表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/96

星空に願いを[9]

「そら君…この間はごめんね」

「それはもう過ぎた事。それより、折角みんなに会えるチャンスだったのに、まさかの仕事って。大変だなぁ」


 ドタキャンした事。そら君は、それでも私を労ってくれている。

 既読からすぐの返信。咄嗟にこんな言葉が出るなんて、それは本心じゃなきゃ無理だと思う。

 やっぱりそら君は…、そら君は優しい人なんだ。


 カッコいいだけじゃ、理想的ではない。優しいだけじゃ、何か足りない。男子を好きになる基準なんて、所詮女子のわがままを集めたものに過ぎない。


 ならば、背が高くてちょっぴりイケメンで、人を気遣う事の出来る優しさと、バスケのコートの中で相手を圧倒する気迫をも備えているそら君は、私のわがままを形にしたような人じゃないの?

 好きになってもいい人…じゃないの?


「私、左足を骨折して陸上辞めたじゃん。この前整形外科で会ったのって、あの時の後遺症を治すのに、リハビリに通ってるんだ」

「そうなんだ。今も痛むんだ。辛いね」

「そら君もリハビリって言ってけど、どんな怪我したの?」

「あぁ、あの時かぁ。俺もさ、膝を捻って痛めたんだ」

「明日、またリハビリなんだけど、そら君は?」

「俺? え?」


 ―え?


「俺は明後日だけど…。いや、病院なんかで会うより、あ〜っと、休みの日にゆっくりお茶でもどうかな? この前会えなかった分、いろいろ話したいからさ。も、もし田上が良ければだけど」


 そりゃあそうよね。何で病院で会うなんて考えてんのよ。折角アドレス交換したんだから、会いたいのなら時間作って、カフェとかにでも誘えよ、私ったら。



 そんな、勢いだとは思うけど、私とそら君は

2人でお茶する事になった。

 それは私にとって、嬉しいはずの約束。


 恋をしたかった高校時代。その対象となる人は、そら君以外に考えられなかった。考えられなかったはず。あの頃、私の感性を刺激する存在と言えば、そら君以外に居なかった。


 なのに私ったら、そんな人でさえ恋の対象から外し、「興味ない」などと突っぱねていた。


 恋したかったし、恋の対象となり得る人は居たのに。別にイキっていた訳でもないのに。そして、恋愛に至る可能性のある人だったのに。


 卒業後、それぞれの道を歩み始めた私達。

 意外な所で再会した2人。

 そして、2人で会う約束。


 嬉しくない訳がないのに、どこか心の奥に壁を作ってしまっている私。

 嬉しいはずなのに、今一つ感情が浮き上がらず、戸惑いだけが脳裏を支配してしまっている。


「断る前に、約束したんだから会っておいでよ」


 それはそうだ。じゃなきゃ、そら君に失礼だ。だけど待って。

 何でユウさんに相談してるんだろう、私。



 恋って、こんなものなのかな。

 初めて恋するというには、ずいぶん年齢も高くなってしまった。


 10代で恋をしたのなら、もっと燃え上がるような感覚があったのかもしれない。


 いや、違う。

 私、「恋したい」なんて言いながら、何も燃え上がっていなかった。

 だって、燃え上がっていたのなら、何がなんでもそら君にアプローチしてたはず。


 高校時代、陸上を辞めて、何してたんだろう。

 覚えている事なんて、久松美咲の地味な私服を華やかに変えてあげたいなんて、余計なお節介を焼いてTシャツを作り、彼女の体型の変化に玉砕食らったぐらいか。


 そんなくだらない事に熱中したのは覚えてるし、それが活かされて今、服飾の仕事をしている。


 結果、私は幸せなの?

 最近、職場環境に疑問を感じ始めている。


 あぁ、何だこれ。何の悩みだろう。様々な思考が頭の中で複雑に交差して、それらひとつひとつに対する答えを全て掻き消してしまっている。


 私が考えている事、やっている事。

 そこに間違いがあるのなら、誰か教えて。そして、間違いを叱って。

アクセスありがとうございます。

次回「星空に願いを[10]」

更新は、X または Instagram にて告知致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