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夏の病室【二百文字小説】

作者: ラーさん

「夏だね」

 病床の妻が窓の外を見て呟いた。

 雲が高く立ちそびえている。夏の盛りの空は青く、白い陽射しが病院の庭の木々を濃い陰影に浮かび上がらせている。

 妻は窓の外を見ている。

 夏の熱が遠いのは、窓が閉じているからだった。

「花火は、また来年な」

 冷房の音の沈黙の中で、妻はぽつりと返事をした。

「もう、いいよ」

 そう言って妻は私に振り返ると、その白く痩せ細った手を差し出した。

「手、握って」

 手を握る。

 夏が過ぎていく。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 写実的で幻想的。 夏は彼らに何を残したのだろう。 なかなか感傷的な作品でした。
[一言] あきらめちゃダメだ!! 子供っぽい感情をぶちまけたくなります……(T_T) 来年こそは……。そう願わずにはいられないっす……。
2011/07/23 20:13 退会済み
管理
[一言] ラーさんさあぁぁぁん!!!! そりゃもう泣きますよ、泣くしかないですよ。 たかが200文字、されど200文字、なんて奥が深いんだ! すごい、すごいよ、ラーさんさあぁぁぁん!!!! そして…
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