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【3】法術師と宮廷近衛騎士

ふっふっふ。四部目ですよ。

登場人物も徐々に増えてくる予定です。

もし十話目までいったら一旦、人物紹介こさえてみましょうかね。

自分の出来の悪い頭の為にも、一度整理してみたいなと思います。

でわでわ、読了ヨロシクお願いします!

「・・・お前、ギルドにナンパしに来たのか?」

「な訳ないでしょーが。本気で読めないし、書けないから困り果てて頼んだだけだし。」

「ふーん?」


 信用していないというような返事を寄越してくるキュアン。


 何故か真っ赤な受付嬢・・・とはもう言わんさ。キュアンの言葉通りに受け取ると、どうも私は意図せず美人受付嬢にアプローチを掛けてしまっていたようで。まぁ、以前の世界と同様な醜美意識な世界だという事が確認できただけでも儲けものよ。

 マジで安心しました。これで私のBL覇道の懸念がひとつ減ったわ。


 取りあえずそうして引っかけた受付嬢に協力してもらって、何とかギルド登録を終えた私の腕には細めの銀色のバングルが嵌っていた。キュアンの腕にも同様のバングルが嵌っている。身分証明だからてっきりカードタイプかと思っていたら違ったようだ。そーいえば確かに『書』とは言ってなかったねー。

 因みにギルド登録料は必要で、もちろん借金という形でキュアンに出して貰いました。しかしながら、この世界に来て初めて特別なアイテムを手に入れた私の心はホクホクしていた。


 うふふ~、キュアンとお揃い。

 そんな私の眼に酒を飲む冒険者マッチョさんが映る。その腕にも銀色のバングルが。

 ごふっ!・・・マッチョさんともお揃い。

 はは、ギルド登録してんだから当然か・・・。


「さて、これからどうする?先に安い宿を予約しに行くのは確定事項として、早速ギルドの依頼を受けてみるか?」

「僕は初めてでよく分からないから、その辺はお兄ちゃんに任せるよ。」

「・・・その呼び方続行してたんだな。」

「お兄ちゃんがいいって言ったんだけど?」

「はいはい。じゃあ、取りあえず宿に行ってから考えるか。」

「はーい。」



 ギルドを出て市街地の方へ向かう。近づくに連れて人の通りが徐々に多くなってきた。あちこちに木と布で作られた簡易テントが並べられ、色んな物を売っている。うっかりすると色々目移りしてキュアンと逸れそうになった。


「待って、お兄ちゃん!」

「こら、あんまりキョロキョロすんな。人が多いんだから直ぐに逸れるぞ。・・・って、オイ。」

「これだと大丈夫でしょ。」


 私の手はキュアンの若葉色のマントの裾を掴んでいた。

 キュアンは元騎士という身分は隠してただの剣士を名乗っている。その割には鎧ひとつも身に付けておらず、割かし質や趣味のいい軽装だった。剣の大きさからして、多分スピードアタッカーなんだと思う。


「それだと布地が変な形に伸びるだろうが。」

「布ひとつでケチ臭い事言わないでよ。」

「お前なぁ・・・。ホラ、こっちの方が逸れそうになったら俺にも分かって確実だ。」


 そう言ってキュアンはマントを握っていた私の手を取って、繋ぎましたとさ。



 どっしえええぇぇぇ~~~~!



 これは考えなくはなかったけど、けんども。まだ不可能だろうと思っていたのにっ!

 まさかと思うけどお兄ちゃん呼びでちょっと親近感が湧いたとか?


 ふっふっふっ、狙い通りだゼっ!


 ・・・ウソウソ、意図してませんでした。ホントに。

 現に私の方が参ってます。心臓バックバクやて。変に手汗かいてなきゃいんだけど。


「何だ?急に静かになったな。もしかして手を繋ぐのはまずかったか?」

「そんな事ないよっ!」

「そ、そうか?」

「うん、その・・・寧ろ嬉しいし。」

「・・・そっか。」


 やばい、今の返事気持ち悪がられてないかな。思わず素で返した私、結構乙女だよ。まだそんな部分が残ってやがったのか、チッ。

 ああぁぁぁ~~!年下に何とも恥ずかしい醜態。

 穴があったら入りたいっ!


