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【15】乙女の話よりもミーちゃんの意外な才能の方が

いやホントすいません。

最近いつもより余計に週末にシフト入りまくっております。


なので今更ですが書き溜めておくことにしました。

次回の更新は早いハズ。・・・たぶん。


えー、でわでわ読了お願いします。

 キュアンが私の間違いを指摘した所で、朝日が上り始めたのに気付く。

 広く開けた草原の奥に見える、山々の間から差す御来光が眩しい。


 本当に長い夜だった。


「ふむ。日の光をこの様に浴びても平気とは、貴殿の術は大したものだな。」

「魔族って、やっぱお日様苦手なの?」


 まさかバンパイアの様に焼け死んじゃうとかっ!?


「『皇魔』種族ならそれなりの抵抗力はあるが、陽を浴びている間は他の魔族ならばその実際の能力の3~5割は減少するであろう。・・・それよりも、そろそろ『金色の乙女』について聞きたいのだが、構わぬか?」

「ああ、分かったよ。」


 ミーちゃん(今更本当の名前で呼ぶのも何だし、ミーちゃんもそれでいいと言ってくれた。いい奴。)のお蔭で、人族ならば誰でも知っている筈の話を私が知らないという事をキュアンに知られる事なく、彼に『金色の乙女』の話を聞く事ができた。



「物語『五人の賢者』に出てくる人物の事だ。

 仲違いをしている魔族と人族の仲を修復した賢者達を導いた人物らしい。

 陽光を映したような髪色を持った人物らしく『金色の乙女』と呼ばれている。

 現状お世辞にも魔族と人族は仲がいいとは言えないし、所詮は御伽話だ。」



 と、非常に簡潔に説明して下さったキュアン様である。


 もう少し物語を噛み砕いて説明して欲しい。

 グールの説明はあんなに懇切丁寧だったというのに。

 取りあえず『女神』ってのは大層な人物っぽいし、『乙女』呼びだから女性だろうし、私とは特徴がちっともかみ合わないのだけは理解した。


「シャルの髪は何というか、銀にも見える薄い金色が綺麗に光を弾くからな。『陽光を

映したような髪色』と言われれば確かにそう見える。」

「ええぇ~!?」


 そんな情報だけは具体的っ!こんの美形騎士様が余計な事を!


「実に興味深い。我ら魔族にも同様の伝承が伝わっている。」

「どういう事だ?」


 ミーちゃんが口角を上げて話す内容に、キュアンが反応する。

 私は私で、そんな彼等に視線をあっちこっちさせて心の中でニヤつく次第である。

 非常に美味しい状況です!


「まぁ、陽光を苦手とする我らの『女神』は月光を映したような髪色の人物であるがな。後、付け足すならば『歴史は繰り返される』と言ったところか。」

「・・・まさか。」

「ああ、そのお伽噺とやらは信憑性が高いのではなかろうか。」

「「・・・・・・・・・。」」


 あ、あの・・・お二人さん。じっとこっちを見るのは止めて頂けないでしょうか。

 物凄く居心地悪いっス。


「言っておくけど、僕は『男』だからね?女神なんて言われてもちっとも嬉しくない処か傷付くんですけども!」

「・・・・・・。」

「ほぅ、貴殿は男児であったか。これは失礼した。」


 沈黙するキュアンよりも、ミーちゃんに素直に謝られた内容の方が傷付いた。


 こうなると分かっていればもう少し男らしい顔付にしたか、違和感あっても別の髪色にしたのにっ!


 BLワールドライフが目的なのでそんなややこしい事に関わるつもりは毛頭無い。

 付け加えてチート能力での身体強化を一切しなかった理由だが、外見にどんな影響をもたらすのかが分からなかったから、そうしなかっただけだ。私の中で自身がマッチョネスになるという選択は『有り得ない』と同義語である。

 

 ならば、取るべき最終手段はひとつのみ!


「お兄ちゃん、ミーちゃん、今から僕の下半身見せようか?」


 究極の『最終手段』である。


「なっ!?バ、バカ!何て事言うんだっ!!」

「我は興味あるが。人族の子の裸体など、そうそう見る機会は無いからな。」

「アンタも自重しろっ!町に言ってそんな事言えば真っ先に捕まるからな!」

「・・・そうか。気を付けよう。」


 私が男である事を認めさせる為に変態として捕まるだろう言葉を彼等に吐いてみたら、キュアンに頬を真っ赤に染めて怒鳴り返された。


 赤くなったの初めて見た。貴重なキュアンPart.2だ。


 ・・・おっつ、また涎が出そうになったゼ。最近誰かさんのせいで口元がゆるゆるで困っちゃうよ。瞼の裏に焼きつけたから、暫くは堪能させて頂こう。これでご飯三杯はイケる。

 


 ミーちゃんは確かに自重した方がいいので、フォローは無しの方向で。



 ***



「おーい!無事かっ!?」


 あれっ?カルアのオッサンだ。無事にグール討伐終わったみたいだね。グールが実際はミーちゃん作の土人形だったのが少々アレだけど。


「シャル、コイツの説明はどうするんだ?」

「あっ!」


 そういえばカルアのオッサンはミーちゃんと顔合わせた事があるんだっけ?


