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【6】カルアと果実酒

投稿しながら思う。「ぇ?コイツまだ転生して一日目!?」

・・・展開遅くてすみません。そろそろ翌日にしたい。

次はがんばります。


後、いただいた感想を元に今までの話を改稿してみました。改めたっていうよりは付け足した?

大筋は変わってません。けど今までの内容読み直しちゃるかってな奇特な方がいらっしゃったら、ちょっち読んでいただけたらなぁとか思います。いや、お願いしますです、はい。


でわでわ読了よろしくでございます。

 仕事完了の報告の時に、またララさんから熱烈な視線を受けました。そして、私はにっこり大人の対応をしました。

 キュアンも視線をくれるが嬉しくない。なにせ何か棘々しい視線ですので。できたらそっちは熱い視線の方がいいなぁ。はぁ。


 兎に角初めての仕事を終え、報酬は全部キュアンに渡した。

 確かギルド登録料金は銀貨5枚、宿屋の代金は三泊で一人銀貨1枚。今回の報酬は銅貨3枚なのでまだ借金は銀貨5枚分以上あるし仕方ない。

 因みに銅貨10枚で銀貨1枚分の価値があるんだって。

 今回の報酬を自分の小遣いに持っておけという、キュアンの提案は辞退した。あると使っちゃいそうだし、借金などさっさと返済したいのが人情ってもんでしょ。

 ・・・っていうのは建前で、単に価値のよくわからない金管理が面倒臭いのもある。実際は年下のキュアンに頼りっぱなしな私。今放り出されたら生きていけないかもしれない。・・・あはっ。




「何頼むんだ?」

「お兄ちゃんのオススメってある?」

「そーだなぁ・・・」


 現在は夕食を摂る為にキュアンと宿屋『太った猫』亭の近くにある酒場に来ている。 その酒場の名前は『アッチョンブリケツ』。・・・ギリでパクリじゃないかな。しかも最後に『ツ』を入れた事により下ネタの方へ傾いてしまっている。この酒場は崖の上に立っている訳でも、黒服のモグリ医師が居る訳でもないし、この名前にする意味が分からない。

 外見は木造一軒家。内装はギルドの酒場的受付をもっと簡素にした造りで、アチコチに樽がそのまま置かれているのが違うトコかな。ギルドと違って収納する部屋がないのかもしれない。まーどうでもいいか。


「このタル鳥の香草焼きなんかオススメだな。噛むと肉汁が出てうまいぞ。」

「じゃあそれ。後、ジュースとサラダとかあると嬉しい。」

「何だー?やっぱおこちゃまだなぁ。酒は飲まんのか?」

「・・・甘いのがあるなら飲む。」

「じゃあ果実酒だな。俺はこの穀物酒にするか。おーい、オーダー頼む!」


 この世界には年齢による飲酒制限とか無いみたい。まぁ、私は元々大人だからいいけどさ。ってことにしとこう、うん。こっちの世界のお酒にちょっと興味あるし。


「はーい、お待たせしましたぁ。あらら、こりゃまた美形な兄弟ですねー。観光ですか?」


 やって来たのはポニーテールに纏めた真っ赤な髪が印象的な、こりゃまた美人なおねいさん。・・・何ですか。この世界には美人さんしかおらんのかい。


「いや、ギルド申請したばかりの新人冒険者だ。このタル鳥の香草焼きと、オアティス風サラダ、それから・・・」


 おねいさんの世間話をあっさり躱してキュアンがオーダーを始める。何か安心してる私よ、ちょっとは慎み持とうゼ。


「はいはーい、以上ですね!かしこまりましたー!」


 そんなキュアンに対して気を悪くした風もなく、おねいさんは元気良く注文票を持って酒場の奥のカウンターへ戻って行った。


「初仕事はどうだった?」

「んー、疲れた。慣れたらそうでもないんだろーね。お兄ちゃんなんかあっさり仕事終えて剣磨いてたし。薬草の知識が欲しいから受けたけど、明日は別の仕事にチャレンジしてみたいな。」

「まー、確かにな。しかしお前は薬草要らずだし、そんな知識要らんのじゃないか?」

「そんな事ないよ。もし魔力が切れたときの為に必要だと思うし。」

「おいおい、法術師の場合、身体に宿ってるのは法力だぞ?お前の師匠はそんな基礎的な事も教えてくれなかったのか?」


 ほぐっ!マジですかっ!じゃあ二つ使える私はどうなってんの?

