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【5】初仕事

文字数多いので読みにくくないでしょうか?

取り敢えず切のいいトコまで進めてるので文字数はマチマチですけんども。うーん、まぁいっか。

でわでわ、内容の読了お願いします。

 ・・・はぁ、こんな輩ってのはどこにでも居るのねー。今の私は攻撃魔法が使えない立場なんだし、揉め事持ち込まないで欲しいんだけどなぁ。マッチョは大人しくマッチョ同士で筋肉について語り合っていればいいと思うの。偏見で申し訳ないけど。

 きっといいマッチョさんも居るんだろうけど、今私にちょっかいを掛けてくるスキンヘッドは確実に悪いマッチョの方だろうなーとか思う。


「おぃ、何とか言ったらどうだ?『嘘つき法術師』さんよぉ。」

「いい加減にしろ。」


 見兼ねたキュアンが助け舟を出してくれた。

 でも欲を言えばもう少し早く助けてくれぃ。こういう荒っぽい架空のクレーム対応には慣れてないのよ。危うくもう少しで切れそうになるとこだったよぅ。


「ああん?てめぇにゃ関係ないだろーが。保護者ならそいつの嘘を撤回させろよ。有りもしない嘘にギルド内が騒がしくてしょうがねぇんだよ。」

「・・・つまりおっさんは僕が本当に法術を使えるか知りたいんですね?」

「シャル、そんなの放っておけ。」

「だってこの人わざと僕にちょっかいかけて、周りの疑問の解消役を買って出てるみたいだし。」

「むぅ!?」

「・・・そうなのか?」


 さっきステータス画面見たらそーでした。

 これはいいマッチョに換算されるのだろうか。もう少し平和的解決手段を取ってくれてもいいとは思うんだけどなぁ。



*************************

カルア・ヴィータス(40)人族♂大剣士


ギルドパーティ『ゴッドブレス』のリーダー。荒っぽい

外見の割に計算高く、仲間の被害を最小限に抑える戦い

方を好む。その為自分が切り込み役になる事が多い。

ギルド内に不穏な空気をまき散らす『法術師』の解明に

一役買って出る。

*************************



 不穏な空気をまき散らす、とか結構失礼な説明だなコレ。

 しかしカルアとか・・・結構カワイイ名前っすね。


「・・・まぁそういうこった。お前、本当に『法術師』なのか?」


 さっきまでの高圧的な物言いを引込めて、リーダーと言われりゃ頷ける口調でカルアさんは言った。


「今ここで法術を使えばいいんですか?」

「そーしてくれると有り難いな。」

「でも、条件があります。」

「何だ?」


 たりめーですことよっ!前もってこれだけは言っておかないと、ますます迷惑な輩が来るに決まってる。私だけならまだいいけど、キュアンにまで迷惑かかるじゃない。


「僕をパーティに勧誘するのは止めて下さいね。既に一人来られて迷惑しましたので。」

「成程な・・・。だがソロのままの有能な奴を自分のパーティに誘うのは仕方無いことだろ?」

「じゃあ僕は『嘘つき法術師』のままで結構です。」

「む・・・う。だがそれじゃあギルドの空気は悪いままだ。どーしてくれんだよ。」

「そんなの僕の知ったこっちゃ有りません。」

「何だとっ!?」

「僕が『法術師』であるか否かは自ずと分かる筈です。実力主義のギルドを生き抜いてきたあなたなら分かるでしょ?『ゴッドブレス』のリーダーさん。」

「・・・知ってたのか。」


 ここまで言えば上位実力者はほぼ、私がちゃんと法術が使える事が理解できた筈だ。

 でも勧誘の方は抑えられないだろーなぁ。あーもー、こんな不快な事に関わらにゃいかんとわ。その内キュアンに愛想尽かされそうだよー。


「お兄ちゃん、行こ。」

「・・・証明しなくていいのか?」

「お兄ちゃんが言ったんだよ。『名乗った職業で実力を発揮できなければ消えるだけだからな』って。だから僕の実力は知るべき人だけ知っていればいいよ。」

「・・・そっか、・・・そーだよな。知ってる人だけ知ってくれてりゃそれでいいよな。よっし、じゃあウキク草の採取に行くか。」

「やっと初仕事だ。ワクワクするなー。」

「ちょっとは緊張感持てよ、お前なぁ。」


 なんだか自分に言い聞かせるようなキュアンの物言いが気になったけど、やっと初仕事が出来るという期待の前に直ぐに霧散した。




「この依頼を受けたいのですが。」

「あっ、はいっ!」


 おっふぉ!

