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「学園にて:消えた者たちの真実」

「神隠し」の件は情報操作などの結果、問題にはならず収束したが、拝島が最後に口走ったことが気になっていた。

「お前が思っているより「彼ら」はどこにでも居て、今起きている、そしてこれから起こる事で、近いうちに俺たちポストヒューマンが絶対の最優良種だと言うことを行動で証明する日が来る。」


公安の正規職員、とは言え、フィールド経験は入所したてでまともなものはない、しかも訓練中の身。そんな僕が情報を元に推理しても拝島が行ったことをそんな簡単に現実化することなんて決して不可能だという事はわかっている、でも何か、まただ。何か嫌だな、何か大きなことが起こるよう前の「予感」みたいな心をもみくちゃにされているような感覚が胸をズキンと痛めている。こんな時は…何か嫌な事が起こる事も確かなことは知ってる。


**学園の裏で動く者たち**


その頃、校舎の東棟では尾上律を中心とした6人のポストヒューマンたちが動き始めていた。彼らの目的は、学園のコアシステムにアクセスし、その膨大なデータを奪取すること。その情報は生徒の能力情報や教職員の情報だけでなく、学園周辺の防犯システムや都市部のアクセス権限、その先の極秘情報とされている物まで含まれていた。


「尾上、どうだ?」

「システム室への侵入は今のところ想定内で進行中。他の奴らについても今は予定通り、混乱を広げて目を引き付けている。」


尾上の声に、仲間たちは淡々と頷く。3人、4人、5人、6人—彼らの能力は派手ではないが、ポストヒューマン特有であり基礎能力である情報共有能力で精密な連携を取っていた。その力が、学園内の混乱をさらに助長していく。


**校舎の混乱**


午前10時47分。校舎東棟で突如発生した爆発音が、学園全体に混乱をもたらした。東棟ではスプリンクラーが作動し警報が鳴る。煙が立ち込め、生徒たちはパニックに陥る。


「全員、落ち着いて!」

教師の声も虚しく、混乱は収まらない。この所の騒ぎの影響なのかもしれないがそれぞれが独自の方法で逃げ始めている。僕はさっきから感じている胸のざわめきが強烈に反応する中、廊下へ飛び出した。


煙の中、僕は倒れ込む男子生徒を見つけた。彼は頭を抱え、呻いている。近づくと、彼の身体から微かな「痕跡」が漏れ出しているのが分かった。それはポストヒューマン特有のものだった。


「おい、大丈夫か、立てるか!?」

声をかけた瞬間、その直線上にいる「何か」から背筋に伝わる冷たい「声」が響いた。

「おい、何してんだよ、こんなところでー、ってあれ?お前最近入った転校生…だよな、何やってんだよ」


振り返ると、同じクラスのアメリカ人、エリアス・コールが立っていた。彼の腕は鋭い刃へと変わり、その長さからガリガリと床を削る音が聞こえる。


「WHF are u doing? do NOT get 技邪魔すんなよ fxxking ass hole」


彼がポストヒューマンである「何か」に「変わった」ことが原因なのか、英語と日本語がぐちゃぐちゃ、しかも汚い言葉になっていた。

---


**対峙**


エリアスがガリガリガリガリ、床に引き摺ったままの刃を床に削りながら持ち上げ、こちらに振り下ろす。僕は怪我した男子生徒と共に反射的に横へ飛び退くが、その刃の威力は…何というか常人の起こす結果ではないことは当たり前だが、思ったより鋭く何もかもを削り、一部の壁が音を立てて激しく崩れ落ちる。そのメチャクチャな威力に息を呑む。


「Fxck damn, are you...? そっか、お前、ただの転校生じゃねえな。面白えじゃん」

エリアスが低く呟く。その刹那、背後からリリアンの声が響いた。

「綾人、後ろ!」


彼女の警告で一瞬体が早く動き、間一髪かわしたものの、エリアスの刀はその形を保つだけではなく柔軟度がある程度あるようで引き続き距離を縮めてきて追撃をやめない。同時にぼくの胸の「ざわめき」が次に何が起きるかをぼんやりと示していた。だが、それに反応するより早く、リリアンが何かを投げ入れ、それは白い煙とともに煙幕を放ち、視界を遮り、僕らを引き摺りながら現場から逃げるように消えた。

