兄ランスとの再会
今回は兄ランスとの再会の話です。
「ギルドマスターがお呼びです」
受付嬢にギルマスからの呼び出しだと告げられた。
呼び出しの理由は不明だが、受付嬢と共にギルマスの執務室に向かった。
「ギルドマスター、ニードルスレッドさんをお連れしました」
「入れ」
「失礼します」
俺は扉を開けて執務室に入った。
「ニードルスレッド、久し振りだな」
「・・・・ランス兄上」
執務室の中にはギルマスと兄ランスが居た。
俺を最も虐げていた嫌な野郎だ。
コイツとだけは再会したくなかった。
突然の再会に驚愕してしまい立ち尽くしてしまった。
ランスとは家を追放されてから12年振りだった。
「ランス兄上、お久し振りです」
「元気そうだな。それに大きくなった。お前が冒険者となったという噂を耳にして会いに来た」
「そうですか」
「取り敢えず座りたまえ」
ギルマスから座れと言われたので椅子に腰掛けた。
「それにしてもニードルスレッドが伯爵家四男とは驚いたぞ」
「・・・・黙っていて申し訳ありません」
「謝罪の必要は無い。冒険者は余計な詮索はしないのが暗黙のルールだからな」
「はい」
「ところで複数の強力な魔物を從魔にしたという噂も耳にしたのだが、それは本当なのか」
ランスから複数の魔物を從魔にした事を質問された。
「本当です」
俺は正直に答えた。
「それなら話が早い。ニードルスレッド、家に戻れ」
(一方的に追放した癖に家に戻ってこいだと。冗談じゃない)
「・・・・嫌です」
「これは命令だ。拒否は認めん」
「断固拒否します。俺はもうミエハル伯爵家とは関係ありません」
「実は先日の狩猟祭でベヒーモスが現れて、ボウ兄上が右眼を潰されて、ソード兄上が左腕を切断されてしまった。次回の狩猟祭に出場する者が我が家には居なくなってしまったのだ。そこでお前に白羽の矢が立ったのだ」
「父上とランス兄上が居るじゃないですか」
「父上は領主で私は次期伯爵候補筆頭だ。ベヒーモスが現れる危険な狩猟祭に出場する訳にはいかない」
(ふざけるな)
俺はマジギレした。
「俺なら危険でも構わないという事か。絶対に嫌だ」
俺とランスは睨み合い一触即発状態になった。