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始まりはいつも唐突で…2p

暑い陽射しの中原付を運転している輝斗は帰路につきつつ、ある人物の家に寄ることにした。


運転をしているとやがて目的の人物の自宅にたどり着いた。


その家は二階建ての一軒家で、一般的な家庭を思わせる一戸建てだった、玄関の名字の欄には『金城きんじょう』の文字があった。


輝斗は原付を駐車場に止め、降りてヘルメットをはずしそそくさと玄関に向かいインターフォンを押した。


すると、一分もかからずに返事が帰ってきた



『はいはーい、どなた様ですかー?』


その気の抜けた声から輝斗は声の主に気づきつつ、礼儀を守って返答する。


つよし君の友人の旭川です、剛君は居ますか?」


そう答えるとすぐに玄関が開き女の子が出てきた。

その少女は、

軽い癖っ毛のある跳ねた黒い短髪に羊のヘヤピンを二本指し、小麦色の肌に白いワイシャツと極端に短いジーパンを履いた健康的なイメージをもつその少女は、タレ目の目玉を爛々と輝かせながら輝斗に肩からタックルをぶちかました。



「ふぐぅっ!??」


「ひさしぶりぃっ!てーるーにぃにぃ!」


「あ、相変わらず元気で何よりだよ陽子ようこちゃん…」


そう輝斗が言うとニヒッと笑う彼女、『金城きんじょう 陽子ようこ』は、この金城家の次女であり、小学5年の元気な少女である。


「で、剛は?」


結構タックルが堪えたのか、顔色悪く腹部を押さえながら輝斗は陽子に聞く。


「んー、つよしにぃにぃなら上にいると思うよ?」


そう言いながら陽子は輝斗の手を引きながら家の中に招いた。


家の中に入るとクーラーはつけてないのかひんやりとした風は無かったが、風通しがいいのか暑苦しさを感じさせるほどのものではなかった。

輝斗は家に上がりつつお邪魔しますと言うと、陽子はそんな改まらなくてもいいのにーと言って、どんどん家の中に進める。


ふと、輝斗が家を見渡して少し違和感を感じ取った。


「あれ、月子つきこさんは?」


「つーきーねぇねぇは大学のお話し合いでお出かけって言ってたよ?」


「へー…」



輝斗が話した月子という女性は、金城家の長女であり

幾度かに渡り、輝斗や昇を助けてくれた人物で、かなり頭の回る大学院生である。


そんな彼女が大学の話し合いに行ったのだから、また凄い発見でもしたのだろうかと思う輝斗だったが、そんなこともいざ知らず、陽子は二階へ続く階段を手を引っ張りながらそそくさと昇る。



やがて二階につき、恐らく目的の人物が居るのであろう部屋の前にたどり着いた。


陽子が寒波いれずドアを叩き中に入ると、中からムワッとする空気が漏れる。



「つよしにぃにぃ!てーるーにぃにぃがきたよ?」



そう言う少女の視線の先には汗だくになりながら、ダンベルを交互に持ち上げる髪は角刈り、服はタンクトップに短パンの筋骨隆々の巨漢がそこにはいた。


「おう輝斗かどうした?」



そう、独特な低音で喋る彼の名前は『金城きんじょう つよし』、部活はラグビー部の主将をやっていて合宿から帰ってきたらしいが、彼の性格上怠けるのが嫌なのか筋トレをしていたらしい。


そんな彼は部活の仲間や友達から堅物のような彼を『金剛こんごう』と呼んでいる。


「あぁ金剛、また昇の母さんの課題がきたんだ、手伝ってくれないか?」


「いいぞ。」


「即答かよ。」


「いや、俺も暇だし、何よりお前らから手伝ってくれと言われて断れるほど俺は弱くないんでな。」


そう言うと剛はダンベルを片付け、立ち上がった。


「そんじゃあ準備始めるから先いっててくれ、すぐにお前の家に向かう。」



「あぁ、頼む。」



そう言って輝斗がきびすを返すと、陽子が目の前に立ちはだかった。

そのタレ目の目を爛々と輝かせ、両手を広げて進行を妨げようとしているのだ。



「えーっと…通してもらえるかな?」



「だめっ!」


これもまた即答で、強い意思をもっていた。


「まさかまたついていきたいの?」


「うんっ!!」



そう言う彼女の顔は満面の笑みで、外にある真夏の太陽よりも眩しかった、流石のこれには輝斗もたじたじで、断る言葉が見つからなくなり、仕方なく剛にその助けを視線で送った。



「はぁ…輝斗が困ってるだろ…

それにまた危ない目に遭うかもしれないんだ、つれていけるわけ無いだろ?」



「でも前は自分がいたからみんな助かったじゃん!!」



「うん、一理ある。」



「輝斗!?」



さっきまでの態度とは裏腹に、輝斗も納得の一言だった。



「でもね、陽子ちゃん…

それでも陽子ちゃんが連れていきたくても、陽子ちゃんに何かあったら俺は陽子ちゃんのお父さんやお母さんに会わせる顔が無いんだ…

だから…ね?」



「…わかった。」



ふてくされたようにそう答える彼女は、顔を伏せながらその部屋を去っていった。



「さて、じゃあ俺は家に帰って準備するかな。」



「おう、すまんな輝斗…」



「いや、いいよ。俺たちも昔はあんなだったろ?」



「まぁ、そうだな…」



そう言って剛は風呂へ向かうのか自分の部屋のタンスから着替えを取り出した。


「んじゃ、俺もういくわ。」



「ああ、三十分後には着くようにするぞ。」



二人が会話を終えると、輝斗は剛の家を出るために玄関に向かった。


ふと、陽子のことを思いだしせめて帰ることを伝えようと、一回を見渡し辺りを確認するが居らず、二階の彼女の部屋へ向かい扉を叩く、が…



「…反応なしか…」



輝斗は陽子がいじけてると考え、一言『陽子ちゃん俺帰るねー』とだけいい、家を後にした。




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