始まりはいつも唐突で…4p
輝斗はタンスの中に入った拳銃を手に取る、それは精巧なリボルバー式のモデルガンで、素材は本物準拠なのかずっしりとしている。
「…」
チャキッと輝斗はリボルバーの張子棒と呼ばれる弾丸がはいる弾倉を取り出すための部分を引き、弾倉内を見る中には鉄でできた偽物の銃弾が入っており、輝斗はそれを取り出した。
何の変哲もないその銃弾の形をした鉄の塊は、銅かなにかで出来ているのか錆びておらず、少しくすんでいたが、その銃弾の底の部分には何やら文字が書かれていた。
その文字は日本語でも英語でもロシア語でもなく、象形文字と言うには形が崩れており
規則がある文字列とは言えず、むしろ文字なのかも怪しい、そんな文字がかかれてあった。
輝斗はその文字を見て、確かに、はっきりとした口調でその文字列を読み出した。
「…………クトゥグァ…」
そう呟くと、ポウと青白い光の粒子が輝斗の体から染みでてきた。
「………」
そして、輝斗が銃弾をもってる左手に意識を集中させると、体の回りに漂う青白い粒子は銃弾の方へ集まってゆき、光が銃弾に吸い込まれていった。
すると弾丸がほんのりと赤みを帯ていった。
「……っ」
やがて銃弾がその赤みが焼けた鉄のようになったとき、輝斗は本当に熱く感じたのか弾丸を手離してしまった。
カランカラン…と銃弾が床に落ちると、今先程の赤い光は霧散し、輝斗のからだの回りにあった光も蛍の光のように淡く消えていった。
「…やっぱ…慣れないな…」
輝斗は相当集中していたのか額に薄い汗を滲ませて、呟いた。
そうすると、ピンポーンとチャイムがなり、来客の合図を知らせた。
「…?(昇か?いやに早いな。)」
そう思いつつ荷物をまとめて
玄関に向かった。
そして、靴を履き荷物をもち玄関を開けると…
「よぉ、輝斗ォ…
さっきぶりだなぁ…」
「「た…タスケテクレ…」」
そこには、ぼこぼこになった昇と剛がおり、その二人の襟首をニコニコとした顔で片手で掴んでいた杏奈の姿があった。
「…」
輝斗がその光景を見るとすぐさまバタンと扉を閉めようとすると、扉の隙間に杏奈の脚が入り止められた。
「ヒィッ…」
「私言ったよなぁ…何があってもお前らの仲間外れは止めろってなぁ…!」
そう言って陽子は空いてる右手で玄関の扉をつかむと、軽々と扉をこじあけた。
.
次話制作中(完成度80%)