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【21】弱点

更新遅くてすみません。

暫く隔週更新になります。


理由は『年末』だからとしか言いようがない。色々な事がアリマス。


それが終わったら思う存分打ちまくります。


でわでわ読了お願いします。

 夜風が身に染みる時間帯。

 場所は変わらずギルド所有の倉庫近くである。



「もう一回だ。」


「すみません。もうしません。二度とキュアン様の忠告を無視したりしません。」


 現在私はキュアンに絶賛謝罪中だ。

 

 先程こめかみを負傷した為痛む頭。しかしそれを我慢して、仁王立ちのキュアン様の前で土下座の如く座り込んで謝罪の真っ最中であります。

 キュアンは私の目の前で腕組みをして仁王立ちだ。最近このスタンスがこめかみグリグリ同様、定着しつつあるようだ。まぁ、自分の所為なんですけど。

 ミーちゃんは少し離れた場所で少し困ったように成り行きを見ている。私からすればこの情けない状況を見られている訳ですね。ハハハ。


 低姿勢を貫き、平謝りする私に、キュアンのお約束追加事項が放たれる。


「俺の言う事はちゃんと守るな?」

「はい、絶対です。」

「俺以外の奴にホイホイ着いて行くなよ?」

「はい、承知してます。」

「俺の傍を離れるなよ?」

「はい、分かっております。」

「俺と『契約』するな?」

「はい、勿論です。」

「よし、決定だな。」

「はい、そうでございます。・・・・・・・・・・・・んっ?」


 んーと、あれれ?今『契約』って聞こえたような?

 あー、気の所為だな。今は謝罪&お約束追加中だ。似たような返事をしなければらならない問いかけに別の内容を滑り込ませられてて、それにうっかり返事しちゃうなんてそんなお約束な展開がある訳が___


「また俺の言葉を無視した挙句、騙されてこんなものを付けてくるとはなぁ?」

「___うひゃっ!?」


 仁王立ちを止めて近づいて来たと思ったら、現在着ているミーちゃんの上着の合わせを勢いよく開かれた。犯人は勿論、土下座低姿勢の私の目の前に座り込んで、襟を掴んでいるキュアン様である。


 ひいぃぃ~!今、夜っ!寒いっっ!

 後、物凄い恥ずかしいっ!


 上半身に一気に寒さによる鳥肌が立ったが、顔面には一気に血が昇った。

 目の前の美形元騎士様はただ今我が胸元をガン見中である。まぁ当然そこには真っ平らな胸しかない訳だが、男体化したとはいえ男同士でも行き成り裸を晒されるとは如何なものか。まだ風呂場での裸の付き合いさえ致していないとゆーのに。


 何してくれてんだよ、キュアン。さみーでしょーが。


 この寒さに打ち震える心をキュアンに伝えるべく、私は口を開いた。


「寒い・・・でございマスデスよ、キュアン・・・様。」


 そして結局は、謝罪中なので強気に出る事もできず、目の前の相手におずおずと寒さを訴えてみた。しかしながら、元騎士様のガン見は相変わらずで、こちらの訴えはスルーされているようだ。

 胸元見てるなら見えるでしょ?このチキンスキンが!気付いて下さい!


「お前肌白・・・いや、自分の胸にあるもの、何だか分かっているよな。」


 胸にあるもの?転生前ですら元々乳は貧弱、イヤイヤ、現在男なので乳房自体が無ーざんすよ。うーん、乳首の事を言っている訳じゃなさそうだし、アレか?胸中に密かに燃え滾るBL覇道の野望が・・・


「取りあえず、自分の胸を見ろ。」


 まだ考えている途中だったが少し不機嫌そうに促されては仕方ないので、元騎士様に倣って自分の胸元に視線を移すと、そこには瘢痕化した痣のような色質で文様が描かれていた。

 こないなモノ、ここに来る前に入った風呂ではお目にかかっていない。


「・・・何コレ?」

「しかも理解すらしてないときた。」


 キュアン様はガン見を呆れ視線に変えて、溜息をおつきになられた。


「お前とミーチュンの『契約』の証だ。しかもわざわざ心の臓の真上を陣取りやがってるから、無理やり解除するのは困難を極める。どちらに命の危険が及ぶか見当がつかんからな。」


 ちょ、えっ?『契約』!?しかも私とミーちゃんの?

 いつ!?いつそんな事したっけぇ!?覚えが全く無い!

 いやいや元々その為に来たんだけんども、ワッチョとの嫌な思い出しか記憶が___


「・・・さて、と。」


___ズボッ


「うひょぇっ!?」


 今度は襟から背中側に手を突っ込まれた。

 背中は弱いんですよ、マジ勘弁して下さい!しかも、


「キュアン冷たいっ!手ぇ冷たいからっ!!」

「ああ、シャルの背中は暖かいな。子供体温か?」

「そぉじゃなぁーくーてえぇ~~!!」


 キュアンってばその齢で末端冷え性かっ!?

 ってか、冷たいんだから早く離して欲しい。私で暖を取るでないっ!