 相手はギルド登録の時の眼鏡美人のおねいさんだった。

 キュアンがまた呆れ顔でこっちを見ている。

 ええ、窓口三つあるのにわざわざロクに確認もせずにこの窓口を選んですみませんねぇー。迂闊でしたとも。


「ウキク草の依頼ですね。そちらの方との共同作業登録で構いませんか?報酬配分は二等されますが。」

「いや、それって重複可能依頼だろ?それぞれで受けるって事にしてくれ。」

「かしこまりました。・・・はい、では仕事を登録致しますので腕輪をこちらの魔具にかざして下さい。」


 おねいさんがカウンター横を指して言った。そこにはワニが凸凹した水晶の甲羅を背負ったような像があった。

 ・・・見た事あるなこの像。ってか地竜ゴリオガ、リュイそのものだ。


「あの、これってもしかして。」

「ああ、気付かれましたか?この近くの『始まりの樹海』に住む地竜の姿を模している魔具なんですよ。その樹海の『始まり』という言葉に準えて、初級冒険者用に特化したギルドをこの町に設立したそうです。地竜は始まりの源である母なる大地の象徴ですからね。」


 中々饒舌に語ってくれるおねいさん。うわー、やっぱりリュイなんだ。リュイはこの事知ってるのかな?携帯があったら写メ撮って見せてあげられるのになー。やっぱ早めに擬人化術の構築研究してみたいなぁ。


「そうなんですね、教えて頂けてよかったです。」

「あ、いえ・・・。その、あのですね。」

「はい?」

「私は貴方が法術師である事は疑ってませんから。ですから、頑張って下さい。」


 えーいこうなりゃヤケクソじゃい!

 恋心の有無は置いとくとして純粋に心配してくれてるおねいさんに悪いし、ここはちょっと大人的対応をしとくか。

 ってな事を考えて、私はにっこり笑ってお礼を言った。


「ありがとうございます。励みになります。」


 そんな私を見つめる真っ赤に頬を染めたおねいさんは、若干噛みながら話す。


「わ、私はララ・シフォーヌです。シャルロードさんの事応援してます。」

「ララさんですか。可愛い名前ですね。」


 ほら、サ○リオの双子キャラのピンクの髪の女の子の方の名前だよ。

 受付のおねいさんはピンクの髪ではないけど、薄茶の長い髪を後ろでまとめてて、細い銀縁フレームが良く似合っている誰が見ても知的美人さんだ。そんな美人パーツの頬をピンクに染めてララさんはまた噛んだ。


「そ、そんな事は・・・」

「応援してくれるなんて本当にありがとうございます。じゃあ、登録終わりましたのでさっそく頑張ってきますね。」

「はいっ!いってらっしゃいませ。シャルロードさん!」


 その必死さは女の私からみてもまぁ可愛いけど、何か恋的症状悪化してるような。

 あれ?私何か間違えた?


 ・・・痛い。視線が痛いっすキュアンさん。

 ミルルちゃんと同じように、今度はララさんの視線も私の背中を抉ってくる。


___人の視線って恐いよぅ。


 そういえば、登録終わったら目が光るリュイを模した魔具もちょっと怖かった。あれ、本人に見せたらショックちゃうかな?・・・擬人化術は現状が落ち着くまで暫くお預けするか。



 ギルドを出た後にキュアンが言った。


「お前、やっぱりナンパが・・・」


 えーいっ!違うと言うておろうがっ!!