---


**システム室**


エリアスが学園内で派手に事を起こし時間を稼いでいる間に、学生服を着た、人種がそれぞれ違う残りのメンバーが学校のシステム室に侵入。何かをしている。通常、これら厳密に管理された部屋、データベースシステムには多重のセキュリティ設定、厳しい管理者権限、生体認証による限られた方法でしかアクセスできないような仕組みが多重に組まれており、このような不測の事態に対応できるようなコンテンジェンシープランが当然のように用意されており、今回もそのプロシージャに則り自動作動するはず、にも関わらず、「にも関わらずっ!」だ。システム室に入り込んだ中の一人、フランスに起源を持つルミエールの能力により、特権アカウントを持つ(かつ生体アカウント保持者)エンジニアであろう一人が操り人形のように操られている。その目はルミエールを常に仰視、女神でも見るような敬愛の念で跪いている。

「レオン」と呼ばれる特権アカウント保持者である彼が、複雑に入り組んだ極秘情報をさも週末区クッキングをする様に楽しげに情報を転送、格納、展開し、解を求め、その膨大なデータを彼らの用意したデータストレージにダウンロードしていた。これは彼女の能力である「魅了」、いやそれ以上の効果を発揮するポストヒューマン能力であり現場これに抗えるような人類はむずかしいと思う。

その結果、彼らが求めていた情報の多くの機密、機微、国家情報と呼ばれる、決して流れる様なことがないものは手のひらに乗るくらいのデータデバイスに粛々と吸収されていった。


「…あと1分で完了する。」

「このデータが手に入れば、この計画は完了だ。急ぐぞ」


口が開かずテレパシーで交わされる言葉は冷徹で、迷いはない。その行動は、まるで一つの生物が一つの目的のために動いているかのように非常に効率的だった。

---


東棟での爆発事件、いくつかの不可思議な要件を残しながらも状況は収束し、校舎内には一定の静寂が戻った。煙に包まれていた東棟も、消火活動と公安の現場調査により徐々にその全貌が明らかになりつつあった。しかし、僕の中の胸のざわめきは収まらない。何かがまだ終わっていない—その感覚が頭の片隅を離れなかった。

---


**翌日、教室にて**


「…昨日は大変だったねー。」

何気なく声をかけてきたクラスメイトの言葉に、僕は曖昧に頷いた。事件の詳細は(当然だが)報道されず、教職員によると「事件中に起きた不慮による火災が招いた事故、そして常日頃実施してきた校内避難訓練の結果である」として処理されたらしい。だが、僕の視線は無意識に教室内を巡る、理由は明確だ。


いた。


公安調査室の中で先日、ローラが調べた身辺調査報告会では、東棟の事件で確認できたテロリスト(と彼らは総称していた)は6人から8人。その中で確認が唯一取れたのは僕が遭遇したエリアス・コールだけ、データ室内にいた複数のポストヒューマンは、ことごとく監視カメラなどの位置確認、そのモニタリングシステムを掌握、無効化し、特定までには至らなかったと言う結果だった。


「エリアス・コール」。父親は元アメリカの特殊部隊員出身。母同じアメリカ人。彼が生まれてすぐ亡くなり、父一人で育てた(具体的には孤児院で過ごしたとの記録あり)。しかし実際は父がその技術を息子であるエリアスに徹底教育したとの報告もあった、非常に事実が2個も3個も出てくる、参考にならない様なプロファイルレポートであった。その父も、ある時ポストヒューマン関連の事件で亡くなり、身寄りの無い彼は、里親の協力、そして現在の日本の状況を鑑み、移住。普段の性格は冷静で計算高いとの噂。

特に生活は目立つことなく生活をしていて、事件の関係者の一人であることは間違えないのにも関わらず、まるで何もなかったかのように振る舞っている。その表情は冷静そのものだ。僕は胸のざわめきが彼に反応するのを感じつつも、直接問い詰めることはできなかった。


