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【16】姫様の呪い病

ちゃんとちゃんとの予約更新。


今回は姫様のターン!

でわ読了お願いします。

 おっとぉ、姫言っちゃったよ。大丈夫なの?


「早くしないと死んでしまわれますっ!お願いしますっ!」

「わ、わかりましたからっ!えっと、どうやって城まで行くんですか?」

「ば、馬車・・・それじゃ遅過ぎます。疾走魔法で・・・それでも1日は掛かるっ!」


 既に混乱の域に達しているメアリーさん。

 ムーア国のお姫様の容体は非常に危険な様だ。


___仕方ない。人の命には代えられないか。


「メアリーさん。お姫様の名前は?」

「?い、今はそんな事を言っている場合ではっ!」

「いーから。」

「・・・サラ・ディー・ブームラン・ムーア様です。」


 皿DEブーメランっ!?

 な、何て恐ろしい子・・・っ!


「シャル?一体何をする気だ?」


___はっ!


 キュアンの一言で、一先ず正常とは言い難いがいつもの私の思考へ戻る。なんだかんだ言って流されやすい私。メアリーさんの焦りっぷりに飲まれていたようだ。多分。


 例の如く『地図』と『慧眼』を展開して、皿姫の安否を確認する。

 ・・・状態は呪詛による『危篤』。取りあえずまだ亡くなってはいない。私の能力なら間に合いそうだ。

 ムーア国のお城まで一瞬で移動できる術が、私にはある。


「キュアン、大変な時で悪いけど、僕の秘密をひとつ明かすよ。」

「・・・何だ?」


「僕は特殊な移動術が使えるんだ。それで今からお姫様を助けに行く。」

「わかった。」


 へっ?即答でしたが、・・・何か他に意見は無し?


「人の命が掛かっているからこその判断だろう?その術は俺達も運べるのか?」

「う、うん。・・・皆、今からお姫様の部屋に転移するよ。準備はいい?」

「そんな事が可能なのですかっ!?」

「ふむ、お主であれば不思議ではなかろう。我はいつでもよいぞ。」

「俺も構わん。」


 メアリーさん以外の二人、キュアンとミーちゃんは落ち着き払ったものだ。寧ろメアリーさんに少し申し訳ない。

 私は彼女の脳内整理を促すように声を掛ける。


「お姫様はまだ死んでない。でも一刻の猶予も無い。」

「は、はい、その通りです。」

「解呪しに僕達だけで行っても不審者として捕まるだけです。身元を保証してくれるメアリーさんの準備がまだなら待ちます。急いで下さい。」


 状況をようやく噛み砕けたメアリーさんは、しっかりとした面持ちで頷いた。


「申し訳ありませんでした。私もいつでも構いません。」

「わかりました。・・・では行きますっ!」


 メアリーさんの返事を受けて、すぐさまムーア国城の皿姫の名前がある部屋へ転移先座標を設定する。

 いきなり四人ものワープだけど、なるようになるでしょ。


___『ワープ』!



***



「・・・まさしく一瞬だったな。術移動だよな?気持ち悪くなったりしないのがいい。」

「た、確かに姫様の部屋ですね。・・・夢の様です。」

「ふーむ、事が終わった後にでも術の展開図式を教授願いたいものだ。」


 これ、結構集中力要るなぁ。人数と距離、知らない場所のせいだろーか。残りの魔力と法力には余裕あるのに、少し休んだとはいえほぼ一晩中起きてたせいか体力と集中力の方が摩耗してきている。体力に至っては元々少ないし。


「何者っ!?一体どこから!」

「ナージャ、落ち着いて。私です。」

「っ!メアリー様っ!!ひ、姫様がっ!」

「分かっています。姫様の『呪い病』を治せる方をお連れした・・・とは言い難いですが、来ていただきました。案内を。」

「は、はいっ!こちらでございますっ!!」


 ナージャと呼ばれたメイドさんは、看病の為かやつれた様子で奥の部屋へ私達を案内した。私達が男であるとか、そういう部分は既に頭に入って来ないみたいだ。まぁ、そんな事でゴチャゴチャ言われるよには大分いいけど。


