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ダンジョン攻略アドバイザーは今日も呟く。  作者: 煙と炎
第二章 相談窓口は時間外も働く
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第七話 ピーター・ブルックス 1

 三人称の話が続き、最新話だけ追っている方には違和感が無いかもしれませんが、本日は前話と同時投稿になっております。こちらの設定ミスです。一話づつ追ってらっしゃる方は申し訳ありません。ラミーとミズキの掛け合いの終わりを未読の方は、宜しければそちらを先にどうぞ。


 ちょうど五十話目です。主人公はまだ暫く出てきませんが、周辺の話を楽しんでいただければ幸いです。明日も続きを投稿します。

 「始まりの七家」武器商人のブルックス家の次男、ピーター・ブルックス。彼は他の国なら候爵家とも言われるブルックス家の次男として優秀過ぎた。いや、野望を持ちすぎていた。


 ピーターのその異様なまでの権力への執着は当主であるケビン、妻であるナターシャ、そして8歳になった長男のウィリアムとも、彼が5才の誕生日を迎え、幼いながらも自分の意見をしっかりと言うようになった時から感じるようになっていた。


「お父様、僕もウィリアムお兄様と同じ様に扱っていただけませんか?」

「何故だい、ピーター?」

「お父様、ウィリアムお兄様が次のブルックス家の当主で決まりなのですか?でなければ私にもチャンスを下さい」

「……お前はブルックス家が扱っているものを分かって言っているのか?」

「分かってますよ。人殺しの道具でしょ?」


 ケビンの商人としての顔による普通の子供なら泣き叫ぶような圧力にも、何とも思ってもいないゾッとする笑顔でピーターは笑って言った。


 ケビンとしては一番下の弟のテリー含めて三人の兄弟にはそれぞれ将来の武器商人としての仕事の役割を漠然とは考えてはいた。しかし、まだ長男のウィリアムですら王立アカデミーにも行っておらず、無事に健康をと思っていた矢先のこのピーターの発言に、自身の思い至らなさを考えさせられた。


 このピーターの発言以降、ケビンはより注意深く三人の兄弟の教育方法について考えるようになった。互いに競わせる様な方法を取ることなく、三人で役割を持つ内容を積極的に取るようにし、誰もがリーダーシップを取れる様に調整した。その為か、彼ら三人が成人になる頃には皆で助け合い、長男が本家の業務を、次男が周辺諸国の西と北を、三男が東と南の業務をそれぞれ担当するシステムを兄弟で作り上げていた。


 もう一つ大事な出来事として、サーヤの誕生がある。これは実際の所、非常に兄弟間の関係性を良好にさせ、サーヤの為ならというはっきりとしたお題目の元、数々の制約や困難も乗り越え、ピーター個人が我が儘を言う事も極端に減った。(逆にサーヤの我が儘をみんなが許容しすぎる環境にはなったが)


 そう、表面的にはサーヤの誕生と健やかなる成長によりこの環境が出来上がった事で、ブルックス家は非常に強固で、盤石な体制になっていたのだ。サーヤが冒険者を目指すという宣言を十二才にするその日までは。


 最初、母親であるナターシャが笑顔のサーヤと一緒に珍しく苦り切った顔で家族に話があると言った時、ピーターは嫌な予感がしていた。その思いはサーヤが嬉しそうにブルックス家の食堂で家族の前で宣言した言葉で、最高調になりそうになった。


「私、冒険者になります!!」

「冒険者、そうか……、それは非常に危ない事だと分かった上で言っているのか?」

「はい、お父様。覚悟の上です!!」

「覚悟の上か……」


 父親のケビンが真面目にサーヤに訊いている横で、ピーターは笑いそうになるのを必死で堪えていた。何処までも可愛らしく純真なサーヤらしい夢物語だと。


 ピーターはどうせ早々に冒険者なんて危険な事は諦めるんだから、安全な装備だけ揃えて、万全のサポートでもしてやれば満足して半年程度で飽きて辞めるのにと、彼は軽く考えていた。その為、表面上はサーヤを最大限応援する。


「父上、良いではありませんか?」

「…ピーター、もしダンジョンで万が一の事がサーヤにあったらどうする?」

「そうならないように最大限の準備をするのが我々では?もしお父様やウィリアムお兄様があれなら、なんなら私やテリーがサーヤの装備を調えますが?それに私達ブルックス家ならサーヤを安全に冒険者として活動させられるでしょう。その為の始まりの七家の武器商人ではないですか」

「…お前の言い分は分かった。ウィリアム、テリーどう思う?」

「私は可愛い子には旅をさせろという格言もありますから、ピーターの言う通り、こちらが安全を担保出来る準備をすれば構わないかと。それにサーヤの冒険者姿も見たいしね」

「僕は二人のお兄様と一緒に、サーヤの力が最大限発揮できる様に最新かつ最高の装備を準備するだけです。それにお父様もサーヤのカッコいい冒険者姿は見たいのでは?」


 それぞれにサーヤに対して思いっきり甘い意見ではあったが、彼らにはこの世界で最大手の武器商人としてのプライドがあり、彼女が行くブロンズランク程度のダンジョンでは何の障害にもならない装備をいつでも揃えられる自負があった。


 そんな彼ら三兄弟と上目遣いで涙を浮かべて手を組むサーヤに折れる形でケビンは許可を出す。ため息をつき、隣のナターシャに目を向ける。


「分かった。それぞれが自分がこれぞと思う装備を持ち寄りなさい。私もちゃんとしたものを準備する。コンペにするから覚悟しろ」


 サーヤと三兄弟は歓声を上げて喜んだ。







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 気にいらなかったら、貴重な時間を使わせて申し訳ない。ただそんなあなたにもわざわざここまで読んでいただき、感謝します。

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