「それならば我に考えがある。言葉が通じるならば問題なかろう。」

「そーなの?じゃあミーちゃんに任せるよ。」

「御意に。」


 自身有り気に頷くミーちゃんは、私には頼もしく映ったけれど、キュアンには違ったようだ。胡散臭そうに言葉を放つ。


「・・・本当に大丈夫かよ。」

「駄目であればフォローを頼む。」

「おぃ!?」


 さっきからキュアンともあろう人物がミーちゃんに弄ばれ・・・振り回されているような気がしないでもない。

 結構やり手か、ミーちゃんったら。今後が非常に楽しみではないか。ぐふり。


 そうこうしている内にカルアのオッサンが近付き、当然ミーちゃんに気付いた。


「な、んなっ、ソイツはっ!」

「先程はご迷惑をお掛けしたようですみません。」

「なっ!なんだ!?」

「私はどうも魔族に操られていたようなのです。今はこの通り、シャルロード殿に元に戻して頂きました。やっと自分の意思で言葉が話せます。」


 カルアのオッサンがギョッと驚いた後、ミーちゃんをマジマジと見て納得したように頷いた。多分あれだ。魔族特有の気配ってやつがしないからかな。


「そ、そうだったのか。俺も、人と気付かねぇで攻撃しちまって悪かった。」

「いえ、意識を乗っ取られていたといえ、貴方に大怪我を負わせてしまったのは私です。大変申し訳ありませんでした。」

「いや、それはもういぃ。お互い様だ。」

「そう言っていただけると幸いです。」


 ・・・しっかし、凄い変わり身だ。

 研究なんか止めて役者になればいいのに。私の隣でキュアンも呆れた顔をしている。まぁフォローの必要無くてよかったと思っとこう。他に対処方法が思い付かないし。


「下手すりゃ俺も罪の無い奴を殺すトコだったぜ。シャルロード、お前にゃ感謝してもしきれんな。」


 手放しで褒めてくれるオッサンだが、私は当然複雑な心境だ。


「報酬に上乗せしとく。勿論今まで疑った分も色を付けとく。調子がいいかもしれんが、それでチャラにしてくれんか?」

「あー、報酬はお兄ちゃんの分だけでいいよ。」

「シャル?」

「どうしてだ?他の奴にお前の働きを聞いたが、金を渡すくらいじゃおっつかねぇぐらいの大活躍じゃねぇか。ギルドを通してないのが申し訳ないくらいだ。」

「それよりもお願いがあるんだ。」


___私はオッサンにとても大切な頼み事をした。



 ***



「おーい、皆集まれ!帰る前に重要な話がある!」


 カルアのオッサンの声に導かれ、グール討伐に参加した冒険者達がその周囲に集まってきた。


「この度の戦いで活躍した『女神』については他言無用だ!これは女神自身の願いでも

ある。この約束を違えた者は、今後一切女神の加護は受けられないと思え!」

「何故言ってはならないんスか?親っさん!」

「私も命を救って頂いたことを皆に伝えたいわ!」

「だアホッ!そんな事すりゃ一気に噂が広まって、その力を利用しようとする輩に女神が狙われるだろーが!感謝してんならこの約束をしっかり守れ!それが一番の恩返しってもんだ!」


 そのオッサンの言葉に、皆一様に納得した表情を見せた。


 うむうむ、これで大丈夫だろう。流石、この荒くれ者達を束ねる計算高いオッサンだ

。説得力のある見事な演説で見事に私の『頼み事』を実現してくれた。



 今後一切シャルロードを『女神』とか呼ばない事。


 これが私の『頼み事』である。


 どうやらこのイビリ行事はオッサンの知らない所で進められていたらしく、イビリについて何も知らないオッサンの見解によると、女神コールとこのローブ姿で本当に女神と勘違いした人物達も居るようだとのこと。


___何にソレ?意味分からん。


 カルアのオッサンも知らないと言う事なので、オッサン自身が機転を利かせて『女神』については他言無用という形で収めてくれた次第だ。

 兎に角、カルアのオッサンに黙秘を頼んで本当によかったという話。

 ・・・まぁ事前にオッサンにどうやっても何処からかは情報は洩れるって事は念押しされたけど、これならイケるんじゃなかろーか。


 因みに私は残念がるカチュアさんとザラキィを強行突破して、元の村人Aな服装に着替えた。その効果は抜群で、殆どの人が私なんぞに気付かなくなった。

 やっぱりあのローブには何か人に注目されるような効果でも掛かっていたんだろーか。それならば『加護』処か、寧ろ『呪い』の領域だ。今更再度引っ張り出して確かめる気なんて微塵も起きないけどさ。