「ナージャっ!?その者達はっ!?ここにはっ・・・」

「女王様っ!メアリー様の言っていた姫様を救って頂ける方達でございます!」

「!?メアリーは昨日に城を出たばかりじゃ!その様な事、本来有り得ぬぞ!真か!?」


 こちらもやつれた様子で目元を赤くしている女性がいた。女王様って呼ばれてるから、どうやら皿姫のお母さんのようだ。


「現にメアリー様もそちらの部屋におられますっ!」

「・・・そなた達、本当に我が子を、サラを救ってくれるのか?」

「信じて頂けるのなら、全力を尽くします。」

「わかった。わらわは隣でメアリーに話を聞いておる。頼む。どうかサラを助けてたもれ。」


 女王様は深々と頭を下げてきた。

 どうにか威厳を保とうとしている様子だが、足元がおぼついていない。ちゃんと寝ていないのかも。くだらない仕返しなんかせずに、早くメアリーさんの話聞いてあげときゃよかったのかなぁ。

 私の中で罪悪感が擡げた。


 女王様が去った部屋で、ナージャさんに皿姫が眠る大きなベッドの前へ案内された。


「お願いしますっ!どうかお願いしますっ!姫様っ、姫様をどうかっ!」

「わかりました。」


 やつれた女王様と必死なナージャさんに心を打たれつつ、私は目の前に生気なく横たわる少女に思考を向けた。年の頃は15,6歳だろうか?

 医療現場で長年働いた私には分かった。死へ向かう人特有の『死臭』がする。こんな小さな子を『呪い』なんかで殺そうとするなんて、決して許されるべき行いじゃない。


___『慧眼』、『解呪』法術を構築、展開。


「・・・キュアン、紙とペン、ある?」

「どうした?」

「今から羅列する名前を書き留めて欲しい。姫に呪いを掛けた人の名前だから。」

「っ!わかった。」


 その言葉を聞いて、祈るように手を組んでいたナージャさんが部屋の隅の机から慌てて紙と羽ペン、インクボトルを持ってきてくれた。


「どうも。」


 キュアンがお礼を言って受け取るのを視界の端に留め、私は『慧眼』で得た名前を挙げていく。


 確かに、呪いなんぞ掛ける方が悪い。『呪い返し』がいくのは当然で必然だろう。でも私は嫌だ。人が死ぬのが嫌だなんて聖人染みた事じゃない。私が人を殺しちゃうのが嫌だ。この世界では実に甘っちょろい考えかもしれないが、いずれどうしようもなくなって結局人を殺してしまうかもしれないが、それまでは、殺さずに、在りたい。


「・・・・・・・・・終わったよ。」


 呪いの数、なんと21個。

 この皿姫って何か恨まれるような事したの?

 皿ブーメランで人に怪我させ過ぎたとか?

 尋常じゃない呪いの数だったよ。


「ひ、姫様っ!顔色が良くなっています!こ、呼吸も落ち着いてっ・・・、よかった。はっ!?女王様っ!女王様に知らせなくてはっ!!」


 私の言葉を受けて、皿姫の容体を確認したナージャさんが一気に歓喜していた。そしてバタバタと荒い足音を立てて隣の部屋へと走っていく。


「シャルっ、大丈夫かっ!?」

「うーん、流石に疲れた・・・。」

「それはそうであろう。なぜ、『呪い返し』を抑えたのだ?それさえしなければ、貴殿であればもっと楽に『解呪』できたのではないか?」

「しかも残りひとつの『呪い返し』が抑えられない強力なヤツを、なにか特殊な法術で抑え込んでる。」


___ぎょえっ!?


「な、何でバレてんの!?」


 この美形二人、コワいっ!!


「・・・俺も法術が使える身だからな。お前程強力じゃないが。」

「我は元々闇に属する者。闇の呪術の流れくらい読めるとも。」

「そ、そーですか。」


 私はチート転生してるから分かるけど、この二人をこの世界の一般人として考えない方がいいのかもしれない。今更だけどさ。


「お兄ちゃん、法術使えたんだね。」

「キュアンでいいぞ。さっきまでそう呼んでただろーが。」

「そ、それは・・・焦ってた、からで・・・っ。」


 きゃー!そう言えばそうでしたっ!

