Ω話 Oblivion
ギニャー!シャー!グルルル…フシャー!!
目覚まし時計を叩く。誰だ猫の喧嘩の声をアラームにしたのは。一人しかいないが。
階段を降りる。ニュースの声が聞こえてくる。
「大通りで謎の氷塊と焦げ跡が…」
ハロウィンにはまだ早いよな…?
そう思いながらリビングに行く。
姉は既にご飯を食べていた。若干ニヤついているのに腹が立って新聞を丸めて頭に叩きつけてからご飯を食べる。
お母さんがキッチンから声をかけてくる。
「今日から大学も再開なんでしょ?ゆっくりしてていいの?」
あっ…
忘れてた。下手すると一限に遅れてしまう。なんで水曜から始まるのかな! 赤い椛の絨毯の上を駆け抜ける。大学はもう目の前だ。
良かった。これならギリギリ間に合いそう。
しかし、校門手前に番人が立っていた。
「お!鏡じゃん!遅刻?」
日向先輩だ。若干めんどくさい人に絡まれてしまった。
「そうです!どいてください!」
「女子はちょっと遅れるくらいがいいってー私なんて行く気ないからサークル行ってくるし。」
「私は!優等生!なんです!」
「オカ研に優等生がいるわけないでしょ!」
「全国のオカ研に謝ってください!」
他愛ないやり取り。いつも通りのやり取り。
だけどなんだか懐かしく感じる。
大学が休講だったからかな?
あれ。なんで大学が休講になってたんだっけ。
休講の間、私何してたっけ。
ポッカリと記憶が抜け落ちてしまっている。
「ん?どうした?諦めたか?」
「いや、この休講の間私何してたっけって思って…」
「ああ。休みの日になるあれね。…ってあれ。私も何してたか思い出せないわ。」
オカ研部員が2人、記憶が抜け落ちる心霊現象、何も起こらない訳はなく…
「「心霊調査だ!」」
私は講義なんて忘れて先輩とサークルに向かった。
良かった。本当に記憶から無くなっているみたいだ。
これであのことを知っているのは俺一人。
また、あの平和な日々に戻れたんだ。
そう思うと自然と涙が溢れる。
いや、せっかくの平和に涙はいらないな。
俺は涙を拭いて、オカ研の部室に向かうのだった。
願わくば、この平和が永遠に続きますように。
FIN
完結しました。
長々と失礼しました。
気づいている方もいるかもしれませんが不死の男は例の救世主様をモチーフにしました。
彼は第一回からの生き残りで、二度と戦いが起こらなくなったことで能力が消えて死んでしまいました。かなしいね
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。