 ・・・冒険のワクワク感なんて言ってられないか。寝る前に『世界マップ』の魔術と法術の基礎知識のトコだけでも読んどこう。


「あー、別にそこを噛み砕く必要無かったし・・・。故郷には魔術師いなかったから。」

「成程な。じゃあ魔術については空っきし何も知らないのか。」

「・・・うーん、会った事はないね。」


 微妙な返答しかできない。

 『無』系統については少し知ってるし、使えちゃうし。


「おぃ、もしかしてアンタ等『嘘つき法術師』じゃねーか?」

「は?・・・あー、カルアさんですか。先程振りです。」

「ん?名前名乗ってたか?まぁいいか。」


 失礼な声掛けをしてきたのは、初仕事前にギルドで突っ掛ってきた人。そう、ギルドパーティ『ゴッドブレス』のリーダ、カルア・ヴィータスさんだった。


「何の用ですか?その中傷を甘んじて受けるとは言いましたけど、不快なのに変わりはありませんが。」

「おー、そうか。だがお前がちゃんとした法術師だって分かるまでは呼び方を変える気はねぇよ。」

「あっそう。」


 いちいち腹立つなぁ。何でこの人いちいち突っ掛ってくんの。初仕事前にこっちの意思は伝えたけど、納得してくれてないのがありありと分かるよ。もうこんなカルアにゃ敬語使うの止めじゃいっ!


「で、だ。・・・ちょっとお前等に受けて欲しい依頼があんだよ。『ゴッドブレス』を含めた複数のパーティと共同戦線してくんねぇか?」

「はぁ?」

「断る。」


 面倒臭そうに返す私と、にべも無く断るキュアン。そんな私達にちょっと鼻白んだが、カルアは話を続けた。しかも私達のテーブル席に座りやがった。居つくなっ!


「まぁ、そー言うな。お前の法術師としての実力が役立つ仕事なんだぜ?」


 このオッサン、どーしても私が法術師であるかを自分の目で確認したいようだ。オブラートに包んだりせずにガンガン押してくるので丸わかりだ。さては隠し事のできない『ガンガンいこうぜ!』なお人だなっ!?


「って事は討伐系の仕事だろ?こいつはまだ討伐仕事の経験が無い。他を当たってくれ。」

「他を当たれって言うが、ギルド所属の他の法術師は他国にいんだぜ?そりゃ無理ってもんだろーが。」

「・・・一体どんな仕事だよ。」

「お兄ちゃんっ!?」


 おいおいキュアン、裏切る気ですかぁ~!?


「シャル、一応仕事内容聞くだけでも経験になると思うぞ。んで内容を聞いたうえでちゃんと断らないと、この人テコでも動かないだろ。せっかくの食事時間だってのに、こんなオッサンが居たんじゃ寛げない。」

「・・・同感。」

「お前等なぁ・・・。」

「お待たせしました~!」


 キュアンの意見に納得した時、赤毛のおねいさんが飲み物を運んできてくれた。おー!これが果実酒。何か薄い赤色は柘榴酒か苺酒みたいだ。

 乾杯するかな?と思ってキュアンを見るけど既に半分以上飲み干している。

 ・・・乾杯の習慣はないのかぁ。

 ちょっと残念に思いながら、私も果実酒を一口飲んでみる。

 元の世界のよりも甘くてジュースみたいなので飲みやすい。カロリーを気にしていない作りだからかな?しかし、アルコール度数は結構高めだ。飲んだ途端、すきっ腹な胃の奥がカーッと熱くなる。


「おいおい、コイツの酒じゃねぇか。子供に飲ませるなよ。」

「ん?俺の故郷じゃ13歳から既に飲んでるぞ。」

「体の造りがしっかりしてねぇ内は飲ますなって言うだろーが。ほら、俺によこしな。・・・うぇ、甘ぇ。」


 ちょっ!酷い!

 このオッサン私の果実酒盗ったー!

 しかも飲みやがったー!