***


 キュアンと私はクロロフィルンの町から十数分程歩いた森の中に居た。

 今度は『樹海』じゃないの。ちゃんと『森』なのですよ。


「ここがウキク草が採れる場所?」

「そーだ。まぁ『始まりの樹海』の方がたくさん生えてるだろーが、ちょっと距離があるからな。」


 まぁ、ワープで行けば一瞬だけど。『無』系統魔法使えるのまだナイショだから仕方ないか。


「で、ウキク草ってどれ?」

「・・・ホントはギルドの受付で説明して貰う予定だったんだが、どっかの誰かさんがいきなりナンパを始め」

「はいはいはいはい、ごめんなすって!」


 ちゃんと否定したのに!そのネタいつまで引っ張るの!?

 私は少々ふて腐れて返事をする。


「いいじゃんかさー。僕はお兄ちゃんから説明受ける方がいいし。」

「お前な・・・誰彼構わずそんなセリフ吐くの止めろよ。いつか盛大に勘違いした奴に襲われたくなけりゃな。」


 ははは~、男に転生した私がそう簡単に襲われる訳ないじゃーん☆しかもチート付きですことよ?心配性なお兄ちゃんだなぁ。


「ふーん?でも、お兄ちゃんに教わる方がいいのはホントだよ。ってか日が沈んじゃうから早く教えて。」

「・・・はぁ、仕方ないな。」


 全然理解していない私に呆れた様子なキュアンは、近くの茂みを掻き分けると私を手招きして呼んだ。


「このギザギザした葉と柔らかめの感触、独特の匂いが特徴だ。根っこから引き抜かないように注意しろよ?生えなくなっちまうからな。規定枚数集めたら一旦俺のとこに集合しろ。たいした魔物は出ないが無害そうに見える動物にも無暗に近づくな。後、成るべく俺が見えなくなるトコまで行くな。」

「ラジャー!」

「・・・ホントに理解してるか?」

「ダイジョブ!」

「・・・はぁ、不安だ。」


 何か失敬な事を言っているキュアンを無視して私はウキク草の特徴を頭に叩き込む。

 しかしキュアンはホントに色んな事知ってるなぁ。ギルドに入ってた事あるのかな?何か重複可能依頼だっけ?そんなのも知ってたみたいだし。

 そして過保護な節がある。

 私自身年の割には敢えて幼い様な喋り方をしているけど、それにしたってちょっと心配性だ。元々世話焼きなのかな?


 暫く必死になってウキク草を集めてたけど、正直疲れた。草むしりしてるみたいな感じだ。腰痛い。

 キュアンの方を見ると、もう規定枚数集め終わったのか、のんびり剣を磨いている。くっそぅ。こうなりゃ例のアレでいきますぜっ、旦那っ!

 ちなみに旦那なんてどこにもいない。ちょっとした気分的な脳内声掛けだ。


____必殺、どこでも~『地図』!


 ほっほう、ウキク草ちゃんたらそんなトコに隠れてたんですな。

 丸見えでやんす!ゲヘヘヘ。


 そうしてあっと言う間に規定枚数集め終わった私であった。

 ちょっと痛い人全開だったけども。



「案外早く終わったな。よしよし、どれもちゃんとウキク草だな。」

「どんなもんだいっ!」

「はいはいエライなぁ~。」


 とか言って頭を撫でてくるキュアン。

 ・・・いやいや、コレ真剣に照れますが。

 またまた急に大人しくなった私に気付いたキュアンが撫で撫でを止めた。


「あー、何かすまんな。」

「・・・いや、結構嬉しかったりするんで、別にいい・・・です。」

「そ、そっか。」


 うっきょ~~~!まだ乙女私が残存しているのかっ!もうホンマ勘弁して下さい。羞恥で死んでしまう。はずかしぬ!!

 ここは多分「何子ども扱いしてんだ」と怒るのが正解なような気がするよぅ。なぜにその選択肢を選べないんだ私っ!こんな事ではBL覇道の道は険しいぞっ!?


「じゃ、じゃあ後はこのウキク草を持ってギルドに報告したら終わりだな。」

「はーい。」


 何とか羞恥地獄から立ち直った私は、殊更明るく振る舞うのだった。

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