ランスとの決闘
今回はランスとの決闘の話です。
「仕方ない。私と決闘して私が勝利したら家に戻れ」
「俺が勝利した場合は二度と干渉するな」
「私が敗北する事は絶対にあり得ないが良いだろう」
「それでは私が立会人を務めよう」
ギルマスが立会人を務める事になった。
俺達は訓練場に移動して、殺気を込めた視線で対峙した。
訓練場には大勢の冒険者達が見物に来ていた。
「決闘始め」
【麻痺針】
俺は麻痺針1本をランスに対して放ったが、あっさりと弾かれてしまった。
続けて2本、3本と放ったが、やはり弾かれてしまった。
(不味いな)
ランスは俺の焦りを感じて槍を鋭く突き出してきた。
(ヤバい)
【防壁糸】
防壁糸を張り巡らせて、なんとか回避した。
しかしランスは連撃してきた。
(マジにヤバい)
【接着糸】
それに対して接着糸をランスの槍に絡ませて、動き難くした。
【拘束糸】
更に拘束糸でランスを戦闘不能状態にした。
(さてと指でも切断してやろうか)
積年の怨みを晴らせる機会が訪れた。
「それまで。ニードルスレッドの勝利」
ギルマスが俺の勝利を宣言した。
(ちぃ、邪魔しやがって)
「二度と俺に関わるなよ。無能な弱者」
思いっきり罵倒してやった。
「・・・・」
ランスは憎しみを込めた視線で睨み付けている。
無能と見下していた俺に負けたのが相当悔しかったようだ。
更に無能な弱者と罵倒されたのが悔しさを増大させたみたいだ。
「このままでは済まさん」
拘束糸から解放してやったら、捨て台詞を吐いて足早に立ち去った。
「この無能の愚か者。貴様の次期伯爵候補筆頭は取り消す」
伯爵家に戻ったランスは父親から激しく叱責された。
「情けない奴」
「我が家の恥だ」
それどころかボウやソードからも冷たい視線を浴びせられた。
(ニードルスレッド、絶対に赦さん)
ランスの心の中はニードルスレッドへの憎しみで溢れていた。