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【25】神族と魔族はやっぱり仲が悪い?

久々にちゃんと更新できました。

しかしながら急いで打ったのでおかしい所があったら教えて頂けると助かります。


でわでわ読了お願いします☆(´ω`)

 お昼前という時間帯の所為か、商店街や大通りに並ぶ露店は大賑わいだった。

 あちらこちらで威勢のいい呼び込みが行われている。


「まぁ準備と言っても携帯食の購入くらいか。薬草類はあまり使っていないから、消耗はしていないしな。」


 現在、キュアンとミーちゃんと一緒に風魔術師のカチュアおねい様から依頼された『地竜に会いに行く』という依頼の為の準備買い出しに来ている。といってもキュアンがテキパキと色々買い進めているので私とミーちゃんにする事はない。

 とある食料品店でキュアンがお店の人に干し肉と乾パンらしき物を注文している横で、私はカラフルなお菓子に見入っていた。どうやら色をつけた砂糖菓子のようだ。お菓子自体は中身が見えない小さな紙袋に小分けされているので、その前の台の小さな籠に少しずつ、見本用のお菓子が入った籠が並べられている。


「なんだ?欲しいのか?」


 店員に料金を支払って買った物を受け取ったキュアンが訪ねてくる。

 私は遠慮勝ちに頷いた。・・・借金している身ですので。


「いいぞ。砂糖菓子は保存食にもなるからな。」

「ホント!?ありがと!」


 何だか店員さんに微笑ましそうな表情をされてしまった。いいさ、どうーせ見た目は兄弟らしいし。私はキュアンに買ってもらったお菓子を受け取ってホクホクだ。久々に甘い物が食べられる喜びに浸る。しかし、直ぐに食べてはいけない。キュアンが『保存食』のワードを出してきたのでコレは依頼中に食する事にした。即行で食べて冷たい視線を投げかけられたくはない。


 が、我慢だシャルロードっ!!


 手に持った小さな紙袋を凝視しながら、私は口の中に沸き立つ唾液を頑張って飲み込んだ。・・・___ゴキュリッ。



「興味深い物が沢山あるのである。これは何なのだ?」

「えーと・・・。お兄ちゃん、何か分かる?」


 何だか良く分からない黒い粒についてミーちゃんに聞かれたが、答えられる訳が無い。なので当然の如くキュアンに振った。


「それは解毒作用のある薬だ。」

「人族には『法術』があるのであろう?そんな物が必要なのであるのか?」

「・・・『法術』を遣えるのは人族のほんの一握りだ。大概のヤツは使えない。」

「ふぅむ。ならば『法術』を行使できる人物を各国に分散させて、戦闘時もしくは重鎮の治療時のみ使用しているという訳なのだな。」

「シャルが法術を使った時の事を当てはめて推測してるんだろーが、違う。法術師だけの集まりがあり、周囲から金を巻き上げて使うのが『法術』だ。・・・シャルを一般の法術師の基準として考えない方がいい。」


 ・・・何だか酷い言われようである。キュアンの法術師像はかなり悪そうだ。

 だけど日本人的に『一般的』に当てはまらないというのは些か居心地が悪い。依頼通りに法術を使ってたんだけど、どこがいけなかったんだろ?確かに冒険者ギルド所属でパーティに加入しないで依頼は受けてるけど、依頼料もちゃんと貰ってるし。


「僕って何かおかしい事した?」

「いや、おかしくはない。おかしくは無いが・・・。」


「シャル殿自体がおかしいという事であるのだな。」


 言い淀んだキュアンに続けて、ミーちゃんが『理解した』という風な明るい表情で心を鋭く抉る言葉をお吐きになられた。その言葉に撃沈した私は力なく返事をする。


「・・・・・・そう。」


 そいつぁー、簡単にゃ治せねぇわ。

 根本的な所の矯正が必要ですね、ハハハ。


「待て待てっ!俺はそうは思ってないぞ!?」

「違うのであるか?」


 焦る美形元騎士ときょとんとした表情の美形魔族。萌えるわぁ~。

 ・・・心を抉られたけど。


「部分的には・・・いや、言葉のアヤだ、悲しそうな顔をするなシャル。」

「ダイジョブ、自分でもなんとなくは分かってるから・・・。」

「そ、そうか?」


 ___結局フォローは無しのようですね、キュアン様。




***




 そして昼食を摂る為に再び宿屋『太った猫』亭に戻って来た。


「お帰りなさいっ!シャルロードさん!!」

「ミルルちゃんただいまー。」

「「・・・。」」


 宿のカウンターで受け付けをしていたのは、看板娘のミルルちゃんだった。こげ茶色のツインテールを揺らして元気よく迎え入れてくれた。


 クドイようだが補足を入れておこう。

 この私がフルカスタマイズした『異常』な美形であるシャルロード少年に一目惚れしてしまった哀れな少女だ。なのでお帰りなさいの言葉に若干力が入っているのも、共に帰って来た他の美形二人を無視してしまっている声掛けなのも仕方ない事なのだ。恋は盲目。未だにシャルロードのアホさ加減に気が付いてはいない。

