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【22】超絶プリチィな生き物

徐々に腐っていないと読むのがアレな展開になってきました。

R指定入れるかも考え初めてます。

 シャルロードです。

 最近話について行けてない、転生者です。

 取りあえず、キュアンとミーちゃんのBL関係の進展を見守るという自分のノルマは達成できているものの、少し物悲しい気分とです。

 シャルロードです、シャルロードです、シャルロードです。




「我はもう次期、死ぬであろう。」


 ミーちゃん本人の口から放たれた一言に、私は言葉が出なかった。ブルリと身体を震わせたのは、夜風が冷たかったからだけじゃない。そんな私を支える腕に軽く力が込められた。その腕の持ち主、キュアンが私を代弁するかのように問う。


「死ぬ?皇魔が?」

「先程述べた『最弱の次期』。それは皇魔種族が膨大な魔力を保てる器になる為の成長期の事なのである。残念ながら我はその負荷に耐える事ができぬのだ。だから、死ぬしかない。」

「それは生まれつきなのか?」

「そうではない。『最弱の次期』には通常休息を取れば徐々に回復する筈の魔力が全て成長の為に使われる故、魔力の補給ができぬのだ。その期間には親が子の魔力を補給しつつ、見守るのが本来。魔力は血の繋がり、もしくは契った者同士でしか譲渡ができぬからな。魔力が枯渇し、結果、死ぬのである。」

 

 なっ、魔力って無くなると死んじゃうんですか!?


「先代の魔王は何も手を打っていなかったのか?」

「父君とて自分の寿命を見極めて我を誕生させたが、予定外の事項があった為、寿命が縮み、敵わぬ事となった。」

「兄弟は?」

「魔力の補給量は膨大である。兄者達の生命の危険すら伴うであろう。しかも今は次期魔王選定期間中。そのような戯事につき合わせることなどできぬ。」


 戯事!?今、戯事って言った?何で?自分が死ぬかもしれない事なのに、何で戯事とか言っちゃうのさ!


「だから、シャルの魔力に目を付けたのか?」

「・・・少しでよいのだ。目的は後少しで成就される。その期間生き延びられる魔力を分けて頂きたい。」

「信用ならないな。皇魔の兄弟でも生命危機に追いやる程の魔力補給なんかを人族ができる訳ないだろーが。」

「・・・・・・・・・うむ、そうであるな。」


 少し間があったものの、ミーちゃんはキュアンの言葉をあっさり受け入れた。それにキュアンも引っかかりを覚えたのか、再度質問を投げかけた。


「いやにアッサリ認めたな。何を企んでいる?今から魔力を補給しようとしても俺が食い止めるられるぞ?」


 キュアンの言葉にミーちゃんは首を左右に振って答えた。


「いいや、もうそんな気は無いのである。説明すればする程、シャル殿に理不尽であると再認識したまでなのだ。・・・契約途中に割り入ってすまぬ。続けてくれ。」


「嫌だ。」


「シャル!?」

「シャル殿?」


「何で!?何でそうなるの?自分が死ぬ事が戯事なんて嫌だよ!」


 私だったらみっともなく足掻いて騒ぎ立てている。

 だって死ぬんだよ?暴力以上に怖い事なんじゃないの!?


「ミーちゃんに僕の魔力あげる。欲しくないとか言っても無理やりあげるからね!」

「シャル殿・・・。」

「僕はミーちゃんに生きてて欲しい。生きてて、欲しいよぉ~。」


 後半は涙声になってしまった。だって本気なんだから仕方ない。折角出会えたのに即行で死に別れなんて悲し過ぎる。私の魔力如きでミーちゃんが生きながらえる事ができるんなら是非とも使って下さい。


「だが、魔力補給を本当に節制できるのか?下手したらシャルの寿命が縮むかもしれんぞ!?」

「それには考えがあるのである。」


 ミーちゃんが神妙な面持ちで私の前に歩んで来て、前に膝まずいた。同時にキュアンの私を支えている腕に微妙に力が入ったのが分かって、辺りが緊張の糸を張りつめたようになった。


「そう構えずとも何もせぬ。___シャル殿。」

「は、ひゃい!」


 ミーちゃんに声を掛けられ、返事をしたが何故か声が裏返ってしまった。きっと、緊張した空気の所為でしょう、うん。


「我を受け入れてくれた事を嬉しく思う。重ねてすまぬが、我は今より一番魔力消費の少ない『獣型』を取ろうと思う。」

「『じゅうがた』?」

「獣の姿になる事である。人族と違って魔族の身体は魔素に起因する所が大体であるから、変身が可能なのだ。その姿で行動を必要最低限にすれば魔力の消費が抑えられる筈であろう。」

「なるほどー。」

「ついては、その『獣型』になった我をシャル殿が持ち運んで欲しいのだ。・・・少々醜い姿になってしまうが、布等で包んでおけば姿は見えぬから、紐で縛って首から釣るなどして心の臓に近い位置に下げていてくれまいか。」


 なんですかその虐待的な取扱い方法わっ!?


「ミーちゃんにそんな事するなんて嫌なんですけどっ!?」

「しかしそうでもせねば・・・ううむ、一見にしかず。見た方が早いのである。」


 ミーちゃんが目を閉じて、何か小声で喋ったと思ったらミーちゃんにボンヤリとしたノイズが走り、一気にそのノイズ事縮んでしまった。これにはビックリ仰天だ。そして、縮んだ影が地面の上に留まったのでそれをマジマジと見つめる。

 ・・・これって、まさか。


「どうであるか?」


 私の目の前で喋りかけてくるのは、ほっこりフワフワな毛とつぶらな金色の瞳が愛らしい小さなコウモリだった。

 月明かりに照らされた毛部分は紫紺色だ。この色はミーちゃんの髪の色だ。

 ___つまり


「・・・・・・ミーちゃん?」

「うむ。」


 なにこれえええぇぇぇぇ~~~~!