 ・・・はぁ、落ち着く。何の変哲も無いこの服がこんなに愛しく感じる日が来るとは、流石に予想出来なかったわぃ。



 帰りの行程はかなりスムーズだった。夜通しの戦いで疲れている筈なのに、皆明るい表情で酒さえあったら今にも宴を開いてしまいそうなはしゃぎっぷりだった。実際、朝と昼御飯の時は酒も無いのにエライ騒ぎだった。任務が終わって無事に帰れるんだから、そうなるか。


 私も浮かれた雰囲気についつい鼻歌を口ずさむ。

 ・・・キュアンとミーちゃんが女性冒険者に囲まれていて寄り付けず、一人で寂しかったのもあるが。


 どうやらこの高いテンションとミーちゃんの人当たりの良さ(本当は魔族なのに)で並んで立っていたキュアンにもチャンスとばかりに女性陣の猛攻が・・・。

 くっそう、集団戦法とは卑怯だ。

 無理やり割り込もうとしても、女とはいえ冒険者だから、私の紙腕力じゃ逆に跳ね飛ばされるのがオチだろう。


 実はその時キュアンは私に助けを求めていたらしいが、私より背の高い彼女等が外壁になっていたのでその助けを求める視線は私には届きませんでしたとさ。



「~~♪~~~~♪~♪~♪」


「弟君っ!」

「ひぁっ!・・・ビックリした。ダリアさんどーしたの?」

「歌うまいねぇ。しかも聞ーた事ない歌!続き歌って!」


 そーいや、ダリアさんって歌が好きなんだっけな。


「っ、俺にも聞かせて下さい。」


 ダリアさんというきっかけに背中を押されたのか、近くで何度か視線を向けてきていた人物がやっと声を掛けてきた。


「およよ?ザラキィじゃん!弟君と知り合い?」

「・・・同じ後方支援だったからな。」

「ふーん?アンタが誰かに敬語使うなんで珍しいじゃーん。何で?」

「その方は特別だ。」

「おーわ、熱烈!どーやってザラキィ落としたの?さっすが弟君だねぇ。」


 確かに向けられたのは情熱的な視線で、BL的に嬉しくはあるんだけど・・・、彼のは『女神様』に向けたモンだからなぁ。一応私が男だって事は理解できているようだけど、そんな訳だから素直にゃ喜べない。

 まぁキュアンとミーちゃんがひっつくワケだし(私の予定では)、私は私でザラキィを狙わせていただきましょうか。と、いうか、その女神幻想をぶち壊せるぐらいには親しくなりたい。マジで。

 私という人物を知れば、自ずとその勘違いは無くなる筈だ。

 実際、既にキュアンには何度も呆れられてるんだゼ?

 高尚な幻想をぶち壊すくらい容易いってもんよ!

 ・・・ッ、悲しくなんて、ないんだから!


 そしてザラキィとダリアさんに、一昔前のお気に入りのバラードを聞かせてあげた。


アカペラで人に歌を聞いて貰うのって結構恥ずかしいな。元々音痴じゃないし、カラオケで鍛えておいてよかったよ。

 歌い終わったら二人とも拍手してくれたので満足だ。うん、自己満だが。

 その後もダリアさんに次々と歌をせがまれて大変だった。ザラキィとそんなに交友でなかったのが残念だけどギルドで顔合わす機会もあるだろうし、そこは追々考えよう。



***



 ぐったりしたキュアンと人族女性の考察を深めたミーちゃんを連れて、やっと『太った猫』亭に戻った私こと、シャルロード。といってもまだ宿の前に着いただけだけど。


 別れる時にカチュアさんとザラキィに泊まっている宿を聞かれたので、取りあえずこの宿の名前を知らせておいた。カチュアさんは依頼の件だろーけど、ザラキィは多分会いにくるんだろう。・・・『女神様』に。

 あー、ダメだ。ちょっと自分卑屈になってるなぁ。あまり神聖な物に例えられると、その重圧に耐えられずに逆に沈んでしまう捻くれネガティブ思考な私だ。



「一体何処に行ってらしたんですか!ギルドにも居ないし、もの凄く探しました!」


 突然響いた声にビクっとなるチキンな私。


「えっ?メアリーさん!?」


 疲れた一行の前に現れたのは、随分慌てた様子のメアリーさんだった。お姫様の呪い病を治せる人、方法を探す為に宮廷近衛騎士という身分を隠して私とキュアンにちょっかいをかけてきたおねいさんである。

 約束は夜じゃなかったっけ?今はまだ夕に近いっていう時間帯だ。


「お願いしますっ!今直ぐ城に来て下さいっ!!」

「ど、どーしたんですか?」

「姫様の容体が急変したのですっ!」


 えぇっ!?

どうでもいい話ですが、今回のサブタイトルは長過ぎたらしく途中で切れてます。それだけです。

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