 キュアンも私の言葉を受けて黙り込んでしまったので、猶更居た堪れない。何か現状を打破するきっかけはないものか。カモンッ!現状打破イベント!



「あのぉ・・・。」

「・・・何でしょうか。」


 細い路地裏に入った途端、突如私達に声を掛けてきた人が居た。それに答えたのはキュアンだ。

 現状打破イベントだね、OK!

 例え声の持ち主がやっぱり美人な女の人でも、今回は許しましょうとも。


「そちらの子、法術師なんですよね?」

「それをどこで聞きました?」


 えぇっ!?私の事についてですか?何故に!?まだ目立つ事なんもしてませんけど。

 彼女の言葉を受けて、キュアンが警戒する様に語気を強めた。そういえば、路地裏に入った途端に声掛けてくるとか怪しさ全開だよね・・・。キュアンとの手繋ぎにてそれ処じゃ無かった自分、反省。


「行き成りすみません。私はメアリー・マグリアと申します。」

「・・・はぁ。」

「えっと、先程ギルドで登録されたようですけど、もうその噂で持ちきりですよ?『ギルド創立以来歴代13人目の法術師が入った』って。」

「で、その法術師に何の用ですか?」


 えっ?何っ?まさか法術師ってギルドじゃそんなに稀人な訳!?ギルドが創立されて何年目かは知らないけど、どうしたって歴代13人目って少な過ぎでしょ!?


「もし、冷やかしでなければ私達のパーティに入って頂きたいのです。」

「冷やかし?」


 そちらのパーティに入ると冷やかした覚えは一度もないけんども、一体どういう意味でしょうか。

 訳が分からないという風の私にキュアンが補足してくれる。


「お前が法術師ってギルド登録したのは見栄を張った嘘なんじゃないかって疑ってるって事だ。」

「あー、成程。まぁ別にそれでもいいけど。っていうか嘘の職業でも登録できるの?」

「職業なんて、本人がそう名乗ればそういう事になるって事さ。」

「ふーん、自称でもイケるんだね。」

「名乗った職業で実力を発揮できなければ消えるだけだからな。」


 ギルドはやっぱり実力主義社会みたい。

 チート転生したんで望むところだけどね。


「その口振りからすると本当のようですね。」

「いえ、ちょっと見栄を張った冷やかしです。」

「私達のパーティメンバーになってくれませんか?」


 私の言葉を聞いてないよ、このおねいさん。


「ねぇ、お兄ちゃん。どっかのパーティに入った方がいいの?」

「まぁ初心者には願ってもない事だろうな。」

「お兄ちゃんが入るなら入るよ?」

「あのなー。そんくらい自分で決めろ。」

「だってお兄ちゃんが居ないのは嫌だよ。」


 せっかく仲良くなったのにキュアンと離れるのは嫌だよ。

 しかも美形男子の傍を離れて美人女性の方へ行くとか、BL覇道を目指す者としちゃあ絶対的に有り得ない選択だ。


「・・・俺はずっとソロで活動するつもりだ。お前の事は地竜の縁で一人立ちするまでは面倒見てやるつもりで一緒してただけだし、借金の事は気にしなくてもいいぞ。」

「それはヤダッ!・・・メアリーさん、そちらのパーティ加入の誘いはお断りします。僕はこの人と一緒がいいので。」

「お、い・・・、お前・・・」


 キュアンが驚いたように口を挟んでくるけど、目の前のおねいさんは空かさず言葉を重ねた。


「分かりました。ではその男性を口説き落とせば問題ないのですね?」

「「はぁっ!?」」


 私とキュアンはもろ被りの台詞を放った。思わずまだ繋いでいた手が離れてしまった。・・・ちょっと残念のような安心のような複雑な心境ですな。

 見た目は細目で柔和な印象を与える、黒髪褐色の胸の大きな男性のロマン溢れる女性剣士だというのに、その言葉は中々掴めない。

 しかもキュアンを口説き落とすだってぇ!?

 冗談じゃないっ!