 超かわい過ぎるんですけどおおぉぉぉ~~~!?


「あ、あのあのミーちゃん。」

「むぅ、やはり布で巻くぐらいでは厳しいであるか?」

「そーじゃなくて、・・・だっこしてみてもいい?」

「っむ!?」

「あっ、やっぱダメだよね・・・。」

「い、いや、構わぬが。」

「やったぁ!でわ、失礼して。」


 私は逸る気持ちを抑えつつ、目の前の超絶プリチィな生き物に手を伸ばした。

 手のひらに乗ったミーちゃんの大きさは卵Mサイズくらいかな。手乗りコウモリ・・・私の手の上で戸惑ったようにもぞもぞ動く姿・・・マジでカワユ過ぎます!溢れんばかりの可愛さを振りまくミーちゃんに頬擦りしたくて溜まりませんがな。


「可愛過ぎる。頬擦りしたぃ・・・。」


 そして口から本音も溢れた。


「・・・・・・そうであった、シャル殿は変であったな。」


 ミーちゃん、酷いっす。


「後は吸魔可能な量を見極めたいのだが、・・・キュアン殿、構わぬか?」


 手の平の上でモショモショと動いて、そのつぶらな金色の瞳で私の真後ろに居るキュアンに視線を向けてミーちゃんが伺うように言った。

 ・・・ん?真後ろ?


___のあああぁぁぁぁっ!?


 お、お前ぇ、シャルロード!何故にキュアンの膝の上に居るんだべか!?

 しかも膝の上に座っている不安定な姿勢は、腰元に回されたキュアンの腕によって支えられている。

 さっきからキュアンの腕の力を感じる事が出来ていると思ったらこれかぁっ!!自分気付くの遅過ぎでしょおぉぉっ!?


 とか、自分を罵りつつも、ミーちゃんの問いかけに一向に返事が無いキュアンを不審に思った。

 ま、まさか私を乗せてるせいで足が痺れてきたとかでしょうか?

 様子を確認しようと首を後ろに捻った、その時。


「キュア・・・、っ、んむっ!?」


 間近にキュアンの顔。

 慌てて離れようとしたけど、後頭部に添えられた手の所為で叶わなかった。その手はさっきまで私の身体を支えてくれていた手だ。口にはぬるりとした感触。

 

「キュアン殿何をっ・・・」


 ミーちゃんの声が聞こえた瞬間手を捕られて、黒い物体が地面に落ちるのが視界の端を掠めた。捕られた手は痛い程に力が込められていた。さっきまで、ふんわりと支えてくれていた腕と同じ持ち主の筈なのに。

 ショックに固まっていると、キュアンの顔が離れた。さっきまで引っ付いていた口から呪文が放たれる。


『知られざる奇跡、望むは神聖なる檻』

「なっ!?」


 ___リイィン


 澄んだ音が聞こえたと思ったら、ミーちゃんが仄かに白い光を放つ籠の様なものに閉じ込められていた。当然コウモリ姿に合わせたミニマムサイズだ。


「キュアン!?」


 何故こんな事をするのかとか、・・・し、したのか、とか、色々な意味を込めて名前を呼んでみたけど、返事は無かった。代わりの様に、立ち上がるキュアンと共に手荒く抱えあげられる。

 立ち上がった後、キュアンは自分のマントを外して、地面に放り投げた。若葉色が地面に広がる。掴んだだけで怒られたぐらい、あんなにも大切にしてたっぽいのに・・・今の扱い方にはそんな様子は見られない。

 そして、私はその若葉色のマントの上にうつ伏せで降ろされた。


「うぎゅぅ!キュ、キュアン!?」


 顔が見えなくなった不安もあり、起き上がろうとしながらもう一度名前を呼んでみるけど、無言で押し戻された。その直後に纏っていたミーちゃんの上着を腰元まで引き下げられる。夜風に晒された背中にヒヤリとしたキュアンの手が添えられた。


 ___なんでっ!?どーしてっ!?


 私は悲鳴を上げることも無く、ただ、震えていた。急に齎されたキュアンの一連の行動が未だに信じられなかったからだ。


『知られざる奇跡、暗き鼓動、鳴動せよ。望むは___』


 また、呪文だろう言葉がキュアンから紡がれる。すると徐々に背中が熱くなり、痛みを伴う程になってきた。そして最終的に激烈な鋭痛へと変わった。


「ひっ、ううぅぅっ。」

「・・・い・・・シャル、許さない・・・。」

「はっ、うぐぅっ。」


 私のくぐもった悲鳴に混じってキュアンの呟きが聞こえた。

 『許さない』って言ってた。気付かない内にキュアンに何かしてしまったみたいだ。


 ___ごめんなさい、ごめんなさい。


 今日は何だかキュアンに謝ってばっかりだ。


 『_____。』


 キュアンが呪文を終えたみたいだ。痛みが少し和らいだ気がする。

 すると顎の下にキュアンの手が伸びてきてグイと顎先を持ち上げられた。

 く、苦しい・・・。

 体勢的に気分はオットセイだ。そして再度口に湿った感触がした。

 こうするんなら普通に仰向けでよくないだろーか?わざわざこの姿勢を取る理由があるのかもしれないけれど、オットセイ側はかなり苦しいです。




 そこで私の意識は完全にブラックアウトした。

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