「人の酒を取るなよ。」

「そーだよオッサン!代わりにジュース奢ってよ!」

「・・・わかったよ。おーい、ダリア!何かジュース頼む!」

「はーい!」


 本当はいい事してるんだけど、一方的に攻められるカルアさん。そーだね、一応私も15歳だし、身体の事考えてお酒は止めておくか。味見はできたし満足だし。


「じゃあ、仕事の話すっぞ。」

「はーい。」

「ああ。」


 何か場の雰囲気が和んでしまっている。カルアのオッサンも法術師に対して何故か意固地になってしまってるだけで、いい人みたいだし。ちゃんと仕事の話は聞いてあげよう。とか、現金な私はコロコロ意見を変えながらそんな事を思った。


「明日の早朝から明後日にかけての仕事だ。このクロロフィルンに向けて疾走して来ているグールの群れを退治するってのが内容だ。」

「はぁっ!?」

「おいっ、声落とせ!他に聞かれたらヤベェだろーが。町の混乱を回避する為に極秘任務なんだからよ。」

「あ、ああ・・・。」


 ・・・何か大変そーな仕事らしい。

 仕事内容を聞いたキュアンの顔色が一気に変わってたし。


「本来なら国の総力を上げて討伐を行うのが筋だろ?ムーア国の騎士共は何してるんだ?」

「そのグールの群れの原因たる魔族の討伐に当たっててそれ処じゃねぇんだよ。そこで撃ち漏らしたグールは俺達の方で何とかするしかねぇ。こんな時の冒険者ギルドだしな。」

「・・・そーか。」

「魔族に効果があるのはやはり攻撃系法術だ。もし攻撃系が使えなくとも治癒要員がいるだけで、戦意も上がるし戦闘が遙かに楽になる。」


 法術にも攻撃系あんのっ!?初耳ですが!?

 ・・・確かに法術習得だけ嫌にポイント消費激しかったし、そんな裏があったとわ。

 うむむむ~、後で『世界マップ』を絶対確認しよ。


「この仕事が失敗すりゃクロロフィルンの町が危ねぇ。引き受けてくんねぇか?」

「わかった。・・・シャル、いいか?もしお前が駄目でも俺は引き受けたい。」

「僕も受けたいと思ったから大丈夫。」

「そっか。だが無理はするな。後方で支援してくれるだけで十分だからな。」


 そーいう訳にはいかない。

 このチート法術が役立つなら精一杯使うよ。


「ありがてぇ。ホント急で申し訳ねぇな。もし受けて貰えなかったら、情報が漏れないように明後日までギルドで監禁しなけりゃいけないトコだったぜ。」

「「・・・・・・。」」

「明日の早朝4時にクロロフィルン北門に集合だ。ギルドを通してないから、お前等には俺から報酬を渡す。じゃあ頼んだぜ。」


 そう言ってニヤリと笑った後、カルアのオッサンは私達のテーブルにジュース代金であろう小金を置いて去って行った。食事すらしないなんて、まさか私達に仕事の話する為だけに来たのかなぁ?

 ・・・ただの『ガンガンいこうぜ!』なオッサンじゃなかったらしい。


 忘れた頃にジュースと料理が運ばれてきて、そのいい匂いに意識と空腹を思い出した私達は微妙な面持ちで料理に手を付けた。


 あっ、タル鳥の香草焼きマジうめぇ!噛めば噛むほどに肉汁がっ!


「・・・シャル、誰も取らないから落ち着いて食べろよ。」

「わひゃっひゃ!」

「飲み込んでから返事しろ。」

「(もぐもぐ、ごっくん)わかった!」

「それでいい。」


 ピロリーン☆

 キュアンに兄もしくはオカン属性発見致しました。


「ご注文のジュースでーす!知ってるかな?弟君。このジュースはねぇ~・・・」


 いつの間にか赤毛の給仕のおねいさんが運んで来たジュースの説明をし始めた。しかも、私とキュアンを兄弟と勘違いしている様子だ。

 ・・・まぁこの現状そうなるか。

 えー、まぁ、変に大人びてるよりはいんじゃない?


 ___運ばれてきたジュースはピニョコジュースといって、原料のピニョコという果実をもぎ取るときに「アッチョンブリケツ」と鳴くとかいう話。この酒場のお子様メニューとして有名なんだって。


 ・・・結構美味しかった。

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