 ・・・BLに関係の無いこの件に関しては、ただただ『鈍感系』を貫く所存です。


「今日はここの食堂で昼食を摂らせて頂きますね。」

「ほ、本当ですかっ!?」

「え?あっ、はい。今日のランチはもう大丈夫ですか?」


 彼女の目の輝きに気圧されてどもってしまった。


「もちろんですっ!食堂のお席に掛けて待ってて下さい!腕によりをかけて作っちゃいますからっ!!」

「あ、ありがとうございます・・・。」

「おかーさんっ!まだお肉あったよね!?シャルロードさんがっ・・・」


 ミルルちゃんは直ぐ様身を翻してカウンター後ろにある作業室へと姿を消した。奥の方から「おやミルル、受付は?」「そんなのしてる場合じゃないよ!」とか、色丸聞こえだ。

 ・・・私が17歳の時ってあんなに純粋だったっけ?___『否』。彼女が特別純粋なのだという事にしておこう。擦れて育っていないのは親の教育の賜物でしょうね。


「・・・食堂行くか。」

「うん。」

「そうであるな。」


 取り残された私達はとりあえず、宿の一階ラウンジに隣接されている食堂へと足を運んだ。



 食堂は昼より早い時間とはいえ、お爺ちゃんやお婆さん、お姉さん、そして子供連れの奥様で賑わっていた。人気はあるみたいだ。内装はカフェみたいで、円形のテーブルに一人掛けのソファみたいな大き目な椅子が三脚ずつ置かれている。ゆったり長居ができそうな空間だ。流石、女性向け。

 そんな女性率の高い所でこんな美形共が入ってくればラウンジでの話し合いの時と同じく、視線が集まるのは仕方ないね。・・・居心地は悪いケド。

 残念ながら、私には視線を浴びて喜べる気質は皆無のようだ。新しく目覚めたりもしない様子だ。『影』に、いやいや『腐』に生きる者としてはやはり当然かな?


「んなぁ~。」

「あ、ザザさん。」

[『ザザ』でいいっつっただろ?]


 食堂のテーブル席に腰を落ち着けてメニューを見てもらっている(字が読めないので)と、白いモッフモフな神猫のザザ氏が近づいて来た。無意識にそのモッフモフゥな毛皮を撫でようと伸びる手を叱咤して引き戻す。


[まぁ、無事でよかったな。一応これでも心配して後をつけたりしたんだぜ?]

「えっ!?そうなの?」


 ・・・なら、ワッチョに襲われた時に助けてくれてもよかったような。あっ、でも神に分類されるとはいえ、できる事に限界があるのかも。取りあえず見た目はポッチャリしてるとはいえただの猫だし。他力本願な自分、反省。


[だが情け無ぇ話、途中で強力な結界に阻まれてな。見失っちまった。ああいう向こうから仕掛けてあるややこしい術は苦手なんだよな。すまねぇ。]

「んーん、心配してくれてありがとう。忠告聞かなかったのは僕だし、あの後ちゃんと助けて貰ったし。・・・こってり絞られたけど。」

[ははは。兄ちゃん怒ると恐そうだもんなぁ~。]


 恐い処では無かったヨ。


 そしてなぜか予定外にキュアンと『契約』してしまってるんだけど。

 ___そういえば、キュアンとの『契約』内容ってなんだろ?ミーちゃんには最初嘘つかれてたけど、結局は『魔力の譲渡』だっけ?それで落ち着いたみたいだし。まぁ、まずは『契約印』ってのを確かめてから、おいおい聞いてみよーっと。


 そんな事を考えていると、ザザ氏が膝の上へ飛び乗って来た。

 ___グフッ!重っ・・・くは無い。ちゃんと体重が掛からないように乗っかる時は直接膝へ脚を乗せるというのは避けてくれたようだ。膝の上に丸まってからも重くはない。神猫の能力なのかな?やっぱり優しいですなぁ、ザザ氏ってば。しかし、いくら食堂の椅子がゆったり目だとはいえポッチャリデブーンなザザ氏には窮屈そうだ。


 ・・・膝に乗ったって事はいいよね?『OK』サインだよね?