「どうしたの?君、昨日からずっと周りを気にしてるわね。」

隣の席からずいっとリリアンが小声で囁いてきた。その表情には、どこか含みがある。


「んー…いや…なんでもないかな。」

僕はそう返しながら、視線を変えた。僕等のトークを鋭い視線で見ているリリアンにだ。彼女については情報が少なすぎて、正直何を知っているのか?あるいは、何を隠しているのか?その答えが見つからない、そんないろいろ頭がクルクルした中での何気ない1日の授業が始まった。

---


**放課後、公安調査室にて**


「彼は同じクラスの生徒だった。」

ローラが資料を見ながら呟く。エリアスの写真がモニターに映し出されている。


「学園内のポストヒューマンを調査してきたけど、これほど計画的に動ける生徒が潜んでいるとは予想外だった。」


彼女の言葉には悔しさが滲んでいた。


「学園が狙われた理由は?」

僕が問いかけると、ローラは肩をすくめた。


「それはまだ調査中。ただ、学園には多くの外国人やポストヒューマンが集まっている。そこに関連する様々なデータ、物によってはさまざまなビジネス、ありかたを根底から覆す様なデータがある事からこれらを狙った可能性は高いわ。」


彼女は続けた。

「はっきりしていることは、今回の事件は単独犯ではない。エリアス・コールを含む複数のポストヒューマンが関わっている。それに……学園そのものが「何か」に利用されている可能性がある。」


「何か」って?」

僕がさらに問い詰めると、ローラは少しだけ口を閉ざした後に言葉を選ぶように答えた。


「それはまだ言えない。でも、君がここにいる理由と無関係じゃない。」

---


その日の帰り道、僕はリリアンが校舎の裏で誰かと電話している姿を目撃した。彼女は僕に気づいていない。


「……エリアスとレオンは動いたわ。でも、まだ核心には至ってない。」

電話の相手の声は聞こえないが、彼女は静かに頷いた。

「分かってる。綾人がどう動くかを見極めるのが私の役目でしょ。でも彼を危険に晒すつもりはない。」


彼女の声には微かな揺らぎがあった。電話を終えた後、彼女は深い溜息をつき、夜空を見上げていた。

---


**リリアンとの会話**


その後、僕はリリアンに声をかけた。

「さっき誰と話してたんだ?」

彼女は一瞬だけ驚いた顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。


「……秘密よ。人の電話を盗み疑義するなんて意外と綾人マナー悪いのね。え、それとも気になっちゃう〜?」

リリアンは誤魔化すように綾人を茶化す。

「茶化すなよ、君は一体何者なんだ?なぜ僕のことを知っている?」

僕の言葉に、リリアンは少しだけ寂しげな目をした。


「綾人、あなたは特別よ。でも、それはまだ君自身が気づいていない部分でもある。」

その言葉が何を意味するのか分からなかった。彼女はそれ以上話すことなく、さっさと歩き出した。

---


**ローラの独白**


一方その頃、ローラは公安のデスクで一人、モニターに映るエリアス・コール、そして「レオン」と名乗っていた者のデータを見つめていた。


「なぜ彼が学園にいるの?目的は?」

彼女は一人つぶやく。裏には、7人のポストヒューマンが結託している証拠が次々と出てきていた。


「彼らの目的がデータの奪取だけなら、こんなに手間をかける必要はない……回りくどく情報操作、目的を逸らし、結果狙いを綾人を定めてきたの?それとも——。」


モニターに表示されたデータには「ネオ日本橋高校・学園長室」という文字が表示されていた。


徐々にキャラクターが出てきて「人間」「ポストヒューマン」のパンデミックの中の生存競争が始まりました。アヤトの生活圏である東京、ここですら大きな事件、事故が起こっている中世界は如何やって経済を回しているのでしょうか‥あの2019年から「もし」今のこの生活が逆方向に向いたら、と言う観点から描いてみます。プロットはその時につくっているので話が合わない所があるかもなのでその時はいつでもコメントをおm=願いします。一緒に物語を作れる創造空間にできればと思います。

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