 先程言われた言葉の内容すらまだ完全に把握していないのに、混乱の上塗りの如く次々と襲い掛かる連続スキンシップ。相手がキュアンだから悍ましさま全くないが、この猛り狂う羞恥心はどうしてくれよう。シャイロードが今にも爆発してしまいそうだ。


 私の言葉を受け流し、キュアンは更に身を寄せてきた。元々襟から服の中に手を突っ込まれる程近かった距離が更に縮まり、私が驚きに固まっていると、今度はミーちゃんに何か言い始めた。


「ミーチュン、今から俺とシャルの『契約』を実行する為にお前の契約陣に干渉する。多少の余波は覚悟しておけよ。手加減はせんからな。」

「っ!?・・・一体どういう意味であるのだ?本来先に、しかも心の臓への契約が優遇されるであろう?いくら貴殿が・・・、いや、まさか・・・。」


 キュアンの言葉に傍観していたミーちゃんが驚愕する。

 『契約』に関する話みたいだが、私には内容がさっぱり掴めない。分かった所は『今から俺とシャルの契約を実行する』の部分だ。


 ・・・・・・・・・・・・っっっ!?!?!?


「けいやくぅっ!?」


 ご利用は計画的に、なんてCMを最後に見たのはいつだったか。


 分かった内容があまりにも突飛な内容だったので、私は思わず顔を顰めて叫んでしまった。それに、近くに居たキュアンが眉を潜めて反応する。てっきり『煩い』とか言われるかと思ったんだけど。


「・・・嫌なのか?」

「えっ?そ、そうじゃなくて、僕呑み込みが悪いから、今、理解が、とゆーか・・・」

「じゃあ俺との『契約』が嫌な訳じゃないんだな?」

「う、うん、そーです。」


 本当は全く持って呑み込めておらず、噛み砕いた詳しい説明が欲しい所だったが、キュアンの声音が悲しそうに聞こえて慌てて肯定の返事をしてしまった。っていうか、思わず見上げたらキュアンの顔が近過ぎる位置にあったせいもあるが。

 美形は少し離れて鑑賞するのが一番いい。こんなに近いと思考能力が完全にオーバーヒートする。既にしている。


「それなら理解した直後で悪いが、今から俺との『契約』を結ぶぞ。」

「は、はい、今から、ですか。」

「あまり間を置くとミーチュンが干渉防性を契約陣に組み込む恐れがあるからな。」


「待つのである。」


 キュアンが言っている内容がほとんど理解できていないが、今からキュアンと『契約』をするのは既に決定事項の様子だ。オーバーヒートした頭な私に残された選択肢は肯定の返事のみである。


 そんなキュアンを制止する低音美声が響いた。

 ミーちゃんだ。


「何だ?」

「その『契約』とは我の契約陣に干渉するとの事だが、契約内容の一部が作動不可になるという事であるのか?」

「その可能性は高いだろーな。」

「ならば、先に我の話を聞いて頂きたい。無論、シャル殿と何故『契約』をしなければならなかったのかの理由である。」


 えっ?理由ってーと、私が掛けてる法術が攻撃性を持たないように、だったよね?そっか、それが作動しないのはミーちゃんにとっては大変な事だ。


「貴殿が察している通り、我はシャル殿に理由を偽っている。」


 ___なんですとっ!?


 中々にショッキングな事実に、オーバーヒートした頭が冷却され始めた時。


「理由が何であろうと関係無い。」


 そう言いながら、キュアンは私の背に回した手を動かし始めた。


 ちょ、待っ、背中弱いって・・・


「聞いてはくれぬのか?」

「俺の『契約』が終わった後でどうとで」



「ひあうっ!!」



「「・・・・・・。」」


 辺りを静寂が包む。

 顔も火照りに包まれた。


「だ、だから、言った、のに・・・・・・。キュアンのばかぁ~・・・。」


 何だか二人でシリアスっぽい話をしている時に変な声をあげてしまい、私は羞恥で半泣きになりながら、言い訳の如くキュアンに恨み言を吐く。


「シャ、シャル?」

「せ、背中はダメ、なんだってばぁ~。後、わき腹と首も駄目なんだって、言ってるのに・・・。」

「や、聞いてないが。・・・ふぅん?」


___ついっ


「あぅっ!!」

「ああ、本当だな。」

「ななんななな。」


___ちょいっ


「ひぃあっ!!」

「ほほー、脇も駄目なのか。」


 キュアンはとても楽しげに私をくすぐり始めた。その度に変な声が上がる。それが嫌で彼の腕の中でもがくが、腕力で敵う筈も無く。


「や、止めっ!あっ・・・、ひ、人で、んひっ!人でっ遊ぶなああぁぁぁ~~~!!」


 とても楽しげなキュアンはレアだが、生憎、現在の私にそこで萌えられる程の余裕は全く無かった。




***




「まぁ、いいだろ。先に聞いておこうか。」


 先程とは違い、穏やかな雰囲気でキュアンが宣う。


 私はもがきながら変な声を上げまくり、羞恥とくすぐり攻撃との戦いで体力と精神力をすり減らした挙句の果て、キュアンの膝の上でぐったりとしていた。そんな状況、正気ならば叫んで逃走を図っていた所だ。


「う、うむ。」


 穏やかとはいえ、不遜な態度のキュアンにミーちゃんは気圧されている。が、流石ミーちゃん。直ぐに持ち直して話始めた。


「では『皇魔』の成長過程に在る、最弱の次期について話すのである。」

「・・・魔族最強の種族にそんな事があるのか?」

「何者も初めから最強という訳にはいかぬであろう?今は強いかもしれぬが、誰にでも弱い時期というものは必ず在るのである。」

「・・・・・・。」

「最強へ成長する為にその最弱の次期が在るという事であるな。そして、当然その時期は我にも在る。しかもこれから、である。」


 ミーちゃんは瞳を伏せ、言った。



「我はもう次期、死ぬであろう。」

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