 私は遠慮なくザザ氏をナデナデした。

 ザザ氏もゴロゴロ喉を鳴らしているので顔が緩む。癒し系だ。


 こ、これならイケるんじゃね?前回果たせなかった野望、『毛皮に顔を埋める』とか、容易くイケるんじゃね?グフフフフ・・・。


「シャル殿、その者は何であるか?」


 私が再度、その真っ白な毛皮にいつ顔を埋めようかと真剣にタイミングを測っていると、ミーちゃんが何だか険しい表情でザザ氏を凝視しながら聞いてきた。


 だ、ダメだよミーちゃん!できたらミーちゃんにはキュアンとくっついて欲しい!!

・・・なんてねー。いやいや、本気でマズイのか?そういえば、ザザ氏は『神猫』で、ミーちゃんは『魔族』だ。種族間で仲が悪い可能性が高い。


「えっと、この宿の名前の由来になった猫さんだよ。名前は『ザザ』っていうんだ。」

「そうでは無く。その者は『神族』であろう?何故人里に、尚且つシャル殿の膝の上を陣取っているのであるか?」


 ___誤魔化す意味は無かったようです。即行で核心突いてこられました。


「何だって!?」


 ミーちゃんの様子を訝しげに見ていたキュアンが驚きの声を上げた。以前話を聞いた感じだと、彼にとってザザ氏は今も昔も宿に居る『ただの猫』だったからだろう。


「キュアン殿は『法術』の使い手であろう?何故今まで気づかなかったのであるか。」

「ぐっ・・・。シャル、本当なのか?」

「へっ?えっと・・・。」


 私は行き成りの展開にどうしたらいいか分からない。取りあえずザザ氏に視線を移すと、彼は・・・・・・・・・寝ていた。それも気落ち良さそうに。その毛皮に顔を埋めるなら今がチャンスだが、当然そんな状況では無い。トホホイである。


「う、うん。『神猫』に分類される珍しい種族みたいだよ。」


 もう知らねぇ。どうしようもないのでバラします。

 肝心な時に寝てたザザ氏が悪い、という事で。


「シャルは始めから気付いていたのか?」

「一応・・・。残念だけど僕は魔力の気配も法力の気配も分かんないから。でも『念通話』が使えたから、それで知っただけだよ。」

「何で直ぐに言わないんだ。」

「あっ、うっ、・・・実は、もしかしたら動物って全て喋れるのかもしれないとか思ってたから、そんなに特殊な事だとは知らなくて・・・。」

「『神猫』だと発覚した時点で既におかしいとは思わないのであるか?」

「うぅっ・・・。そ、そうだよね。ごめんなさい。」


 なんだコレ。いつぞやの問い詰められパターンか。

 ミーちゃんまでちょっと怒った雰囲気なので、ちょっと泣きそうだ。


「・・・すまない、シャル殿。しかし『神族』は本来人族をからかうのが好きなだけの脳筋一族であるのだ。あまり関わらない方が身の為であるぞ?」

「脳筋・・・。」


 この世界にもそんな単語があったのか。これは驚きだ。


「そうなのか?何かイメージが違うが。」


 確かにミーちゃんの話の『神族』は、どちらかと言うと『魔族』のイメージっぽいような気がする。あーでも、ザザ氏が細かい術は苦手みたいな事言ってたなぁ。ってコトはマジで?


 その後もキュアンとミーちゃんは情報交換をしていたので私は横で聞いていた。


 えっと、ミーちゃん曰く、『神族』とは


 一、脳筋

 二、人をからかって遊ぶのが趣味

 三、まとまりが無く、一か所に留まることなく世界をフラフラしている

 四、ついでに協調性も無く、気まぐれ

 五、『竜種』は『神族』の一部だが、比較的まとも


 後は何だか小難しい注釈や知らない地方の話とか出てきたので、私が理解できる範疇をまとめるとこんな感じだ。ってか、やっぱり仲悪いんだなぁ・・・。

 そんな感じでまだ続く話をまだ寝ているザザ氏をナデナデしながらボンヤリ聞いていると・・・


「お待たせしましたっ!」


 ミルルちゃんが料理を運んできてくれた。

 見た目は豚肉の生姜焼き定食みたいだ。焼いた肉の匂いが食欲をそそる。

 ・・・アレ?そういえば、まだ注文してないんだけど。


「男性の方は肉料理が好きと聞いたので、特別に準備しました。今後もよろしくお願いします!」

「あ、ありがとう。」


 なんとランチは無料でした。

 味もまぁまぁで、ミルルちゃんに感謝ですな。

 「まぁ元々贔屓にする予定だったしな。」

 と言うキュアンに対して、ミーちゃんは渋い顔をしていた。


 因みにザザ氏はその後直ぐに目を覚まして

「俺も飯にすっか。じゃあな☆」

 と、どこかへ去ってしまった。


 ・・・猫だし、気まぐれではあるのかもしれない。


 『竜種』は比較的まともって事だけど、地竜ゴリオガ・・・リュイがそうだよね?会った時に『神族』と『魔族』についてちょっと聞いてみようかなぁ。

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