の男が写っている。
「服装がイレギュラー…ってだけじゃなさそうだね。下手すると…」
「第2回を思い出すな。」
「ああ。あの悲劇は起こしちゃいけない。もう一度告知だ。」
「了解した。」
物語は加速する…執筆速度は低下する…(しないように頑張る)