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閑話7 その日のラミー・レバラッテ

 ラミー・レバラッテはその日、アルミナダンジョン国で起きたダンジョンブレイクについてまるで関与しない立場で、サイテカ連合国に入国していた。


 そもそも彼としてはミズキに第一外交課課長補佐の引き継ぎが済んだ時点で、今回のランドール共和国との揉め事には全く関与しない様に振る舞っていた。


 いや、正確には彼は振る舞っていた訳ではなく、エナミが関わっていた事がピーター・ブルックスの未来を見て分かっていた事以外は自身の興味の全くない出来事だった為に、エナミにその件を伝えた後はもはや記憶の片隅にも置いていなかった。


 その為、ダンジョン管理事務局経由でメリダダンジョンでダンジョンブレイクが起きたと報告を受けた時も、ああそう言えばそんな事があったんだ、やっぱりダンジョンブレイクが起きたんだ、程度の関心しかラミーには持てなかった。


 そんな事よりなるべく早く今回のサイテカ連合国での案件を纏めて、家に帰って最愛の家族とともにゆっくり過ごそうと東の端のライン地方に向けて走る列車に彼は乗っていた。


 サイテカ連合国の国土は連合に参加が決まったそれぞれの小さな国々の中で非常に道路網と鉄道網が発達しており、山々の深いエリアや海が荒れ狂うエリアでも人が住めるように非常な努力の後が見えた。


 勿論そこには何処でも使えるエネルギーである魔石の貿易でアルミナダンジョン国と緊密な関係があるのは言うまでもなかった。


 非常に快適な列車旅を5日間ほど過ごし、ラミーはサイテカ連合国の東の端、ライン地方の終着駅に着く。そこで出迎えた領主ライアン・ヒューイットと握手した後、いつものペースで話し始める。


「いやぁいやぁ、こんにちはこんにちは。ライアン・ヒューイット様、初めてお目にかかります。私はアルミナダンジョン国の外交部第三外交課課長のラミー・レバラッテと言います。以後お見知りおきを。立ち話もなんですから、領主の館まで車でも?有り難いですね。それにちょっと私としても列車での長旅でまだまだ足が揺れてる感じがしてしまうので、ユックリと足を伸ばして休みたいですしね。あぁ、そんな、交渉の場があるだけで十分ですよ。私の為に歓迎会なんて必要ありませんから。少しこちらの美味しい名物があればそれだけで私は構いませんから。そうですよ。今回はヒューイット様達の要望と、我々アルミナダンジョン国が出来る事のすり合わせの条件設定が何よりですから。うちの部長からも、今回サイテカ連合国に入国させてもらった時に話した連合国の外務次官の方とも問題解決の方向付けと人員配備についての話と伺ってますしね。ただし彼らはあくまでも事務屋ですから、こうして私の様な現場主義の叩き上げがやって来て、問題点を洗い出すという訳です。そうですね、ヒューイット様からすれば今回ダンジョンブレイクの予兆が見られる「海鳴りの丘」がいつどうなるかの方がそんな冗漫な書類上でのやり取りよりも何倍も関心があるのは分かっています。なので、まずはダンジョン「海鳴りの丘」の詳細についてお教え下さい。あぁ、これはよく纏まっているレポートですね。誰がこれを?ほうほう、ヒューイット様自らこちらを纏められたんですか。素晴らしいですね。非常にダンジョンブレイクに向かいつつあるダンジョンの状況もよく分かりますよ。えっ?ヒューイット様は以前は王立アカデミーに留学を?どの代でしょうか?私よりお若いですよね。えっ、エナミ・ストーリーの代ですか。彼とはダンジョン管理事務局で冒険者相談窓口に勤めていた時の同僚として、3年近く非常に仲良くさせてもらいました。この間も別件ですが、今回のヒューイット様達の問題に非常に類似した問題解決を一緒にさせてもらいました。もう少ししたらそちらも公になりますから、次にお会いする時には今はオフレコな話も面白おかしく話す事が出来ますよ。はいはい、次のこちらへの訪問の際にはぜひエナミも同行をですか?うーん、ちょっと調整が必要ですが恐らく大丈夫でしょう。私の能力がそう囁くのでその様な形になるでしょう。えっ?本当にそんな他人の、しかも他部署の事を簡単に約束して大丈夫かって?私にはそれが出来る能力と権限が有りますからね。それに彼はこういったダンジョンについての問題解決のスペシャリストですから。これは何かの導きかもしれませんね。彼はかれこれ十二年に渡って、我がダンジョン管理事務局の中で5大ダンジョン攻略に向けてのマニュアル整備に多大な貢献をして、冒険者達の死亡率の低下や平均ダンジョン攻略階層の向上など結果を出し続けています。ええ、王立アカデミーに入学した時も首席で入学したのは局内の噂で十分に知ってますよ。そうですか、彼がいる方が安心ならそうしましょう。ただし、ヒューイット様1つだけお約束を。もし我々に特にエナミに今回のダンジョン「海鳴りの丘」のダンジョンブレイクの解決をご要望でしたら、何も余計な口出しをしないでいただけますか?そうしたら、ちゃんと彼が貴方に良いように結果を出します。何故分かるのかって?それは私の能力がそう囁くからですよ。ああ、着いたみたいですね。では細かな条件はこの後にして、領主館に入りませんか?ライアン様」


 ラミーは自身の能力を使い、今回の交渉を迎えの車中でほぼ終わらせて、書面作りの時間を与える為に一晩だけライン地方に滞在した。彼は非常に優秀な外交官として名前を上げていくのであった。










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 ここまで読んでいただいて気にいらなかったら、大変貴重な時間を使わせて本当に申し訳ない。ただそんなあなたにもわざわざここまで読んでいただき、感謝します。

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