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頂へ[4]

 車は北陸自動車道を通り、福井、石川両県を経て富山県へ。富山地方鉄道立山駅近くの駐車場へと向かった。


 これから待ち受ける険しい山。乗り越えなければならない苦難。

 そんなものなどどこ吹く風。4人の移動道中は、和気藹々(わきあいあい)としていた。


 尚哉と亮お兄ちゃんは、まだ高校生の頃に京都ベルグ山岳会に入会し、夏休みに初めて本格的な登山に挑んだ。

 2人は共に上高野高校出身で、あたしの先輩に当たる。だけど、学年は尚哉の方がひとつ上。

 登山部なんていうのはなかった。気が付けば、一緒に行動するようになっていた。そのきっかけも、今はもう忘れてしまっているそう。


 尚哉は自然が好きで、高山植物の研究をしながら暮らしていくのが夢。一方、亮お兄ちゃんの夢は、世界の名峰への登頂。

 同じ事をしていても、2人の夢は全くの別物。どちらがどうとか言うのではなくて、双方とも素敵。比べるのがおかしいと思う。


 ただ、そんな互いの夢とは裏腹に、亮お兄ちゃんの方がメンタル、体力共に若干劣っている事が、前回の剱岳アタックで分かったそうだ。


 体力がなければ、鍛えればいい。メンタルだって同じ。鍛える方法は、幾つかある。

 亮お兄ちゃんは、自らの夢のために体幹から強化していく事を試みた。結果、メンタルも同時に強くなれたとは、本人が言っていた。

 でも、自分を高めていこうとすること自体、強いメンタルじゃないかしら。


 何はともあれ、2人は共にカッコいい!! 


 4人は車を停め、ラゲージスペースを埋め尽くす荷物を全て下ろした。


 8月末の気温は15℃前後。最低気温に至っては、日によっては1桁まで下がる事も。

 まだ半袖Tシャツのままのハイカー達も、標高を上げるにつれて肌寒くなる立山連峰での最低限の備えとして、皆、防寒着を用意している。言い換えれば、防寒着がなければ山での宿泊など不可能だ。

 シュラフだって、防寒性を高めれば、自ずと大きく重くなってしまう。

 夏山とて、それ相当の体力で挑まなきゃ。



 立山駅前で、ガイドの筒井さんと合流。剱岳には、3度の挑戦で2度山頂に立ち、その経験からガイドに。過去には山崎さんが率いてパーティを組んだ京都ベルグ山岳会を、登頂に導いている。


 その実力はお墨付きで、市川さんとパーティを組んで、奥穂高や槍ヶ岳、それらを含む縦走登山を幾度となくこなして来た。

 北アルプスの山々は、未経験者のあたしでさえその険しさが想像出来る。

 例えば槍ヶ岳だって、これから登る剱岳に匹敵するぐらい険しいと聞く。そんな山を、ただ登って下りるだけじゃなく、複数含めたコースを数日かけて歩くんだって。

 おかしいよ、この人達。


 荷物は5人で分担して背負う。5人が過ごし、かつ体力維持が可能なだけの装備を必要最小限にまとめる。

 重量にして10kgにもなるそうで、それは当パーティが山小屋泊じゃなく、テント泊するから。

 雷鳥沢という場所に、テン場即ちキャンプ場があって、そこにベースキャンプを置くんだって。



「じゃあ、行きましょう」


 5人はケーブルカーに乗り、美女平までの高低差487mを一気に駆け上がる。

 美女平からはバスに乗り、室堂へ。

 これが立山黒部アルペンルートと言われる交通ルート。春の開通時には高さ20mにも及ぶ雪の壁が出来る、“雪の大谷”はあまりにも有名ね。


 室堂でバスを降りると、雷鳥沢はもう、すぐそこ。

 この日はここまでで、早速テントを設営し、翌日のアタックに備えて体を休めるんだ。

アクセスありがとうございます。

次回「頂へ[5]」

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