「止めて下さい。もうお断りした筈です。」

「私達には貴方の力がどうしても必要です。」

「本当に法術が使えるのか、どの程度使えるのかも分からないのにですか?」

「それを聞いたら答えてくれるのですか?」


 やられたっ!まんまと誘いに乗ってしまたよぅ。中々に口がうまいおねいさんだ。

 同時にメアリーという人物にちょっと興味が湧いたので、失礼だけど彼女のステータス画面を展開してみる。



*************************

メアリー・マグリア(32)人族♀宮廷近衛騎士


ギルドパーティ『守護の刃』のリーダーは仮の姿で、

本当はムーア国女王近衛騎士の一人。呪い病に臥せって

いる姫の治療手段を探す為にギルドメンバーとして情報

収集を行っている。

*************************



 ・・・あっ、そーなのね。お姫様の為って訳か。

 地図によるとムーア国ってこのクロロフィルンの町がある国だ。

 私の中の彼女への敵意が一気にしぼんだ。


「・・・もし、あなたの知り合いが怪我か病に臥せっているのなら治すお手伝いはします。ギルドパーティにならずとも、そちらの事情を話して頂ければそれくらいは手を貸しますよ。」

「っ!?・・・おっしゃる意味を測り兼ねます。私達のパーティは誰一人欠けておらず、健在です。」

「でしたら猶更僕の必要性は無いですよね?失礼します。行こう、お兄ちゃん。」

「あ、ああ・・・。」


 ほっほっほ。ちょいと卑怯だけど一矢報いたよん。ちゃんと事情を話してくれるんなら直ぐにでも治療しに行ったのになぁ。でもお姫様可哀想だし、今後機会を見てこっちから「最近どぉ?何かあればロハでもいいから治療してやろーか?」的なアプローチを掛けてみるか。

 ・・・言っとくけど、ナンパじゃないよ?

 繰り返すが、私が目指すのはBL展開なのでね。


「待ってっ!待って、下さい・・・。」


 キュアンの袖を引っ張ってその場を離れようとする私に、メアリーさんの呼び止めが掛かった。その悲痛とも言える声音に思わず足を止める。


「何でしょうか?」


 今度答えたのは勿論私。


「・・・確かに私の知り合いに臥せっている者がいます。もう大分衰弱されていて、後ひと月以内にはその命を落とすでしょう。」

「「!?」」


 キュアンも私も驚いた。特に事情が呑み込めていない彼は行き成りの展開な筈だし。 しかし、余命ひと月以内って事は大分事態は深刻みたい。


「では、僕に詳しい事情を話して治療を依頼されるのですか?」

「・・・けれど私には確証が持てません。コーシルティル皇国のグライド教の長に内密で治癒の依頼をしましたが、彼の手にすら余るものだったのです。それを貴方に癒す事ができるのですか?」

「なんだってっ!?」


 驚きの声を上げたのはキュアンだ。そーいやキュアン自身が元コーシルティル皇国の騎士様だっけ。その様子からしてって言うか、長っていう時点でハイクラスの法術を扱える筈だ。そんな人にも治せなかったモノを、法術をよく知りもしない単なるチート能力者の私が治せるかなんてそんな事は分からんよ。


「可能性に掛けないのですか?」

「っ!!」

「貴方の口振りからして臥せっている人は大分身分の高い人なんでしょうね。情報の漏洩を恐れて僅かな可能性を捨てると仰るなら僕はそれに従いますよ。どの道、貴方が連れて行ってくれないと治療すらできませんし。」

「・・・・・・三日、待って下さい。上に報告してから貴方に正式に依頼したいと思います。」

「分かりました。お兄ちゃん、僕らの泊まる宿ってどこ?」

「へっ!?・・・ああ、向こうの通りの『太った猫』亭だ。」


 何ですかそのおもろい名前っ!深刻な話してるのに、行くのが今から楽しみになっちゃうんですけど。


「分かりました。後程『太った猫』亭へ向かわせて頂きます。」


 ・・・シュールだ。

 真剣な顔して『太った猫』を普通に会話に組み込んでますけど、この人達。


 私は奥歯を噛みしめて必死に笑いを堪えた。

ちょっち余裕があるので、次回は早めに更新します。その後は通常操業しますね~(´ω`)ノ

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