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星空に願いを[4]

「それって私を誘ってる?」

「ははは! 決まってんじゃん」


 あの時の言葉を振り返ってみる。

 誘ってる、その意味って何だろう。


 そもそも、何でグループ・メッセージに私は名を連ねてなかったんだろう。


「だって、麻衣は自分で断ったんでしょ? いつまでも、学校に行けなかった時の事を引きずりたくないからって」


 そうだったっけ? 私、お母さんにそんな事言ったのかしら。

 言ったのかもしれない。確かにあの黒歴史は、いつまでも引きずるものじゃない。


 だけど、グループに参加しないという事は、同級生との連絡を断つ事に繋がる。

 行方不明者になってもいい。きっと、それぐらいの気持ちを持って断ったんだろう。

 だけどそれは私にとって、良かったのか悪かったのか。


「結果的にそら君に会えた訳だから、グループ・メッセージなんてどうでも良かったんじゃないの?」


 お母さんはそんな事言って笑う。グループ・メッセージに参加するか否かは別として、私はそら君と再会するように運命付けられてたなんて。


 ―ったく…、そんな簡単な事じゃないんだから。


「で、お付き合いするの? そら君と」

「そこよ。そこ…」


 言葉が出なくなった。

 どうしたらいいのかを訊く前に、私は自分の事が分かっていない。だから訊けないんだ。


「気持ちはどうなの? そら君の事、好きなの?」

「それも分からない」


 まず、どう誘われているのかも分かっていない。

 単純に、みんなでバーベキューしたいだけなのか。それとも私が特別だから?


 特別ぅ? ある訳ないじゃん、そんな事。

 いや、あるのかも?

 それなりのモーションは感じるのだから、もしかしたらそら君はその気(・・・)なのだろうか? とも思う。


 もし彼があの頃(高校時代)のままなら、穏やかでちょっと内気な長身男子。

 大人になって変わったとしても、やっぱり本質までは簡単に変わらないはずなのだから、根はきっとあの頃のままなんだと思う。


 じゃあ何が変わった?

 きっと、私を誘ったその行動に至る、積極性が芽生えた事だろう。


「お母さん、私、分からないの。たぶんそら君の事は好き。嫌いじゃないから、好きなんだと思う」

「だったらいいじゃない。バーベキューは行けなくても、もう連絡先分かるんだから、会いたいと思ったら連絡すればいいじゃない」


 そうじゃない。そうじゃないの。連絡してどうにかなる気持ちなら、こんなに悩まない。


「あのね…私、そら君の事は好きなのに、それはときめきとは違うの」

「違うの? じゃあ何よ」


 お母さんは、少し困惑している様子。たぶん、私がはっきりしないからなのだと思う。

 だからと言って、はっきりする程の整理がついていないのも事実で、この気持ちに白黒付けられないもどかしさを感じているのも事実。


「そら君の事を考えてたら、そら君とは別の場所に何かを置き忘れている気がしてくるの。これって何?」


 何って、分かる訳ないじゃん。そんな意味不明な事。

 でも、お母さんはやっぱりお母さんだ。その返しは見事としか言いようがない。


「置き忘れたものねぇ。素直に好きって言える気持ち…かな?」


 今は服飾に夢中だから、いつもその事が頭にある。夢中になるものが他にあるから、まだそら君に対する気持ちに整理がつかない。


 そうなの? そうなんだ。というか、そうであるべきなんだろう。

 私の恋。その、一番近くに居るのがそら君なんだから。


 そしてそれは、高校生の頃からぼんやりしたまま変わる事なく、今も彼の存在はドッシリとこの位置で動こうとしないんだ。

アクセスありがとうございます。

次回「星空に願いを[5]」

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