第五話 ミズキはラミーと働きたくない 2
ミズキが残念すぎる初めての職場での出会いを思い出してるなど思いもしないラミー・レバラッテは、はたとどうでも良い事に気づく。
「あれあれあれあれ、ミズキちゃん、そう言えばメガネ変えた?何か2年前に会った時よりキリッとしてる気がするんだけど、もしかしてそのメガネのおかげ?っていうか彼氏は出来たの?」
「またセクハラですか?そろそろ人事部の方に訴えて、私がラミーさんにセクハラ訴訟で勝てるだけの材料が十分になったと思いますけど、その話続けますか?」
「またまたまたまた、そんなんそんなん言っておくけどミズキちゃん、この2年で確実にかわいく綺麗になってるからね!!俺がスーパーウルトラ愛してるマイハニーと、もしこのアルミナダンジョン国で出会ってなかったら、確実に口説いてるから!!」
どうしても脱線する彼との会話を修正する事の無意味さを毎回ストレスに思うには付き合いが長い為、彼には暫くの間自由気ままにに話をさせてから、こちらの聞きたい事を尋ねる。
「そう言えば今回はラミーさんの転属で私に話があるって事ですか?」
「あっ、そうそうそうそう。実際は君が僕の後釜として配属されるんだろうけど、確認が必要な事があってね。教えてよ、ミズキちゃん。今だにあれかな、エナミはあの新人の子に付いてるのかな?」
「レラの事ですか?」
「うんうん、その子その子。レラ・ランドールちゃんだっけか。彼女、僕と何故かダンジョン攻略課で接点がほとんど無くてさ。着任期間考えたら半年は一緒だったはずなんだけど、どうしてか会話したのも最初の挨拶の時くらいでその後の懇親会でもほとんど絡まなかったし、窓口担当のメリダダンジョン攻略についても訊いてこなかったからアドバイスも何もしようがなかったんだよね。おかしいよね、おかしいよね?」
実際は当時あと半年で異動すると分かっていたラミーに対して、ダナン課長とエナミにより何か変な事を彼から教えられては叶わないと、レラの指導をする機会を完全にブロックされていたのだが、ラミーにはそんなことをされていたとは全く意識が無い為、レラそのものが自分とあまり絡まなかったと思っていた。当時の事を知るミズキは慎重に言葉を選ぶ。
「おかしくないと思いますよ。当時のラミーさんは二人目のお子さんが生まれる直前で、自分の事で精一杯だったから、ダナン課長からもラミーさん本人が自分の業務に集中しやすいようにしようという通達が出ていましたから」
「そんな事があったんだね。ダナン課長からそんな配慮してもらっていたなんて今まで全く知らなかったよ!!どおりであの当時、僕と顔を合わせるたびに、どうだ奥さんは?とか上の子供の子どもを大事にしろよ!とか業務外の事ばかり話しかけてきてくれていたんだね。あんなに強面なのに、こんなに配慮できる上司って最高だね!!やっとスッキリしたよ、今度ダンジョン攻略課と会議であったら、感謝を示すために僕から抱きしめに行かなくちゃね!!」
ニコニコと笑い、一人で勝手に納得しているラミーであったが、ダナン課長も喜ばない変な行為に付き合わされる事を予め報告する事を胸に秘め、本来の彼の話の本筋とは全く違う話の流れになってしまったであろう事に気付いているミズキとしては、いつもの彼との会話のように話の本筋の修正を試みる必要があった。
「感動は置いておいて。ラミーさん、レラが何かありました?」
「そうそうそうそう、レラ・ランドール、あの子の話だったよね。ごめんごめん。ついついダナン課長の好意が本当に嬉しくて、脱線しちゃったよ。確かレラちゃんって親御さんと一緒にこの国に亡命してきたんだよね?」
「そうですね、確か20年ほど前にランドール共和国から大統領一家が急にアルミナダンジョン国に亡命してきたので、相当な話題になりましたね」
「すごいねーすごいねー、僕その時はぎりぎりナランシェ連邦にいた頃で、一応神童?ってやつだったから、その話も向こうで聞いていたし、両親も国家公務員でバリバリやっていたから、深刻な表情でその話をしていることを覚えているんだけど、やっぱりアルミナダンジョン国だとめちゃめちゃ話題になっていたんだね~」
「そうですね、私も幼い頃の話なので全てを把握してはいないのですが、後に聞いた話によると、ランドール大統領家族は亡命した当時は、一応ランドール共和国から追い出された形なので、しばらくは身の安全のために国が面倒を見ていたようです。その後5年もすると、ランドール共和国の政情が安定したために、グラハム前大統領が自らアルミナダンジョン国にいるランドール共和国出身の方々の為の互助会みたいなものを運営する事で職と富を得て、今の悠々自適な生活をされているとは私がいた頃の第一保安課でも聞かされています」
「えっ、あれあれ?僕もその直前まで第一保安課にいたはずなのにそんな話は聞いたことないよ?もしかして仲間外れ?いやそんな事ないか、って言うか、僕ランドール家の事なんて何にも興味なかったから、しょうがないか」
間違いなく警護対象として一度は情報収集を命じられたであろうと思いながら、ミズキは話を促す。
「それで、レラに何か?」
「多分だけど、間違いなくレラちゃん、ランドール共和国の偉いさんに狙われているよ。僕の能力がそう囁くんだ」
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