 ずっとお兄ちゃん呼びしてたせいか、いざそんな事を言われると躊躇ってしまう。

 あー、どんどんキューちゃん呼びの野望実現が遠のいて行く・・・。

 これが自爆ってヤツか。


「いや、自立するまではお兄ちゃん、で・・・。」

「ふーん?まぁ強制はせんが、法術の腕だけを見れば左程時間は掛からなそうだな。」


 『だけ』ってのが何か引っ掛かるが。


 しかし、キュアンが法術師ってのには納得はいく。法術を行使したら直ぐにキュアンにはバレていたからだ。『魔法剣士』が存在するんだから『法術剣士』なるものがいても、おかしくはないだろう。

 ステータス画面をもっと詳しく展開していれば直ぐに気付けたかもだけど、プライバシーを配慮して、基礎の説明画面か強さを数値化した画面しか展開しないようにしているので、実は私も知らなかった。まぁ得られる情報量が多すぎてメンドイのもあるけど。そっちの理由の方が大半を占めている訳ですが。

 しかし、年の割には思考能力、知識の量、剣の腕前だけでも凄いのに、加えて稀少な法術が使えるとは・・・なんつーハイスペックBL要員なのか。


 キャー、キュアン様ステキ!

 さては私の口元を更に緩めまくる気ですな!?

 常に涎が溢れ出てしまうではないかっ!


「・・・う、ん・・・。」


 おや、皿姫が目を覚ましそうだ。煩くし過ぎたかな?

 ・・・心の中だけでだったけども。


 さっきまでそんな余裕は無かったが、よくよく観察してみれば、皿姫はかなり可愛らしい容姿をしている。ホワホワと柔らかそうな若草色をした髪に、長く床に臥せっていたせいで頬がこけてしまってはいるが、それでもそこまで衰えをみせない可愛らしさが皿姫にはあった。外見からは皿DEブーメランとは思えない。


 そーいや、『解呪』はしたけど体力系統は治癒してあげてないな。気怠い身体を叱咤して、私は皿姫へ法術を行使した。


「おいっ、シャル!?あまり無茶するなっ!さっきからお前、連続で術使ってるだろーが。いい加減倒れるぞっ!?」

「我も同感だ。前日の疲れも抜けておらぬであろう?魔族でもそこまで連続して術を使う事は有り得ぬ。まず保たぬ。」

「ま、まぁ、寝れば何とかなるよ。」


 そんな美形二人の心配は有り難いが、魔力・法力ならまだ余裕がある。『慧眼』を並行展開した連続『解呪』と、姫様へ掛けた常時呪い抵抗型法術の開発の為に集中力を維持しなければならなかったので、精神と身体が疲弊しているくらいだ。

 あっ、確かにそれもヤバいのか。

 ・・・早くフカフカのベッドで休みたいなぁ。


 流石に肉を増やす事はできないのでこけた頬のままだが程なく皿姫が目を覚ました。


「・・・ここは?」

「貴方の部屋ですよ。」

「?・・・あなたは、誰?」

「僕はシャルロード・キアと申します。貴方のご病気を直しに来た者です。」

「あっ、そうだわ。私、悪魔に追われてっ・・・。でも、今は悪魔の気配がしない。・・・あなたが追い払ってくれたの?えと、キア、様。」

「結果的には。けれど貴方のお母様とメアリーさん、ナージャさんの尽力があってこそ、でしょうね。僕はお手伝いしただけです。」


 まだ若干状況が呑み込めていない皿姫に合わせて、言葉を選びながら返事をする。しかし、私の言葉を反芻した彼女は突然泣き出してしまった。


 ええぇっ!?カチュアさんの時といい、なんか私、女泣かせなキャラになってない? そんなのにゃなりたく無いってのに!


「ひっく、私、助かったのね?うっく、もう、悪魔に怯えないでも大丈夫なのね?私、私っ・・・!」

「皿姫はもう大丈夫。また悪魔が来たら、僕が追い払ってあげるからね?」


 泣いた子をあやすように、皿姫の頭を撫でる。皿姫は更に涙を流しながら、私の胸元に顔を埋めて、静かにしゃくり上げながら泣いた。

 こういう時くらい大声で泣いてもいいと思うけど、王族の矜持が働くのだろうか?

その背中をポンポンと軽くたたいてあやしていると、慌ただしい音がして、部屋に女王様が入って来た。


「サラっ!・・・なっ、貴様、サラに何をしておるのじゃっ!?」


 えっ?何か不穏な展開っ!?

王女→女王

教えて頂きありがとうございます(´ω`)

・・・これは誤字じゃなく日本語デスねっ!

日本語できなくても妄想を表記し続ける所存ですので遠慮なく御指摘お願いします。

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